原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

今時の電話会社は“殿様商売”に走りたいのか?

2015年05月21日 | 時事論評
 当エッセイ集4本前の2015.5.9バックナンバー 「振り込め詐欺犯はあなたのすぐそばにいる!」内で、私は以下の記述をしている。 冒頭からその一部を振り返らせていただこう。

 現在ケアマンション(高齢者有料介護施設)に暮らす義母が、私に電話を掛けて来て訴えた“捨て置けない”事実があった。
 義母が電話にて曰く、「私が今使っているケアマンション個室の電話(要するに固定電話の事)が6月には繋がらなくなり通話出来なくなるとの電話を電話会社からもらったの。 私としては、耳が遠い関係で携帯電話の会話がし辛い状況だから、固定電話の契約更新をしたいのよ。 そのためには新たな文書に署名捺印しなきゃいけないの。」
 ここで、原左都子はその義母の訴えにすぐさま 「ストップ!!」をかけた。
 「それぞ、振り込め詐欺ですよ!」
 「お義母さんの金融口座のすべてを現在私が手元で管理しています。 現在お義母さんは某電話会社に固定電話・携帯電話共に契約をしていて、その口座振替も滞りなく毎月引き落とされています。 その状況下に於いて、固定電話の電話線が“止められる”など到底あり得ない話です。 お義母さんは騙されています! それをまずご認識下さい!  とにかく明日私が必ずケアマンションへ行って書面を確認しますから、それまで絶対に書類に署名捺印をしないように!!」
 今回の義母の事件はもしかして、「振り込め詐欺」犯による電話ではないのかもしれない。  単に、現在電話会社が多様化している事実を露知らない年寄り相手に、零細電話会社から営業活動を展開しようとの魂胆との推測もあり得るだろう。  たとえそうだとしても、その「営業」の事実とは許し難き行為だ。  お年寄りとは、耳が遠かったり痴呆症状があったりするのが通常とわきまえるべきだ!  それを認識せずしてお年寄り相手に、電話なる自分の顔を見せない“至って不確実性が高い営業活動”を執り行ったのならば、その事実とは悪質性に於いて「振り込め詐欺」とさほどの差異がないと判断出来よう。 
 それどころか同等の罪を課せられるであろう事実を組織体として重々認識した上で、今後はお年寄り相手の電話での営業活動を自粛するべきではあるまいか。
 明日ケアマンションを訪れその真相を確かめる私だ。 もしもこれが「振り込め詐欺」だった場合、今後の義母指導に更に難儀しそうな予感もする。 片や、これが単なる別電話会社の新たな固定電話勧誘だった場合、その怒りをどこにぶちまけてよいのか途方にくれそうな気もする。
 営利団体とて、少しは高齢者の保証人等々身内の年寄りを後見せねばならない立場の大変さも心得てもらい、今後は高齢者相手の営業活動を全面的に自粛せよ!と本気で言いたくもなる。
 元より高齢者に対する「振り込め詐欺」も、バックに控えている保証人の対応こそが大変(大いなる時間と労力の無駄だ!!)な事態を是非とも考慮頂き、どうか悪行を諦めて欲しいものだ!
 (以上、「原左都子エッセイ集」バックナンバーより一部を「引用。)


 その後まもなく私は義母が住むケアマンションへ出向き、固定電話に関する事の真相を確認した。

 電話会社(KDDI)から送付されている封書の文面を確認して、その真相が判明した。 要するに、現在義母が使用している固定電話サービスが “利用者減少に伴い廃止される”との事である。 その代替としてKDDIの新たな固定電話サービスを推奨するため、それに契約し直して欲しいとの要件だ。

 ここで一旦、原左都子の私論を述べよう。

 電話会社(今回の場合はKDDIだが)から“老い先短い高齢者”の電話契約を今更変更しろと言われても、その契約を本人が単独で成せるすべもない事実を理解した上で、このような封書を大手企業であるKDDIは要介護老人に送り付けてきたのか!?
 冒頭に引用の我がエッセイ内にも記している通り、この種の要件を“介護が必要な高齢者”に叩きつけられたなら必ずやその保証人が動かねばならない宿命にある。 その事実を巨大企業が理解しての措置なのか?!
 自社の都合で採算が取れない電話サービス契約を“廃止”すると簡単に言うが、公共性をも経営主眼としている大手企業が、その措置が及ぼす顧客側の迷惑を少しは慮れないものなのか。 特に老い先短い高齢者に対しては、特例として死ぬまでそのサービスを続行するとの方策も企業側の少しの努力で採れそうにも考察するが、如何なものだろう??


 そんなこんなでやむを得ず私は昨日の5月20日、義母の“現在の移動力”で出かけられる範疇の KDDI系列 “auショップ” へ義母を連れて出かけた。
 と言うのも、KDDIから義母宛に送付された文書内に「auショップにてサービス移行についてご相談を承ります」なる文面が明記されていた故だ。

 ところが、これまたどうしたのか!?!
 5月下旬にして夏日の暑い天候の中、歩行もままならない義母を街中に連れ出しやっと auショップ に辿り着いてみると、若き職員の皆が「そんなもの知らないな~~~」なる反応を我々に“それみよがし”に投げかけて来るのだ。
 とにかく私自身が暑いのに加え慣れない歩行で疲れた義母を待合い椅子に座らせると、義母はやっと落ち着いた様子だ。
 そこで au店内の状況が理解出来ない義母が、久しぶりに会った嫁である私に対して様々な事を喋り始める。 私としては、店内係員達が我々の訪問の意図が分からず多少イラ突き始めた事実を察知し、ここは義母の無駄話を塞き止めるべきと判断した。 ところが、事情が把握出来ない義母が尚私相手にもっと大声で日常の出来事等を披露し続けるではないか…

 そんな時、やっと今回の我が訪問意図を察したらしき auショップ係員氏が対応してくれる段に相成った。
 ところが、まだ大変だ。 その契約の席についても、義母は(身内である)私相手に自分が語りたくて溜めていた会話を次々と続行する…。
 担当者がそれに内心憤慨した表情を、私は直ぐに嗅ぎ取った。 そこで私としては義母の会話を途中で遮断して担当者氏に精一杯応じようとするのだが、どうしても義母の無駄話が続く。 おそらく担当者氏としては、(何でせっかくついて来た保証人がボケ老人を黙らせられないのか!!)と更に憤ったことであろう。
 この混乱状態の中契約は続き、やっと契約締結まで持ち込んだ。
 ところが auショップ係員が言うには、「契約者(義母)に一週間後KDDIからの電話が通じて初めて契約が成立します。」とのことだ。 その電話を保証人である我が家にかけてもらえないかと私から嘆願しても、どうしても“ボケ老人”である義母の電話番号に最終電話を掛けない事には契約が成立しない」との係員のお達しである。
 更には最後に、義母自身の「サイン」で終結と相成ったのだが、これ一体何なの?と、今年還暦を迎える私ですら言いたい思いだ!  と言うのも、そのサインボードとは書く側から見えにくいのだ。 義母が苦慮しつつそのサインボードに手書きしているのを今後老後を迎える我が事として思い知らされた感覚だ。 
 (担当者の貴方は見えてたかもしれないが、サインとはそれを書く側が“承諾した”との意味合いなのだから、書く側に見易いボードを採用するべきだろうが!!)


 とにもかくにも、今回KDDIによる固定電話再契約強要に際して、義母の保証人の立場として様々な意味合いでとことん疲労困憊させられた。

 今現在電話会社間競争が激化しているようだが、それでもこんなご時世に於いて「電話業者」とは今現在アベノミクス経済政策の歪んだ恩恵の下に最大限潤い「殿様商売」が叶う渦中にあるのだろうか???
 電話業界が自分本位で潤うのは勝手だが、もう少し世間に生きている庶民達を見る目を養っては如何か? 貴方達の業界を現在底辺で支えているのはまさに“底辺庶民”に他ならない。
 それら庶民の生き様や懐具合をしかと観察しつつ、今後の展望を大手電話会社どもこそが率先して推量り直すべきではあるまいか?!?

 昨日、KDDI側の全面的都合で新たな固定電話契約を結ばされざるを得ない事態と相成った要介護の義母に付き添わねばならないがために、貴重な半日を棒に振った私の憤りは今尚収まっていない。

この記事についてブログを書く
« 「大阪都構想」 住民投票決... | TOP | 見知らぬ少女が発した“構って... »
最新の画像もっと見る

Recent Entries | 時事論評