原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

故「経済学」恩師を偲んで、「大河内理論」を語ろう

2020年05月02日 | 学問・研究
 (冒頭写真は、我が2度目の大学にて「経済学」授業を受講させて頂いた故恩師著書より「大河内理論」のページを撮影したもの。)


 一昨日の事だが、我が2度目の大学より5年ぶり(?)に「同窓会報」が届けられた。

 その「訃報」ページを“虫眼鏡”で一覧していたところ、「経済学」を受講させて頂いた故恩師が平成30年にお亡くなりになっているのを発見した。

 そもそも我が2度目の大学での専攻は「経営学」だった。 (後に大学院へ進学して「経営法学」修士を取得したが。)

 大学入学願書提出時点で、「経済学科」にするか「経営学科」にするか大いに迷ったものだ。
 結果として「経営学」専攻にした理由とは。 
 当時私が所属していた医学関連民間企業は、「全員参加の経営」をスローガンとしていた。  そのため毎月「社内報」に実際の経営数値を発表し、社員皆に経営実態を周知するべく働きかけていた。 (ただ、当然ながら極秘データは非公開であろうことにも私は気づいていた。)
 向学心が旺盛なこの私が、それに興味を持たない訳がない。 毎月その詳細データを観察しつつ、知らぬ間に「経営用語」を学んだものだ。 
 そんな私にとって、「経営学科」選択は必然的だったと言えよう。

 さて、大学入学後、「経済学」に関しては、“一般教養科目”として学部生皆が必修だっただろうか?
 記憶が定かでは無いが、私は1年次に故恩師(I先生としよう)より「経済学」を学んだ。 未だ、その分野の専門力が何ら身についていない立場にして、“難易度が高い”授業だった記憶がある。
 厳しい授業だった記憶もあるが、試験内容など経済学専攻でなかろうが1年生であろうが容赦なかった思い出もある。

 冒頭のI先生著書である「経済学教科書」を30年ぶりに書棚から引っ張り出してみて、驚いたことには!
 何と、この私は一冊すべてを網羅するべく“猛勉強”をした形跡があるのだ!
 240ページに及ぶI先生の著書の最初から最後まで、マーカーでの線引きだらけだし、我が鉛筆の書き込みがなされたいたのだ!!
 決して「経済学」専攻でないし、勤労学生で日々夜間は働いていたし、教職科目も含めて多数の科目を受講していたし…  一体私はいつ、「経済学」の勉学に励んだのかの記憶だけが今となっては一切抜け落ちている。
 それでも、きちんと「経済学」でも“優”の成績を収めたものだ。😃 


 以下に、当時の我が「経済学ノート」より、「大河内理論」に関するページを披露させていただこう。

     


     



     


     



 以下に、ネットより「大河内理論」に関する記述を紹介しておこう。

 大河内一男はドイツの社会政策論の批判的検討を通じて、 〈《社会政策の基本問題》〉(1941)を著し,みずから〈社会政策の経済理論〉と呼ぶ独自の理論体系を構築した。 この理論は,一般に〈大河内理論〉と呼ばれるほど,社会政策に関する支配的学説となった。 戦後,東大社会科学研究所を中心に〈《戦後労働組合の実態》〉(1950)など,いくつかの実態調査を組織し,企業別組合,出稼型賃労働など日本の労使関係を解明するためのキー概念を提示して学界に多大の影響を与えた。
 (以上、ネット情報より引用したもの。)


 これでは、「経済学」故恩師I先生を偲ぶことにはならないため、上記I先生の著書より、原左都子が「大河内理論」を要約して結びとしよう。

 労働力の供給側を重視するマルクス経済学の立場から、この賃金格差を解明しようとするものに「大河内」理論がある。 それによれば、我が国の労働市場が縦断的であること、先進国のように横断的に労働移動ができないところに、資金格差の原因がある。 
 イギリスを例にとると、労働市場は完全に流動的であり、同一労働同一賃金の原則が社会的に成立し、賃金格差の可能性が無いわけだ。
 これに対し、我が国は資本主義成立以来やっと百年。 我が国の労働市場は縦断的・非流動的とならざるを得ず、労働移動は労働条件の悪い企業へ下方移動する以外行い得なかった。 かくて、賃金格差が発生した。
 労働移動が困難な我が国では、勤続年数と共に昇級する年功給との賃金体系が成立した。  更に、大河内理論は、労働市場の違いが組合形成原理の違いを生じた、とも述べている。
 だがこの理論は、労働力需要が急激に増大し、労働移動がかなり自由になった高度成長期以後、必ずしも十分な説得力を持つとは言えなくなってきた。
 (以上、我が「経済学」故恩師I先生著書 1986年改訂版よリ一部を引用させて頂いたもの。)

 
 最後に、原左都子の私論だが。

 いえいえ、I先生。  
 I先生の改訂版出版より34年の年月が経過した今現在も、我が考察では「大河内理論」は社会の底辺部分でその理論の有効性が失われていない気もします…

 I先生がこの世を去られた今現在、この世では“新型コロナウィルス感染”なる誰も予期せぬ戦禍が猛威を振るっています。

 労働環境はますます劣悪化し、失業に追い込まれた人民が生活難を余儀なくされている真中であることを、最後に語らせていただきましょう。😨 

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