「ところで、君は僕が調べたウイルスだよねっ?」
『えっ? …とは思いますが、モニターを見ておられた映像と時間にもよりますから…』
「そうですよっ! って言ったじゃないかっ!」
夢の中だが、一人と一ウイルスの会話は、かなり現実味を帯び詳細だった。
『…まあ、そうしときましょうよ。これは夢なんですから…』
「ああ、そうだったね。いいだろう…。ところで、君達は有効に体内で働きそうかい?」
『えっ? そりゃ、もちろんですよ、海老尾さんっ!』
夢の中のウイルスは朧気(おぼろげ)にフワリフワリと漂(ただよ)いながら、ニコリと笑った。いや、海老尾には笑ったように思えた。
「そうかそうか、それを聞いて少し安心したよ、レンちゃんっ!」
『いやだなっ! 当たり前じゃないですかっ! だから、こうしてお話に来てんですからっ!』
「いや、すまんっ! 確かめただけだ。ガンマ以外のレトロもいるからな…」
『ああ、それはそうです。僕の仲間には有効に働かないヤツらもいますしね…』
「ははは…人間と同じだな」
『はい、同じです』
「それはそうとして、これからも夢に現れてくれるの?」
『そのつもりですが、それは、あなたの潜在意識次第です』
「そりゃそうだ…」
夢の中の海老尾は、素直に納得した。
『現れるタイミングとか合図とか、決めておかれた方が現れやすいんですがね…』
「ああ…。それじゃ、ベッドに入る前にブランデーを飲んだ日・・というのはっ!?」
『いいですよ。でも、ここは夢の中ですから、お目覚めになられても、そのことを覚えておいてくださいね』
続