中野みどりの紬きもの塾

染織家中野みどりの「紬きもの塾」。その記録を中心に紬織り、着物、工芸、自然を綴ります。

永井朋生「音」を体験するワークショップ[Ⅱ]――五感を開く

2017年02月11日 | かたち塾、アート鑑賞いろは塾

                                竹のスリットドラムで演奏する永井さん

先日のかたち塾「音のワークショップ」の報告です。
紬塾からも3名の方が参加してくださいました。
動画も撮ったり、音の録音もしたり映像とみんなの演奏を重ねたものも作ったりしているのですが、結構いい感じですが、また機会があればUpします。

五感を開くシリーズとして今回は「聴覚」。音を探すところから始め、物理的な音の出し方(奏法)を自分なりに探しました。今回は2回目でしたので音楽としても成立するように・・との思いもありました(1回目も音楽になっていると評価していただいたのですが・・)。

講師の永井朋生さんの提案で今回は映像と合わせたり(永井さんが旅先などで撮影した自然や雪の降った街の中を行き交う人の足跡などのシンプルな映像など)、また持ち寄った楽器を他の人と交換したり(奏法が人により違うので全く別の音になります)、一人10秒ずつずらしながら演奏をしたり(デュエットで)、自分の世界観だけではなく他の人の音を聴いたり、急にレベルアップでとても内容が濃いものとなりました。

眠っている感覚を開いたという実感が家に帰ってから早速ありました。
テレビの番組の背景にある効果音に気付きやすくなったり、何気ない日常の物音にも急に耳が反応するようになりました。

人の野性として本来的に聴覚は備わっていて危険や必要な情報を得るためにあるはずですが、日々の暮らしは雑音も多くなり耳を閉ざしているようなところもあります。

永井さんの演奏では、新作楽器で、一本の竹から節ごとに切り離して作ったスリットドラムの自然な心地よい響き、紀州の備長炭を長さの順に並べた楽器の不思議な旋律、おりんやガスボンベから作ったドラムの共振音の広がり、ドレミの音程にはない既存の楽器とは違う永井さんが耳を澄まし探りあてた“ものの音”を愉しませてもらいました。

竹の節は根元に近いほど厚く、節の長さは上へ行くほど長くなりますが、音程は上の節ほど低くなります。まだ青い竹でしたが、乾燥したら音も違ってきますね。思わず身体が動き出すような気持ちのよい演奏でした。

今の時代は音楽というとすぐにドレミの西洋音楽を思い浮かべます。またスマホで一人で音楽を楽しむ人も多いわけですが、原始から人々は生きるために音から情報を得、感情を音に表し他の人々と共有してきました。
自然界と自分を繋ぐ音、人と関わる音――。
無音も含めた様々なもの音に耳を澄ましていたいと思います。

五感は「気」を澄ませた状態の中で磨かれます。
気を澄ませた状態というのは偏りや思い込みのない素の状態でなければなりません。
聴覚も日々の中で磨くべき、人に備わっている大切な機能だと改めて思いました。
塩香のワークショップで栃木美保さんは五感を磨くことは六感を開くことに繋がる
という趣旨の発言をされていましたが、六感は五感を日々磨いた先にあるアンテナとも言えるかもしれません。
かたち塾、紬塾はそこを抑えていきます。



コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 自然光の中で木々に囲まれ紬... | トップ | 真っ直ぐな布を織る »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

かたち塾、アート鑑賞いろは塾」カテゴリの最新記事