日々草

「つれづれなるままに・・」日々の事を記す。

見るべきは主役は電線である

2021-03-27 | ギャラリー
あまりにも見慣れすぎて、なんの感慨も感想もないけど、世の中にはなんともまあ酔狂ともいうべきマニアックさでそれを見つめる御仁というものが存在するという驚きを愉しむ美術展が絶賛開催中。
マニアックすぎるお題は見てはいけないものを見てしまうような興奮もともなって、期待は膨らむばかりである。

練馬区立美術館 「電線絵画展」



我が人生においてこんなにも電柱を愛し、電線を愛でる唯一にして最大の好機が訪れました!
この機会を逃すと電線や電柱に目を向け、思いを馳せる機会なんていうものは金輪際ないと言い切れるからいそいそと出かけていく。

電線が珍しく、文明開化の花形であった頃の浮世絵。
現代アートのオブジェにも通ずる碍子(がいし)の造形美。
電線に美を見出す画家たちの美意識に触れることができて、ここ数日はうっとりと電線を見つめる視点を手に入れたあたくし。





青空に桜、そこを横切る黒い電線すら愛おしい日本の季節美の光景。
ああバンコクの芸術的に絡まった電線を支える電柱の力強さ。


*バンコクの一コマ  この電線の絡み具合はartyと思って激写した一枚

何気ない日常をアートにかえるその視点、嗚呼、麗しき都市の産物という感慨を共有をいたしませんか、一緒に。


*大好き山口晃のエルメスでのインスタレーション  ガチ電線電柱。

こんな(言い方が悪くて申し訳ないが)超ニッチな企画展を小さな美術館にみに来る人なんかこの世には私一人に違いないと閉館間際の美術館に駆け込めば、思いの外、電線絵画を鑑賞している人が多くて、驚きを通り越して感動である。
景観の邪魔になるからと地中に埋めれれ、疎まれ感もある電線ではあるけど、1cmの電線にも五分の輝きを見出す人のなんと多いことかよ。(自分も!であったことに今更気づく。)
こういう企画を出して展示会として開催しちゃう美術館のセンスとチャレンジ精神に胸が熱くなる。
展示会として成立するぐらい巷に電線、電柱をモチーフにした作品が多数存在することにも衝撃である。


いろんな意味で衝撃的な「電線絵画」展。
人間的に一回り大きくなれたような気になれるのも「電線絵画」の効果と楽しみ方なのかもしれない。
美術館を出る頃にはすっかり電線愛好家。
図録まで買ってしまったわたくしも酔狂な物好きな一人なのであるから、そこんとこ胸を張って生きていこうと思っている。












が、

周囲にこの美術展の良さを熱く語ったところ「うっかり」レベルだよと引かれてしまったから電線はやはり地中化されるべきかもしれない。