日々草

「つれづれなるままに・・」日々の事を記す。

歌人の恋

2006-08-31 | リブレリア

ちょっと胸焦がれるようなオアツイ本が読みたい。
純愛ブームの「セカチュー」もいいけどもっとベタなカンジなのがよいかな。

韓流ブームも頭打ちになってきたみたいだしね・・・
やっぱりこうなったらベタベタな昼ドラでも見るか。
但しそんなん見ても胸焦がれんもんな・・・

そこでこうなったら古典の中からさがしてみる。
遠い昔から名作として読み継がれた作品の数々ですからそれなりの含蓄もあろうというものです。

本屋・図書館・記憶の中を物色中。

記憶の片隅に見つけたのが与謝野晶子の「みだれ髪」。
恋愛なんぞ謳歌できないあの時代に与謝野鉄幹と駆け落ちしたアツイ女の歌集です。
そんじゃそこらの昼ドラにも負けないよね。
なんせ駆け落ちというシーンを地で行ってる訳ですから。
胸焦がれるアツイ歌の一つや二つもあろうというものです。

だけど古典は古典。
文体も字もはたまた常識も価値観も違う世界のものなので読みにくい。
ここで登場して頂くのが俵 万智 著の「チョコレート語訳 みだれ髪」です。

う~ん 5・7・5・7・7のリズムのって完結な言葉とほとばしる感情。
文字が少ない分だけ小説と違って言葉がダイレクトに伝わってきます。

タダ単に旧仮名遣いを現代語に訳しただけではない短歌の数々。
しっかり場面も小道具も現代に置き換わったチョコレート語訳。

短歌というジャンルも新鮮。
与謝野晶子という歌人の恋の新鮮さ。
俵 万智という歌人の言葉もみずみずしい限りです。

ほとばしる感情。
こういう感覚っていいよね。

与謝野晶子「みだれ髪」より 本歌

やわ肌の
あつき血潮にふれも見で
さびしからや
道を説く君

これを学校の授業のように現代語にするのは野暮ですね。
ということで・・・

俵 万智「チョコレート語訳 みだれ髪」より チョコレート語訳

燃える肌を
抱く事もなく
人生を
語り続けて
寂しくないの

すごくダイレクトに想いが出てるとおもうんだけど・・・
読書の秋にむけてあんまし手にとらないジャンルの本もたまにはいいよね。
新しい感情を発見!そしていろいろな発見や思いをめぐらせる事ができる自分を発見してちょっと驚いたりもします。

感情を覆うことなく素直に表現するってすごく難しい。
見得も世間体も常識というくくりもあるなかでいかに自分をさらけだしていくか・・・
上手くいかないからこそストレスもたまるわけで・・・
ストレスのない人なんていないもんね。

こういうストレスの発散もありかな。