原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

左都子のサリー体験記

2011年08月27日 | 雑記
 (写真は、東京池袋にある 古代オリエント博物館 に於いて開催中の「古代インド にぎやかアート」展の会場でサリー体験をした私。 携帯カメラにて鏡に映った私を自ら撮影しているため、左右が反転しています。)


 昨日(8月26日)の午後関東地方はゲリラ豪雨に見舞われ各地で洪水・浸水等の被害が発生したのだが、私が古代オリエント美術館に向かって自宅を出た時はまだ空模様が怪しくなりかけた頃だった。
 ところがメトロ東池袋駅に到着してB1階に出た時には、一転してゲリラ豪雨が襲って来ていて大雨状態だ。 傘を持たぬ人は当然のことならが持つ人までもが豪雨の中を歩く事を躊躇しているのか、地上出口で大勢の人溜まりが出来ている。 幸いな事に古代オリエント博物館があるサンシャインビルへ行くにはビルの中を抜ける地下道があるため、私は豪雨に打たれることなく目的地に着く事ができた。


 さて、今回の特別展「古代インド にぎやかアート」を私が観たいと思ったのは、3年程前にインドの地を旅しているからに他ならない。 
 3年前のインド旅行の第一目的とは知人の美術家氏の国際ビエンナーレ授賞式に同行する事であったが、ついでに観て来たインドの大地やその地に生を営む人々の印象とは、先進国旅行では到底感じることが出来ないであろう強烈な記憶があるのだ。
 その一片を懐古したい目的で、昨日私はこの展覧会の会場に足を運んだのである。

 今回の「古代インド…」特別展は、インダス文明とそれに影響を及ぼした西アジア、エジプト、中国との連結も含めた、まさにオリエント古代文明を伝えるべく趣旨で開催されているようだ。 先史時代の土器及びそれに描かれている文様や、ガンダーラ仏教美術に施された多様な彫刻など、多様でにぎやかなアートに触れることができるのか「古代インド…」特別展の特徴である。
 
 展覧会の入口から入場してまもない展示室に、古代の住居室内を再現したような空間があった。(私の記憶違いで“古代”ではなかったのかもしれない点をお詫びするが)
 これを一見した時私が感じたのは、現在のインドにおいてはもっと貧困にあえいでいる人民が多いのではないかとのことである。 展示のような空間に居住できるのならまだしも幸いで、私がインドの地で見てきたのはその種の空間すらなく道端にただただ佇んでその日暮らしをする人民の多さであった。
 古代文明こそ素晴らしかったものの、その後歴史を超えて歪んだ発展を遂げつつ巨大に膨らみゆく人口を抱えざるを得ないインドにおいて貧富の格差が拡大していったのであろう。 その現実を3年前に目の当たりにしてきた私に言わせてもらうと、ある意味では古代栄えた文明の時代よりも、悲しい事に今の方がむしろ貧しい生活を受け入れねばならない人民が多いのではないかということである。
 (インド旅行記に関しては、本エッセイ集の旅行記バックナンバーに於いて綴っておりますのでご参照下さい。)

 私自身はインダス文明発祥の地であるインダス川下流地方には残念ながら旅していないのだが、それでも展示物を見ていると、デリーやアグラやボパール等々の地で見たインドの風景や美術品や物品が、今回の展示物と重複して何とも言えぬ懐かしさを感じたものである。


 そして極め付けが、上記写真の“サリー体験”であったという訳だ。

 展示場の出口付近にサリー等インドの民族衣装が展示してあり、その場の担当女性が「もしよろしかったらサリーをお召しになりませんか?」 と私に勧誘してくれるではないか!
 このような公営ではない美術館において試着等の体験をする場合、当然ながら別料金が発生するのが世の常というものであろう。 それを承知している私は咄嗟に「代金はいくらですか?」と尋ねた。 そうしたところ「無料で体験できます」との返答だ! 即刻、この無料体験に飛びついた私である。

 と言うのも、これには原左都子なりの理由があるのだ。
 私は3年前のインド旅行でサリー(ある程度の高級品なのだが)を買い求めてきている。 ところがこの“着付け”が未だかつて一向に出来ないため現在和ダンスに“お蔵入り”状態と化している。 解説書付でもあるし、ブログを通じて知人よりサリーの着付けを伝授してもらった経験もある。それにもかかわらず、それらの文面を読んで実行してみてもどうしても妙な着付けしかできない私だったのだ。
 その失敗談を係員の女性に話すと、「それでは今日こそはサリーの着付けを憶えて帰って下さい」とのことで、ラッキーな事に実体験でサリーの着付けを伝授してもらえた私だった。
 
 やはり実体験とは素晴らいものだ。 頭が老化途上のこの私にも、今回の博物館特別展に於けるサリー着付け体験は重々成果があったのだ。
 早速自宅に帰った夜に、我が娘をモデルにして3年前にインドで買い求めたサリーを“着付け”してみたのだが、これがスイスイできることに感動である!
 博物館の女性係員氏の指導こそが素晴らしかったのかもしれないが、要点をわきまえられるとサリーの着付けとは実に簡単なのである。 ここで少し原左都子なりにその着付けを伝授したい思いだが、やはり“百聞は一見にしかず”の原理でそれはやめておこう。

 それにしても私の感想とは、サリーは今尚インドの女性達に愛好され日々それを着て暮らす生活着として絶大な存在力で君臨していることが理解できる思いがする。 広げれば一枚の布のサリーであるが、これは素材によっては洗濯が簡単であろうかと洗濯好きな私など推測する。
 それから何と言っても帯を締めねばならない日本の着物に比べると、気候が暑い地方であるインドにおいてはサリーは着心地が涼しい感覚もある。 上記のごとく着付けを一旦憶えてしまえば脱ぎ着も至って簡単であるし、日本の着物に比して大胆に身体を動かすことが可能でもありそうだ。
 このようにサリーとは機能性に優れているからこそ、今尚インドの女性に愛好される普段着の地位を揺ぎなく築いていることを今回のサリー体験で実感した私である。


 それからこのサリーとは日本の着物と比較して正しい着付けを施した場合、そのアシメトリーで流れるような全体のデザイン面でも、女性の身体ラインが綺麗に表現できる優れた衣料であるとも考察できないだろうか?
 (いえいえ、決して冒頭の原左都子の写真をもう一度見ろとは言ってないですよ。  冒頭の私の写真はフレアーワンピースを着た上にサリーをまとっているため、ある程度ふくよかな印象があるのかなとも感じるのが事実です。 現実の私は上記写真の印象よりもずっとスリムなのですが…。  皆さんは豊満ボディに似合いそうなサリーがお好みですか? あるいはスリムな私でも着こなせそうな和服がやはりお好みでしょうか???) 
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