原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

アナウンサーは何でも喋りゃいいってもんじゃない!

2012年08月13日 | 時事論評
 ロンドン五輪は本日閉会式を迎え、2週間余りに渡る4年に一度の世界最大スポーツ祭典の幕を閉じた。

 日本時間で早朝の閉会式だったため、本日午前8時前頃起きた私はテレビ生中継を通じて式が終わりかけの場面しか見聞していない。

 朝の所用をこなしつつ垣間見たそのテレビ場面では、英国の若者と思しきミュージシャングループが元気よく歌を披露した後、バレエダンスグループが登場して舞台パフォーマンスを繰り広げた。
 バレエダンスファンの私としては、このダンスグループが英国の如何なる団体なのかを知りたい思いだったのだが、それに関するNHKアナウンサーのコメントは一切なかった。

 その少し前の時間だったと記憶しているが、世界放映されている五輪閉会式という晴れの舞台で英国ミュージシャン達が楽曲を繰り広げている最中に、NHKアナウンサーがコメントを述べていたのを私も記憶している。  やれ「日本代表選手の誰か氏は頑張った」、やれ「水泳競技で銅メダルを取った寺川選手の思いは私にも通じた」ナンタラカンタラと……
 “金メダル”取得選手に関するコメントについては私も許容範囲だが、この場で“銅メダル”取得の一選手に関してコメントするのはあくまでも個人趣味の範疇ではないのか?? などと、そのアナウンサー発言を鬱陶しく感じている間に五輪閉会式中継は中途半端な形で終了を迎えた。
 

 その後朝の所用が一段落した私がパソコンを開くと、NHKが主導権を握って生放映した“五輪閉会式”に対する批判がネット上で殺到中との情報を得た。
 閉会式は最後の一場面しか見ていない私だが、それに同感できる思いを煽られる気がした。

 早速、今朝ネット上で展開したロンドン五輪閉会式生中継に対するNHKアナウンサーの失策を指摘する報道を以下に要約して紹介しよう。
 閉会式は日本時間本日5時頃から始まったのだが、その中継を行ったNHKの解説に批判が殺到している。 というのも、今回の閉会式はイギリスの音楽とエンターテイメントをテーマにした閉会式であり、名だたるアーティストが多数出演し名曲を披露したのだが、その演奏中に無用と思えるような競技の振り返りを行い視聴者が音楽を聞くのに妨げになったからだ。
 Twitterではハッシュタグ「#アナウンサー黙れ」まで生成され、苦情が相次いでいる。
特に視聴者の苛立ちをかき立てたのが、ロックバンド「MUSE」の演奏中のことだ。このバンドの楽曲『Survival』は、オリンピックの公式ソングに抜擢されていた。アナウンサーはそのことを知らなかったのか、公式ソングであることに一切触れずに、すでに多くの視聴者が知っているはずの競技の振り返りを語り、各選手の感想まで述べて演奏の妨げになっていた。
 (以下略)


 原左都子の私事に戻るが、本日(8月13日)昼のNHKニュースに於いても今回のロンドン五輪閉会式の主たるテーマは「音楽」だった事に関する説明があった。
 放送媒体として事前にそれを承知していたのならば、何故自局アナウンサーをその閉会式に対応するべく指導出来なかったのだろう??

 原左都子も音楽ファンだ。
 もしも今回のロンドン五輪閉会式が云わば「音楽祭典」と事前に承知していたならば早起きしてでも観賞したかった思いだ。
 ブリティッシュ音楽には私も60年代の頃から多大な影響を受けて来ている。  また英国ロイヤルバレエ団のバレエダンスにも、バレエを多少心得る娘を通じて近年触れる機会が多い。

 今回ロンドン五輪の主たる放映権をゲットしたと推測するNHKは、何故そのような貴重情報を国民に流さずして担当アナウンサーに一任したいい加減で低俗なコメントを垂れ流すべく“閉会式”放映を挙行したのか??
 私の推測及び印象では、NHK現場では今に至って尚あくまでも五輪とは“スポーツの祭典”の範疇を出ていないと認識しているからではあるまいか。
 ところが近代五輪では毎回様々な開会式、閉会式が開催国毎にバラエティ豊かに繰り広げられている。 世界最大規模のグローバル祭典である五輪とは、テレビ生放映という目覚ましいまでに進化した科学技術を通じて自国の芸術文化や歴史を全世界に伝えるまたとはない機会である。 (特に後進国においてはこれこそが五輪自国開催のメリットであり、今後の経済発展・国力増強の場と位置付けている事であろう。)
 ロンドン五輪の場合は先進国での開催だったと判断できるが、何故またとは観賞できないブリティッシュサウンドやダンス生中継を遮ってまでNHKアナウンサーが“余計なたわ言”を発したのかに関しては、ネット上のツイートには興味がない私も同調したい思いだ。

 加えて言わせてもらうならば、本日NHK昼のニュース“閉会式”場面に於いてNHKが取り上げた日本人選手が偏っている事この上ない感覚を私は抱いた。
 開会式に於いて旗手を務めた女子レスリング吉田選手に関しては、金メダル3連覇を達成した功績により引き続き閉会式で旗手を担当したことに同意・拍手である。
 おそらくNHK記者が閉会式現地でたまたま取材できた選手のコメントを昼のニュース内で取り上げただけの話なのかもしれないが、それにしても、初戦敗退した若き選手のコメントなど次の五輪で実質活躍した後に閉会式放映で取り上げても遅くはなかったのではあるまいか??


 NHKとの放送局とは民放とは異なり、アナウンサーを始めとしてゲスト出演タレントが“多言を吐かない”事を好むからこそ私は普段より愛好しているのだ。

 五輪から話題がズレるが、そんなNHKが独占生中継している番組に新年早々教育テレビに於いて生放映される「ウィーンフィルニューイヤーコンサート」がある。 この際、1年に一度のこの番組に関しても私は苦言を呈したい思いだ。
 以前はNHKアナウンサーが音楽家と共に出てきてあれこれと“能書き”を垂れていた。 番組前の“能書き”に関してはある程度許容範囲であるものの、最終アンコール曲「ラデツキー行進曲」の後会場から湧き出る“ブラボー”と共に番組を美しく終えて欲しいものだ。 にもかかわらず、番組の最後でまだ性懲りもなくうだうだと女性アナウンサーが下手な感想を述べるのには毎年辟易とさせられたものだ。
 その後、この番組では“音楽通”との女優をコメンテイターとして採用しているのだが、今後はそんな出演者も一切要らないとここで主張しておきたい! 
 音楽ファンとしては、純粋に現場の生中継のみを放映してくれるだけで必要十分である。


 そう心得る私にとって、本日ロンドン五輪閉会式に際してその生中継を凝視していた音楽ファンの思いが痛いほど伝わるのだ。

 どうかNHKに限らず、民放も含めた放送局の担当者の方々。 特に番組のスペシャリティが高い程、アナウンスなど不要な事を肝に銘じて欲しい思いだ。
 そして、運悪くその種重厚な番組のアナウンサーとして起用された(特に)若手アナウンサーの皆さんは、喋くり倒す事のみがアナウンサーの使命ではない事を少しずつ学習して欲しいものである。