中野みどりの紬きもの塾

染織家中野みどりの「紬きもの塾」。その記録を中心に紬織り、着物、工芸、自然を綴ります。

梅雨時の着物と和装下着

2014年07月12日 | 着姿・作品
先日、私の作品集『樹の滴』を読み、着ることの大切さを感じて下さり、単衣の着物を着ることを始めようとしてくださった方から問合せをいただきました。織物をされている方です。

手紡ぎ手織り木綿の着物を単衣で着るのに、クーラーのない部屋では着ているうちに汗だくになってくる。どんな下着を着れば良いのかというような質問を受けました。
紬きもの塾受講の方には11月の講義の時にお話する内容なのですが、季節物という事で少し書きます・・・

まず、梅雨明け前の蒸し暑い時期には木綿の着物は最適とは言えないのですが、
手紡ぎのオーガニックコットンであれば布にかさ高性が有り、発散性も普通のものに比べてあります。
下着は麻の肌襦袢に麻の長襦袢,または半襦袢。下はステテコ。
透けない生地なら裾除けなしで大丈夫です。

麻は肌あたりが強くて向かない方はセルロース系再生繊維のキュプラ、レーヨンなどが良いです。
麻ほど涼しくはありませんが、吸湿性と放湿性にも優れています。裾さばきも良いです。
また他にも着物スリップで放湿性のある良いものがあるかもしれません。

私は麻とキュプラ、木棉の生地のステテコを気候に応じて使い分けています。
またフラットな生地よりも楊柳などの立体的なものは、通風性が有り良いです。
ローライズのタイプがあればいいのですが、ほとんどなくて本当に和装下着は研究されてないのですね。
和装用以外でも探しているのですが、こちらは幅がぴったりしすぎていて、これもイマイチなのです。

普段着の透けない木綿や紬でしたら麻、または綿麻の半襦袢、下を麻、キュプラ、レーヨンなどのステテコで良いのではないでしょうか。
裾さばきを気にするならレーヨンの裾よけをすれば良いと思います。

また帯回りの暑さは本当にかないませんが、汗取りのついたリネンの肌襦袢は汗疹も抑えられて良いです。

浴衣や麻などの自分で洗える着物の場合は、汗取りのついていない麻の楊柳の普通の肌襦袢のほうがかえって涼しいと思います。
身八つ口から風を通して乾かすのが一番です(身八つが大きく開いているので)。
空気穴のようなものです。
私は時々身八つ付近の背中側をつまんでパタパタ風を送ることをします。
これは効果的です。煙突効果ですね。

絹の薄物などの着物に汗染みをつけないようにということなら汗取りがある方が良いです。
あと、汗取りようにリネンのワッフル生地などのタオルで別に汗取りパッドとして作るのも良いのではないかと思います。端に紐をつけたりして。

ヘンプ肌着、汗取りタオルにつきましてこちらもご覧ください。'16.6.23追記

私もクーラーのない部屋で着物を着付けますがなるべく時間をかけずに一気にいきます。
気合ですっ!!
私は梅雨明けまでは紬の単衣で通します。
真綿系の立体感のある紬は梅雨時には最適の着物と思います。適度な張りや肉厚感もあり、通風、シワになりにくいなどの点でとてもよいです。
汗染みも付きにくく、雨に会ったとしても平絹に比べればたいしたことにはならないですみます。
単衣の紬は暑いという方もいますが、地の目の詰んだ固いものや機械織りはいずれにしても着にくいので防水加工をして雨コートなどにするのも良いと思います。
紬は使われる糸の質も太さも織りの密度も様々で一様ではないのです。

また帯も大事です。紬の半幅帯をこの時期特によく締めます。
帯芯も夏用を入れてもらいます。
 自作の藍染の縞半幅帯。
締めるのが簡単。帯揚げ、帯枕が不要なのでずっと楽です。
上質の半幅帯はカジュアルになりすぎずに着用範囲も大きいです。
帯芯なしの八寸名古屋帯もこの時期は良いですね。

梅雨から秋口まで、我慢大会にならずに少しでも楽に着物を楽しみたいです。
他にもいろいろ工夫されている方もあると思いますので教えて頂ければ広めたいと思います。

 製作中の帯。
単衣向きの紬や半幅を含めた紬の会を11月に予定しています。
来シーズンに向けてご検討下さい。またお知らせします。



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