日々草

「つれづれなるままに・・」日々の事を記す。

腹をみたす本 『くいいじ』

2017-09-14 | リブレリア
安野モヨコ 「くいいじ」を引っ張り出して読んでいる。
忙しい合間にかっこむケータリングやら、妄想のファーストフード、お手製お手軽料理なんだけど、とても美味しそうで、デリバリーのピザすら食べたくなる不思議。
きっと安野モヨコと言う人は食べることを愛し、本能に従って、美味いものに猪突猛進の勢いで向かっていくそのパワーがかくいうグルメにカテゴライズされるような某有名店や高級品もあれば、そこらへんに転がっているC級にもならないような腹を満たすものにも分け隔てなく発揮されているから、文章からちゃんと美味しいが発射されているのだろうとおもう。



忙しくて、調子が悪くて、機嫌が悪い日もあるだろう。
でも、美味しいものはそれを乗り越えるパワーがあるということをきちっと知っていて、そう信じている人の言葉はなかなか説得力がある。
クソ忙しいと悪態をつきたい日も、目が半分しか開かないようなヘトヘトの日も季節の移ろいを食で楽しみたい欲が無くならず、あえてそういうスローな食を妄想してヨダレを垂らしながらも頑張る人があたしはスキだ。
忙しいときには忙しいなりに「美味しい」と叫びたい。
それが実際、「美味しそう」だとしても、忙しいからこそつれない現実に妄想で美味しいご飯を、優雅な時間を補うのだ。



食の嗜好や食事に関わる行為は、生命に関わるから本能に直結していて、その人の人となりが端的にあらわれる。
だからどういう仕事をするのかという視点で食事をみればすごく腑に落ちる場合もあるわけで。
ブリア サヴァラン先生もこうおっしゃっているではないか!
「どんなものを食べているか言ってみたまえ。君がどんな人であるかを言いあててみせよう。」

有名店至上主義のあの人は、わかりやすい見栄えの良い仕事を好んで、小さな顧客より大手主義。
いつだってスーパーのPBのカップラーメンを食べ続けるあの人は変化を好まず、それは食事でも、仕事でも同じ。
バリバリ仕事をこなしてる売れっ子漫画家 安野モヨコがなるほど、あり余るくいいじを持て余すのも非常に納得。
バイタリティはくいいじに通ず。

かくいう、あたし。
安野モヨコと同じく妄想で食事ができる身は周囲からみたらどんな仕事ぶりであろうか?
『くいいじ』を片手にソフトサラダを昼食にしてそれなりに腹がみたされるあたしの評価は如何許りか?
食欲を本で満たす人の評判を聞いてみたい。けど、コワイからいいや。
やったつもり、独りよがりな孤高のグルメか程度なら大いにマシか。
お昼に妄想総動員し、ネットを駆使して目の前のコンビニおにぎりを食べる自分の面倒臭さにうんざりもするが、生命の維持の根幹ですからこだわり宣言すれば、プロフェッショナルな仕事ぶりに通じるのだろうか?


どうよ?





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再びのタイ時記 初めてのアユタヤ

2017-09-14 | Weblog
アユタヤといえばワット マハタート




この木にのみこまれた仏頭が有名で、写真やらで一度は目にした人も多いはず。
昔、昔その昔の栄華を留めるワットにいこうとアユタヤへ行こうと決めた。
退廃と虚構に宿る美しさと歴史の重みをみたいと願う。
そこに漂うののは栄華の残り、盛衰の跡形、争いの残骸、歴史のかけらか。



陽が傾き出す3時、気だるく重い湿気がたれ込めるアユタヤ遺跡へ。
300年前の煌びやかな世界は露ほども残らず、石造りの塔やら、朽ちた建物の基礎やらが森閑と横たわっている。
ブッタも、都市も、文明も涅槃。
長々とアユタヤの大地に横たわり、かすかな息遣いがもれるのみ。
タイの一大観光地であるものの、どこか侘しく、寂しく、枯れた空気感が満ちている。
それとは対称的に繁茂するのは樹木、咲き誇るプルメリアの花、あちこち自由に駆け回る犬。
アユタヤ県のアユタヤ犬。



「この遺跡は300年前からここにこうしてあるのです」というガイド氏の言葉をうけて足下をみれば、
犬の




足跡🐾


おお、300年から犬はここを自由気ままに歩いていたのだね、犬の足跡すら遺跡で、すごい発見と感動したら
それはこの間の洪水の際のものですとガイド氏。
補修の際に生乾きのコンクリートの上をとことこと犬の歩いた軌跡がのこされている。
遺跡の保全と修復ということでいえばあり得ない自由さで、日本では考えられない緩さであるが、良くも悪くもタイらしい。
これから数百年後に残っていたら、面白い見所になるんじゃないかと思う。
ディズニーランドの隠れミッキー探しより簡単に見つかって、よりリアルな犬の肉球。


再びのタイで、初めてのアユタヤ。
こんな遺跡のめぐりの楽しさも味わえるなんてウレシい。
遺跡の一番いいところ(さすが日陰の涼しいところ)を選んで長々と寝そべってぼへーっと優雅な時間を愉しむ犬たちはわっせとわっせとわっせと右往左往するのではなく、悠久な時間が流れているからそれを愉しまないと勿体無いよと教えてくれているに違いない。




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