水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

甘辛(あまから)ユーモア短編集 (9)時間配分

2021年05月30日 00時00分00秒 | #小説

 時間は万人(ばんにん)に公平に流れている。時間をどう使おうと個人の自由である。要は、一人一人の時間配分の違いとなる訳だが、その違いによって、結果は自(おの)ずと変化することになる。物事を辛(から)く見る人は、時間配分を上手(うま)く組み立てて完成させるだろう。甘(あま)い人は、その限りではない。^^ 暑い最中(さなか)の外の作業を避(さ)けようとすれば、朝早くから行動し、暑くなる頃には終われるに違いない。作業に費(つい)やす時間は同じなのだが、結果は汗をかいて体力を消耗するか、否(いな)か・・という違いとなる訳だ。むろん、汗をかいたあとの美味(おい)しいビールを念頭に入れて汗する人は除外される。しかし、これとて身体には決してよくないだろう。^^
 とあるタクシーの中の客と運転手の会話である。
「そりゃ、馬尾(うまお)から牛首(うしくび)経由の方が断然、早いですよ、お客さんっ!」
「そうですかっ!? 僕は豚山(ぶたやま)から河馬口(かばぐち)経由の方が早いと思うんですがねっ!」
「豚山から河馬口は込むでしょ! 込まないと早いんですが…」
「僕は込まないのを念頭に、辛く時間配分してるんですっ!」
「辛く時間配分!?」
「そうです。早い分、河馬口の行きつけの店でラーメンを食べるんです」
「込んだらどうすんですっ!?」
「込めば辛口のラーメンが甘い菓子パンになるだけですよ、ははは…」
「なるほど…」
 時間配分はどちらに転(ころ)んでもいいように、甘辛(あまから)く考えた方がいいようである。^^

 
                  完


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする