原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

「大連立」案を打ち出す民主党に未来はない

2011年08月18日 | 時事論評
 本日(8月18日)昼間のNHKテレビニュース報道によると、民主党政権は“子ども手当て”が来年以降も存続するかのようなニュアンスを感じさせるチラシを作成し、公に配布したらしい。
 これに対し自民公明野党両党は即刻このチラシを回収するよう民主党に指導し、民主党は陳謝したとの事である。

 まったくもって、“溺れる者、藁をもつかむ”とはこのことか??

 来年度より事実上消滅することになった“子ども手当て”は、確かに民主党の看板公約であった。 
 陰の黒幕である小沢氏率いる民主党が2年前の夏劇的に政権奪取できたのは、この“子ども手当”を筆頭とする「カネのバラ撒き票取り政策」以外の何物でもなかった。

 その後民主党に政権が移り変わった後も、国家財源難に拍車をかけるがごとく経済不況が続いた挙句の果てに、突如として勃発したのが3月の東日本大震災だった。
 もうそろそろ政権は膨大な税金の食い潰し政策である“カネのバラ撒き”を終焉させないことには、今後この国は成り立たないであろうに… との原左都子の危機感をよそに、民主党内部からは今後“震災復興税”等の増税政策を採ってでも尚看板マニフェストである“子ども手当”を続行するとの意向が伝わってきていた。

 もういい加減、民主党も自分らの力の無さを観念しろよ! と、政権にしがみつく民主党議員らの我が身息災な視野の狭さに辟易としていたところ、自民党を筆頭とする野党より菅内閣に対して不信任案が提出され菅首相は退任を迫られた。

 当時、私は本エッセイ集7月の「菅さんは本当に退陣せねばならないのか?」と題したバックナンバーにおいて、今後民主党政権が続かざるを得ないのならば、党首は菅さんでいいのではないかとの私論を展開している。

 その私論を少し振り返らせていただくことにしよう。
 原左都子はそもそも民主党支持派ではなく、菅政権に対しても批判的立場に立っている国民である。
 野党の魂胆はともかく、一旦野党より内閣不信任案を提出されたにもかかわらず、それに菅氏は言葉を濁しつつ退陣時期を明確にしないまま時間が過ぎ去ったため、国民の不信感を不必要に煽ったようだ。 先だっての6月28日には、菅氏は自らの辞任時期に関して、震災や原発事故に対する一定の目途がついた時点で若い世代に責任を引き継ぎたいとの意向を示した。 さらに第二次補正予算案、及び再生可能エネルギー特別措置法、特別公債発行案、これら三つの成立を持って自らの退陣の目途と考えるとのことである。 私論であるが、これらを今こそ菅氏に実行してもらってはどうなのか?? 
 一方、“菅降ろし”発言は高々なれど、大震災復興案に関しては野党からその代替案が全く聞こえて来ない現状ではあるまいか??  福島第一原発現場では汚染水循環利用システムや汚染水プール内の汚染除去システムに関して故障また故障の連続であり、高濃度の放射能汚染を周囲に撒き散らしている現状だ。これに関して私が今すぐ訴えたいのは、この処理を東電及び菅政権に任せ切りにするのではなく、もしも与党内菅反対勢力や野党各党においてその対策を講じられる道筋(先進科学者のコネ等)があるのならば、何故申し出ないのか!と言うことだ。 「政権が我が身に移るのならば、協力してやってもいいよ~~~」などと狭い視野で敵対意識を燃やしている場合ではなかろうに!  この緊急事態から原左都子が察するに、要するにこの国においては与野党議員共に誰もそんなコネなどなく、原発を推進してきた自民党時代より、元々今回のごとく未曾有の原発事故発生時に適切な対策が取れる研究者など一人として育成していない状態、ということが証明されているようなものだ。
 それは原発事故以外の被災地の全般に関しても同様の貧弱さではないのか?? 今回の大震災復興に対して後を継ぐ能力がある人材が誰一人として存在しなさそうな中においては、とりあえず菅氏の辞任時期に関する3条件表明を受けてはどうなのか??
 (以上は、「原左都子エッセイ集」バックナンバーより引用要約)


 そうしたところ菅首相は8月上旬頃、大震災復興対策や原発事故対応や今後の社会保障と税の問題に関して「内閣として実行するべきことはやってきた。もう残念と思うことはない」云々と述べ、8月中には退陣することを表明した。

 この菅首相の表明により8月内での退陣が決定した訳であるが、その後次期民主党代表選に出馬の意向を表明している“ポスト菅”議員連中から出てきたのが自公野党との「大連立」案である。
 例えば一番先に民主党代表選への出馬意向を固めた野田佳彦財務相は、次期政権の枠組みに関し「救国内閣をつくるべきだ」として自公両党との大連立を目指す考えを明言した上で、増税路線を堅持する考えも示している。
 この野田氏は民主党内における有力候補であるらしく、この発言は代表選の行方に影響を与えるとの報道を見聞した直後から、前原氏等民主党閣僚経験者より「大連立」案に対し同調意見が出ているようだ。

 片や、民主党内党首候補者らよりの「大連立」の意向に対し、昨日(8月17日)自民党の谷垣総裁や石原幹事長らは否定的考えを提示したとのことである。


 最後に原左都子の私論で締めくくろう。
 
 自民党総裁や幹事長が民主党よりの「大連立」を拒否するのは当然であろう。
 そもそも民主党の政権交代が叶ったのは“カネのバラ撒き政策”以外の何物でもなく、議員を頭数だけ揃えた人材不足の民主党政権が早期に政権を失う事を私は当初より予想していた。 そうしたところ肝心要の小沢氏が“政治とカネ問題”等により崩れ、昨年の民主党党首選において菅氏に敗れた時より民主党政権の生命の短さが決定付けられた。
 それにしても残念なのは、民主党内に於いて今尚黒幕親分として裏で君臨しているであろう小沢氏に対抗できる政治家は、民主党内においては菅氏しかいなかったのではないかという事である。
 だからこそ、原左都子は民主党がまだ政権を執るのなら首相は菅氏でよいと主張していたのだ。 決して金権勢力の小沢氏の影響下で政権を操る時代ではないことが明白なためだ。 民主党が政権を死守したいのであればこの菅氏を支えて今一度一丸となればよかったものを、内部分裂により野党の不信任案に同調し、自ら菅氏を退陣に追い込み自滅への道を歩む結果となった。

 野田、鹿野、馬渕、樽床 ……
 大変失礼ではあるが、それらの中のどなたが次期民主党党首に当選したとて、今後の民主党は短命であろうとの予想しかつかない…。
 こんな小粒で零細な候補者しか擁立できず短命が予想される次期民主党政権より「大連立」を要望されたとて、まさか政権の大先輩である自民党が“はい、分かりました”と受ける訳もないことが民主党政権は何で分からないのだろう??? (参考のため原左都子は自民党支持派でもなく、あくまでも無党派層です。)

 国政を担う政権がこれ程貧弱、混乱状態では、いつ大震災復興が叶うのか計り知れないというものだ。




 原左都子は、明日から北陸の地に旅に出ます。  

 留守中は「原左都子エッセイ集」のバックナンバーをお楽しみ下さいますように!
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