中野みどりの紬きもの塾

染織家中野みどりの「紬きもの塾」。その記録を中心に紬織り、着物、工芸、自然を綴ります。

第9回紬きもの塾  着物を着る

2012年12月27日 | 紬塾 '9~'12
 
前に織った布を今回切り分け、自分のものを手にしているところ



紬塾も今年度は残すところあと1回となりました。

今回は小道具の選び方や取り扱い方、着物の着方のポイントも話しました。

着物をよく着てらっしゃる方からほとんど自分では着たことのない方まで一緒に講義をします。
着慣れている方も初めて聞く話や着方に驚かれることもあるようです。

着付け教室をやるつもりは全くありません。

まだ自分の着物もない人に着付けだけ教えてもあまり意味のないことになります。着る気になり、自分のサイズにあった着物が準備できたら少し手ほどきを受ければいいと思います。
少し丁寧にじっくり習いたい場合は2時間ほど個別に指導させてもらうことにしています。

帯締めの本結びの話から、紐の解き方の話になりました。

本結びはしっかり結べて、解けにくく、解きやすい結び方で、紐の端を反対方向へ一直線に引くと固く締まってしまった場合でも解けます。
基本中の基本の結びで、結び目も美しいです。



最近は結ぶという作業が日常で少なくなり本結びを結べない、知らない方が多いようです。
風呂敷なども本結びでない、縦結び(右上を2回やる)にした場合、荷重がかかると結びが抜けてしまうこともあり危険です。解け易く、解きにくい結びです。

また日本では死に装束に結ぶやり方なので縁起が悪いとされてきたようです。
子供の頃から母に厳しく言われてきました。
そして母を見送る時に旅立ちの装束に縦結びをするよう指示がありました。
その時、母の教えが本当の意味でわかりました。

母が古布を私がいつか裂き織りに使うようにたくさん裂いて置いてくれているのですが、くるくる巻きつけた最後は紐の端を引き抜けばいいように片蝶結びのようにしてくれています。
母の知恵と愛にいつも頭が下がります。

昔の建築も解くことを前提に造られていたし、あとのことがきちんと考えられていました。
結びや梱包も解くことを前提にしたいですね。

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