原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

世紀の天空ショー

2012年05月21日 | 学問・研究
 (写真は、本日東京23区内に位置する我が家から観測した 金環日食 経時変化の様子を、原左都子がスケッチしたもの)

 冒頭から実に申し訳ない思いでおります。
 「なんだ、この小学生よりもヘボい絵は!」と、皆さん呆れておられることでしょう。


 それはとりあえず隅に置かせてもらう事として、私が住む東京都内でも本日の5月21日に、全国規模では932年ぶりという世紀を超えた 金環日食 を観測することが叶った!

 2日程前よりそわそわ落ち着かなかった私である。 と言うのも歴史的天空ショーが繰り広げられる21日当日は「曇り」との天気予報が出ていたためだ。
 決して「天文学」に詳しい訳ではないが、我が子幼少の頃よりプラネタリウムを観賞することを好んでいる私である。  何と言っても、我が地球からは大空である宇宙の営みに思いを馳せるだけでも、人間という“実にちっぽけで薄っぺらい存在”のはかなさを一時であれ思い知らせてもらえる事が叶う、そんな時空間を実感できる瞬間を私は好むのだ。


 ここで、上記の我が“小学生よりも下手くそ”な 金環日食 経時変化スケッチに関して補足説明をすることにしよう。
 
 朝いつも通りに起床すると天空は雲がかかってはいるものの、少し前より買い求めておいた「日食グラス」で東の空を観測すると、ちゃんと太陽が見えるではないか!
 その時のとりあえずの我が感想とは、「今時の季節の太陽とはほぼ真東に出没しているのだなあ…」と言ったところだ。(普段、太陽をじっくり見る機会などないからねえ…)  と言うのも我が家の台所は東側に位置していて台所に窓がある。 朝飯の支度をしながら、とりあえずはその窓からの観測と相成ったのだ。 (台所で朝飯を作りつつ片手間の観測スケッチ故に、このレベルの絵しか描けなかったと自己弁護しておこう。

 上記6時20分時点では、まだ太陽は 円 状態だった。
 その後雲が広がり少し太陽が見えにくくなったものの、よく観測すると右上が少し欠け始めている!  ちょうど娘を起床させる時間帯と相成り娘を叩き起こして2人で太陽を観察した時の様子が、上記6時40分頃の右上が明らかに欠けた状態だった。
 ここで補足するが、我が娘は昨日まで「日食」が何事なのかを全く心得ていなかった。  (現在の義務教育とはこの種の教育を施さないのだろうか? あるいは我が娘にとっては少しも興味を抱けないような教育内容だったのかもしれない…。 それじゃあ万人に平等に施すべく義務教育の存在意義がないよなあ~~) 
 私の場合は小学校時点で “部分日食” であったものの学校の授業中に観察した記憶がある。 その時には“下敷き”をフィルターにして日食を観察したのだが、担任教員自体が義務感で行っている事を直感できた私にとっては、少しも面白みの無い授業だったものだ……。 それでもその時の様子を“つまらない思い出”として鮮明に記憶している私だが、現在に至っては目を傷めるとの医学的根拠により学校現場における“下敷き覗き行為”は禁止されているとの報道である。
 そんな我が過去を振り返り、昨日娘に対し「日食」について私なりに教育伝授し娘の興味を煽りつつその実地観測を楽しみにさせていたのだ。 
 今朝6時40分頃起きて来た娘と共に観測したところその成果の下、右上が明瞭に欠けた太陽の姿を観測する事が可能と相成った!
 
 その後やはり雲が多いものの、月が太陽に重なっていく経時変化をスケッチできた。 

 東京に於いては、7時32分頃から「金環日食」が観測可能との先だってよりの報道だったが、我が家の上空は運悪くちょうどその頃から雲が太陽を覆い始めるではないか!  これでは一番美しい状態の金環日食が観測できない!と焦り始めていたところ、幸いなことに雲が少しずつ薄くなり始めた。 
 そして7時35分には、薄くなった雲がフィルターとなって“肉眼”にて世紀の「金環日食」を娘と共に観測できたのである。  娘も初めて“肉眼”で目にする「日食」を堪能した後、いそいそと大学へ向かった。  


 太陽の手前に月が重なり太陽が金色のリング状に光って見える金環日食は、私が住む東京以外の地域でも広範囲に渡って観察されたようだ。
 ただ、残念ながらあいにくの悪天候により今朝それが観測できなかった地域もあるとのことだ。

 国立天文台によると、国内で金環日食が観測されたのは1987年9月23日の沖縄以来約25年ぶりのことであり、そして冒頭に記した通り、日本の広範囲に於いては平安時代の1080年以来、まさに932年ぶりの天空ショーだったとの報道である。


 参考のため、今後日本国内で手軽に観測できる「天空ショー」を以下に少し紹介しておこう。

 2012年6月6日には、金星が太陽の前を横切る「日面経過」との現象が全国で観測できるとのことだ。 今回の観測を逃がすと今後100年以上観測できないらしいのでこれは必見である。
 それより少し先立って、6月4日には満月が欠ける「部分月食」も観測可能のようだ。夕方から宵にかけての現象であり西日本では満月が欠けたまま昇ってくるとのことで、その地方ではこれもお楽しみであろう。
 その後も今年8月14日には月が金星に隠れるらしいし、少し先の話をすると2014年5月頃には西の空で「水星」が見ごろとなるとの記述もある。


 本日昼のNHKニュースに於いても、「金環日食」を楽しんだ国民の皆さんの様々なコメントが紹介されていた。 
 その中で、原左都子と共通するのは「(宇宙で繰り広げられる出来事を観察すると)自分の存在の小ささを思い知らされる」との見解である。
 そのNHK昼の「金環日食」トップニュース後にすぐ、国内政権のごたごた報道(本日は原子力発電問題だった)が展開したのだが、まさに人間の営みの現実とは“阿呆らしく愚かな”ことに改めて愕然とさせられ興ざめした私だ。

 どういう訳か原左都子が本エッセイ集「時事論評」カテゴリーで政権関連記事を綴ると、いつもIP及びPVが突然大幅に下落するのだ。
 その根拠とは庶民の皆さんが「時事」にさほどの興味を持っておられない故だと分析している私であるが、「時事問題」特に政権関連話題とは、現世の人間にとって実につまらない対象でしかないのだろうと再確認させられる思いだ。
 
 こんな素晴らしい“世紀の天空ショー”を宇宙からまざまざと見せ付けられると、せせこましい地球上で愚かな闘いを繰り広げるしか脳の無い人類とは、実に微小な存在であることを再確認させられる。
 そんな事実を一時でも認識する機会を宇宙から得られる事は、この地球上に生命を得た人類の少しばかりの幸福であるのかもしれないとも実感する私である。