水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

暮らしのユーモア短編集-97-  とりあえず

2018年08月20日 00時00分00秒 | #小説

 この世に長く暮らしていれば気づかされるが、一寸先は闇(やみ)・・というのがある。何が起こるか分からないご時勢ということだが、であれば、とりあえず○○しておこう…とコトを済ませたり、用心して備(そな)えておくのが無難(ぶなん)ということになる。とりあえずは、失敗を未然に防ぐ手段として最(もっと)も有効なのだ。
 とある老人会である。十分、この世で長く暮らしてきた老人達が、まだ50年は…という気分で和気藹々(わきあいあい)と語らっている。
「ほう! そうでしたかっ! 私なんか、そうなるだろう…と裏の裏を読んで、そのままにしておきましたよ、はっはっはっはっ…」
「ということは、備えなしで…」
「ええ。備えも何もせず、ってことです。どうも、予報が危(あや)うげでしたからなっ! ははは…」
「仰(おお)せのとおりで…。梅雨(つゆ)入り宣言も早過ぎましたし、今回の台風も、何もなかったようにスゥ~~っと通過しましたから…。とりあえずも、確かさ次第ですなっ! 私は、どうも心配性でいけません」
「いやいや、その方がいいんですが…。まあ、時と場合によりけり・・ってことですかなっ、ははは…」
 とりあえず・・も、度(ど)が過ぎれば無駄(むだ)となる危険性を、とりあえず孕(はら)んでいるのである。^^

                                 


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