中野みどりの紬きもの塾

染織家中野みどりの「紬きもの塾」。その記録を中心に紬織り、着物、工芸、自然を綴ります。

第10期紬きもの塾―半幅帯を愉しむ(最終回)

2019年02月09日 | 紬きもの塾’17~18


2月にずれ込んでしまいましたが、第10期の紬きもの塾が終了しました。
みなさん熱心に通ってくださいました。大阪、静岡からの参加者も休まずに来てくださいました。
最終回も盛りだくさんの内容でしたが、まずは半幅帯について。


上質な半幅帯は蒸し暑い時期にも、体調が悪い時にも、忙しい時にも重宝なものですので、浴衣や普段着だけと決めつけないで、お洒落着としても活用したいものです。長さや、生地感などで結び方も相応しいものを選ぶと良いです。

皆さん着付けのできる方ばかりでしたので、今回は私がやるのを幾通りか見てもらいました。
この日私が締めていた半幅は20年以上前に試作で織ったもので、長さが短く矢の字か貝の口ぐらいしか結べないのですが、割り角出しを一周だけ巻き付けて垂れを上に乗せてみました。巾は4寸3分ありますので、なんとか格好がつきました。太い糸で織ったリバーシブルです。
半幅は高齢になってからもいいかと思います。
可愛いおばあちゃんを目指したいです!(意地悪ばあさんにならないように…
HPの着姿ページ、半幅の取合せも更新しています。



毎回、幸田文著『きもの』の感想を発表してもらいましたが、最後は私も発表をしました。

形見分けのところを取り上げました。るつ子のおばあさんがテキパキといろいろ仕切って形見分けの段取りなど教えてくれます。私は祖母や母の時のことに思いを重ねました。
人が生きるために使われる道具や着物。そして遺された身の回りの道具たちや着物。
遺された者たちにとってはたくさんの思い出と重なるものでもあります。
自分の着物もあとはどうなるのでしょう。。引き受けて着てくれる方に渡ってほしいなぁと思いますし、手入れをしてきちんと着ていかなければと思います。次世代に手渡せるものを大事に使うという戦前の暮らしからも学びたいです。
この『きもの』からも本当に多くのことを教えてもらっています。

他に着物の寸法の確認やまた紬塾が目指すものについて復習しました。
紬塾のベースにあるのは「自然」です。自分の生き方や環境に照らし合わせて命ある着物をどう着ていくか、自分らしい自然な着姿を探り、高めいく。ただ、本質を見極めながらもあまりタイトに難しく考えすぎずに一歩づつ自分の歩みで進めばよいのです。


参加者のお一人が(着物歴7年だそうですが)、主にお祖母様から受け継いだものが多いのですが、着物ノートを付けてらっしゃいます。
着物や帯の写真が貼られているのですが、着物の写真のそばには何時どこへどんな取合せで出かけたかが記録されています。
出番の多い着物は一目瞭然です。


また、帯の写真ははずせるようにしてあり、取合せを考える時に着物のページで当ててみることもできるのです。長襦袢、コートなども入ってます。
出番の少ないものは合わせる帯が少なかったり、サイズの直しが必要だったり、分析するにもいいですね。
とても素晴らしいと思いました。ご本人は改善点があるとおっしゃられていましたが、自分らしい着物ライフを送る上でもまたどんな変遷をたどるのか興味深いです。

この一年、参加のみなさんのご協力のおかげで、前半の私の体調不良も乗り越えて無事務めることができました。
終わってしまうのは寂しい‥と言ってくださる方もありますが、時々はブログも覗いて下さい。
本当にありがとうございました。

以下は18年度の紬塾に参加してくださった方々の紬塾レポートです。
「紬塾」を振り返り、自分と向き合いそれぞれの言葉で綴って下さいました。
長文もありますが、お時間ある時にゆっくり読んで頂ければと思います。
次期紬塾受講を検討されている方は特に参考にお読み下さい。

19年度の紬塾スケジュール詳細は2月下旬にHPでお知らせ予定です。
募集受付開始は3月中旬です。

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堂々とどんな場面でも締められる半幅帯が欲しいとずっと探していました。
よくある半幅帯に何か物足りなさを感じたまま、私のイメージするものはないのだと諦めかけていたとき、中野みどり先生のブログ、上質な半幅帯に辿りつきました。

紬塾、面白そう…偶然にもちょうど紬塾募集開始の一週間ほど前のことです。
着物が好き、でも、着るだけではなく、着物に関わることをもっと知ることができるのではないかと思い、思い切って参加することに決めました。
一番の決め手は、ブログで拝見する、先生の自然で柔らかな着姿、取り合わせが素敵で、先生にお会いしてみたいと思ったからです。

紬塾では、着物を着ることも学びますが、それは、自分らしく布をまとい、その布の良さを活かしきるためのものでした。
さらには、先生のお話を聞き、皆さんと幸田文著『きもの』を読んで、それぞれが印象的であった箇所やどう感じるのかを発表し合いました。

物事を選び、それらを取り合わせ、着付ける又は使い込む。
そこには、自分をどう見せたいか、ではなく、意図せず自分が表れてしまっていること…自分なりに解釈して気づきを持ったつもりです。
それは、先生が最後におっしゃった、河井寛次郎の「もの買ってくる、自分買ってくる」にも通じるのでしょう。
だからこそ、「良いものを選び取る力、その魅力を引き出す取り合わせができる力をつけて育てていくこと」「オシャレ〜!とかセンスいいね!とか、そんな簡単なものではなく、滲み出るものを感じてより良いものへと発展させていくこと」が大切なのだと思いました。
そして、そのことと、自然の素晴らしさと自然を守ることを意識して日々過ごすことは、別のことのようで繋がっているようにも感じられます。

先生のおっしゃることはシンプルなことです。
「糸をよく見る、そして布をよく見る」
笹山先生の講義でも、見る力のお話がありました。「部分と全体を同時に見る」
でも、そのシンプルなことを自分なりに理解して深めてゆくことはとても難しいのです。
毎回、夢の中の出来事のように濃厚な時間を過ごしながら、でも先生の伝えようとしてくださることは高度で、自分の中に落とし込めていないという焦りもありました。
しかし、自分なりの気づきや、今後大切なことに思い至る種を持ち帰ることはできたと思っています。

布のこと、もっと理解できたらいいな。
先生みたいな着物と帯などの取り合わせ、着付けができるようになりたいな。
そんなこと考えて参加し始めた紬塾でしたが、そんな目に見えるものではなく、自分の中にあるものを強くするためのヒントを学ぶ場でした。

ここに全てを書ききることはできません。
私の言葉では、学んだことの素晴らしさも、私が感じたことも、ほんの少ししか表現できていませんが、紬塾の皆さまに、そして今回参加できた不思議な巡り合わせに、感謝の気持ちでいっぱいです。(N)

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この度は中野先生とのご縁をいただき、ありがとうございました。
染織を習うことはかねてからからの念願でございましたが、お習い事はどなたにお教えいただくかが何より肝要かと思いますし、またひとたびご縁を授かれば紬きもの塾生の関係になりますので、、、
先生の紬塾を訪ね、先生にひと目お会いしただけで私がさがし求めていたお方だと確信いたしました。
永年の夢が叶いまして感謝の思いでいっばいでございます。
毎回心して講義に、励んでまいりました。
心に残っていますことは講義の中で紬は"かたもの"と言われますが先生の頭の中では柔らかものですと。。。
紬は硬いというような固定観念を持たないことが大切です。改めて認識いたしました。
また、染織実習の糸染めのときに、先生が糸を丁寧に扱う真摯な姿勢がとても印象に残りました。(W)

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[紬入門基礎コース ]
本当の紬とは何かということで、糸や草木染めの話をお聞きしたり、映像を見せてもらいました。
絹糸の縮れは、キラキラして、美しいです。
また、紬を着るために、麻の伊達締めや、汗取りを運針から教わって作りました。
運針が、できれば、着物をとことん着尽くすことができます。
最後まで、使い切ろうと作ったものを見せていただきました。その精神には、脱帽いたします。
紬を、楽に、着るための着付けや帯結び、半襟の付け方も教わりました。着物を、日常的に着るための工夫だと思います。
そして、美しく着るための、取り合わせ。
着物の取り合わせは、小物ひとつ変えるだけで、全然変わってしまいます。
洋服とは、考え方がまるで違い、柄オン柄なので、奥が深く、日本人の美意識は、素晴らしいと思います。

[染織実習コース]
真綿から自分でつむいだ絹糸を、先生の庭の木の枝葉を煮出して、染めて、自分の設計図にしたがって、高機で織りました。
真綿は、ウールと違い、縒りをかけなくても糸になるのが、素晴らしいと思います。

11回の両コースをとおして、紬を作るところから、紬のきものを着ること、着尽くしての始末まで、紬きものに関する全てを、学ばせていただきました。
たくさんのことを、教えていただきましたが、その根底にあるのは、中野みどり先生の、人生哲学そのものでした。
染めの時も、ガスも水も、無駄に使わない。空調に頼ることなく、風を取り入れ、風通しの良い服装をする。蛍光灯をなるべくつけず、自然光の中で物を見る。(茶話会の時の、夕暮れの間接照明、ステキでした。)床の間で自分の美意識を磨く、等々。
人工的な便利さを求めることなく、自然の恩恵を最大限に取り入れて、感謝する。
ものは、大切に使わせていただく。
美意識は、研ぎ澄ます。

技術的なことから、精神的なことまで、たくさん学ばせていただきました。
深く感謝いたします。(A)

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紬塾を終えて。
先生の講義の中で印象的な言葉がありました。
「きれいな布が織れた」だけでは意味がない。誰かが着て活きるもの。
最終的にエンドユーザーに届かなくては意味がないことは、私も仕事を通してわかってはいましたが、これまでワークショップでその場限りの手作りしかしてこなかった私には、改めてものづくりを見直す機会となりました。

紬塾に来ただけでは時間も限られますので得られるものも限られるかもしれません。
ですが、紬塾には
・ものづくりと仕事
・真綿に触れる
・たくさんの草木染めの素材(糸、生地、着物)
・染め液の美しさ
などなど…紬塾ならではの体験がありました。

工房には作家目線の家選びがあることにも気づきました。
実習で、ぐらぐらと染め液を煮だしているとき、エアコンがついていないことが気になりませんでした。ほぼ亜熱帯と化した日本の夏でエアコン要らずなのです。
風の通りがものすごく良いのです。風だけでこんなに不快な暑さが和らぐものかと感動しました。
家選びには、風の導線も考えられていました。

今後は、紬塾で得た知識を自分なりに広げて行くことが大事なのだろうと感じています。
そのきっかけをもらえる貴重な時間でした。
ありがとうございました。 (H)

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二年半前に先生の作品に出会ったとき、ふわりと軽くて手触りが本当に柔らかく、優しく自然な穏やかな色合いで本物の紬とはこういうものかと衝撃を受けました。
それからずっとずっと気になっていて、二年越しでやっと塾に通えるようになり、毎回の先生のお話が本当に勉強になる貴重な時間でした。

今回本当にたくさんの事を教えて頂いたのですが、私が特に印象に残ったことは

<自然を大切にする>
必要なものを使わせていただいていく気持ちで、自然へ感謝して丁寧に暮らす。
それが「美しさ」につながる。

<次の世代も使えるものを持つ>
本当に良いものを一生手入れしながら着続ける。
とことん着尽くす本物の良さ。

最終日には、先生が陶芸家の河井寛次郎さんの『物買ってくる=自分買ってくる』という言葉を取り上げて、買ってくるものは自分が反映されているというお話をお聞きしました。

自分が何を好み、どのようなものを選ぶのか、それが全てに通じるということです。
それは当たり前の事のようですが、現代には物があふれ、何でも安価に手に入る時代です。私もこれからは自分の意識を変えて少しずつでも実行していきたいと思っております。

そして今後、私自身まだまだ学ぶことはたくさんあるのですが、着物をはじめとする和文化や手仕事文化のすばらしさをみなさんに伝えていきたいと思っております。

最後に、中野先生に出会えて着物だけではなく生活を丁寧に暮らす大切さを学ばせていただき、自分のこれからの人生が変わった気がします。
紬塾に参加させていただけたことに、大変感謝致しております。一年間ありがとうございました。(M)










ジャンル:
文化
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