中野みどりの紬きもの塾

染織家中野みどりの「紬きもの塾」。その記録を中心に紬織り、着物、工芸、自然を綴ります。

第3回紬きもの塾  糸を「つむぐ」と「紡ぐ」

2012年06月07日 | 紬塾 '9~'12
中野みどりHP

真綿から糸を「つむいで」もらいました。

糸をつむぐ方法もいろいろありますが、今回していただいた方法は沖縄の久米島方式で、角真綿を丸い台の釘にかけ手前から真綿を引き出し、水または唾を指先につけ繊維を纏めていきます。

この方法は結城紬がしている「つくし」と言われる台に袋真綿を巻き付けてやる方法と同じで、糸に撚りはかかりませんので、「手紬糸」と表記されます。

人が手で紡いでも、紡ぎ機を使った糸は少し撚りがかかりますので「手紡糸」として分けられています。
また撚りのかからない糸をつむぐ場合はその行為自体も「つむぐ」と平仮名で分けた方がよいということを今回の作品集の校正の時に出版元の染織と生活社の方から指摘を受けました。
それに従うと今回の染織実習では糸を「つむぐ」ということになりますね。

でも、一般の方はあまり気にしなくてもよいのではないかと思います。「紡ぐ」は糸を紡ぐ以外でもよく使われる言葉です。丁寧に少しずつ作り上げていくようなことの喩として使われます。

ただ、手織りの紬で使われている真綿から作られる糸には無撚糸の「手紬糸」と(結城紬は経、緯すべて無撚糸)少し撚りのかかった「手紡糸」(多くの紬はこちら)があります。

糸をつむぐ行為は単調なように思うかもしれませんが、実は細部と全体の真綿の状況を見極めなければならず、熟練を要するものです。でも始めると案外やめられない面白さがあります。
本来は人がやるべき仕事だったのでしょう。



今回は着尺よりも太めの糸をつむいでもらいましたので、とても難易度の高いことを全くの初心者の方にしてもらいました。細い糸をつむぐほうが真綿を管理しやすいので楽です。
しっかりしたたくましい糸がつむがれています。



5人とも同じ条件でつむいでもらいましたが、ご覧のとおり様々な糸になりました。



もう一点参考までに、無撚では糸にならない木綿やウールなどは綿から糸車や紡ぎ機を使ったり、あるいは錘をぶらさげ回転させるようにして糸を作ります。これは自然に糸に撚りがかかりますので「紡ぐ」になります。



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