新美南吉 「手袋を買いに」
美しい日本語で紡がれる深い物語
その最後、母さん狐の
「ほんとうに人間はいいものかしら。ほんとうに人間はいいものかしら」という
一文が何より物語の余韻を残し、小学生の教科書で読んだという記憶を今に留める
子狐は教えられた通り、トントンと戸を叩きました。
「今晩は」
すると、中では何かことこと音がしていましたがやがて、戸が一寸ほどゴロリとあいて、
光の帯が道の白い雪の上に長く伸びました。
子狐はその光がまばゆかったので、めんくらって、まちがった方の手を、
お母さまが出しちゃいけないと言ってよく聞かせた方の手をすきまからさしこんでしまいました。
「このお手々にちょうどいい手袋下さい」
すると帽子屋さんは、おやおやと思いました。狐の手です。
狐の手が手袋をくれと言うのです。
これはきっと木この葉はで買いに来たんだなと思いました。
そこで、「先にお金を下さい」と言いました。
子狐はすなおに、握って来た白銅貨を二つ帽子屋さんに渡しました。
帽子屋さんはそれを人差指ひとさしゆびのさきにのっけて、
カチ合せて見ると、チンチンとよい音がしましたので、これは木の葉じゃない、
ほんとのお金だと思いましたので、棚たなから子供用の毛糸の手袋をとり出して来て
子狐の手に持たせてやりました。
子狐は、お礼を言ってまた、もと来た道を帰り始めました。
手袋を買うたびに人間の手であることを確認する。
特に皮じゃなくてニット素材ならなおのこと。
今季、4組目のアンティパストの手袋
最後のアンティパストの手袋はちょっと趣向を変えて毛糸の手袋。
厚手のニットの手袋は「手袋を買いに」の始まりのように
雪の積もった朝に丁度よい。
思いの外、雪が積もってうきうき外に出たらさっそく転んだ。
しかも雪がないスーパーの店内。
雪を知らなかった子狐は雪の白さに驚き、その冷たさを母狐に訴える。
久しぶりの雪に翻弄されたあたしは昨年同様、尻を強打した。
痛みを訴える相手はいない。 恥ずかしすぎる。
子狐は手袋を買って「人間」を知り
あたしニットの手袋して「痛み」を思い知る。
明日は雪が融け始める昼から出勤したいと心から思う。
美しい日本語で紡がれる深い物語
その最後、母さん狐の
「ほんとうに人間はいいものかしら。ほんとうに人間はいいものかしら」という
一文が何より物語の余韻を残し、小学生の教科書で読んだという記憶を今に留める
子狐は教えられた通り、トントンと戸を叩きました。
「今晩は」
すると、中では何かことこと音がしていましたがやがて、戸が一寸ほどゴロリとあいて、
光の帯が道の白い雪の上に長く伸びました。
子狐はその光がまばゆかったので、めんくらって、まちがった方の手を、
お母さまが出しちゃいけないと言ってよく聞かせた方の手をすきまからさしこんでしまいました。
「このお手々にちょうどいい手袋下さい」
すると帽子屋さんは、おやおやと思いました。狐の手です。
狐の手が手袋をくれと言うのです。
これはきっと木この葉はで買いに来たんだなと思いました。
そこで、「先にお金を下さい」と言いました。
子狐はすなおに、握って来た白銅貨を二つ帽子屋さんに渡しました。
帽子屋さんはそれを人差指ひとさしゆびのさきにのっけて、
カチ合せて見ると、チンチンとよい音がしましたので、これは木の葉じゃない、
ほんとのお金だと思いましたので、棚たなから子供用の毛糸の手袋をとり出して来て
子狐の手に持たせてやりました。
子狐は、お礼を言ってまた、もと来た道を帰り始めました。
手袋を買うたびに人間の手であることを確認する。
特に皮じゃなくてニット素材ならなおのこと。
今季、4組目のアンティパストの手袋
最後のアンティパストの手袋はちょっと趣向を変えて毛糸の手袋。
厚手のニットの手袋は「手袋を買いに」の始まりのように
雪の積もった朝に丁度よい。
思いの外、雪が積もってうきうき外に出たらさっそく転んだ。
しかも雪がないスーパーの店内。
雪を知らなかった子狐は雪の白さに驚き、その冷たさを母狐に訴える。
久しぶりの雪に翻弄されたあたしは昨年同様、尻を強打した。
痛みを訴える相手はいない。 恥ずかしすぎる。
子狐は手袋を買って「人間」を知り
あたしニットの手袋して「痛み」を思い知る。
明日は雪が融け始める昼から出勤したいと心から思う。