今年中にいくつ書けるかなー。
ネタバレありありです。
あと今回のテーマ?は、「映画化とかして本屋さんに積まれてた話題の本を思い出して借りてみた」。
食堂かたつむり
恋人が突然消えてしまい、声も出なくなった主人公が、故郷に戻って小さな食堂を始める。
そのお店の名前が、タイトルの「食堂かたつむり」。一日一組限定の、しかもここの料理を食べると恋や願いごとが叶うというステキなお店!
…めっちゃ、行きたいです。
料理の描写が多くて、どれもがすごくおいしそう。中でも一番「食べてみたい!」って思ったのは、シンプルな「だし茶漬け」。これ、主人公が、あんまり好きじゃない相手に作るものなんだけど…ここで思い出す、祖母(主人公に料理の楽しさを教えた人)の言葉がすごく、いい。
イライラしたり悲しい気持ちで作ったりしたお料理は、必ず味や盛り付けに現れますからね。食事を作る時は、必ずいいことを想像して、明るく穏やかな気持ちで台所に立つのですよ。
よし。これから心がけよう…!(単純)
…主人公の「おかん」がすごいキャラすぎて、読んでる私ですら「…この人とはわかりあえる気がしない」って思ってたんですが(うち、関係ないのにね。血が繋がってるわけでもないし)、後半の展開はびっくりしましたね…。
読み終わって最初にぼんやり思ったのは、外からはめちゃくちゃに見える人だって、信じてるものや大事にしてるものがあるんだな、ってことだった。わかりあうのは大変なことかもしれない、許し合うのだって間に合わないかもしれない、…でも、きっかけになるものはそこに、あるんだろうなって。
きいろいゾウ
…何かAmazonのこの写真、暗くないですかね。もっと鮮やかにきいろいんだけどな。
タイトルと、この、まっきいろの表紙からはどんな話なのか全く想像がつかなかったんですが…田舎で暮らすめっちゃ仲良しの夫婦、「ツマ」と「ムコ」さんのお話です。
冒頭に入っている「きいろいゾウ」のお話らしきもの?との関連も最初は全く分からず、おそるおそる、という感じで読みだしたんですが…二人の関西弁での会話が、かわいくて!田舎暮らしの様子も、読んでてスッと映像が浮かんでくるようで…すぐ引き込まれました。あとおもしろかったのが、章ごとにまずツマの視点で出来事が語られ、その後にムコさんの日記が載ってるとこ。同じ日の事なので、同じ出来事が書いてあるんですが、「思ってたけど言わなかったこと」とか、「ツマの語りには出てこなかったこと」とかがあったり、なかったりするのがおもしろくて…。几帳面なのか、食事の内容を細かく書いてたりね。
軽やかに始まるんですが、後半、ズシッと重くなります…。ちょっと読むのが辛いくらいに。でもその重くなる「予告」が本文中にあるので、構えれるって意味では、まだマシだったかな…。
………そうそう、そうだ!思い出した!!私、これ読んでる時からずっと疑問な事があったんだ!
日記に、何か貼ってたのは、本当に「ツマ」なのか?って……。
「人の日記を勝手に読むような人であってほしくない」って、うちの勝手な願望なのかもしれないけど…。だから、あの庭にいた人?がやってるのかと思ってたんだけど…(それはそれで怖いけど…でもそんなん言い出したらこの物語…)。
結局最後までわからなかったことが、衝撃だった。明記されないってことは、つまり、常識で考えて、…ムコさんの思うとおり、ツマがやってたってことなのか、って、…ちょっと、ショックだった。
でも、今ここで書いて思ったけど、明記されてないってことは、そうじゃないかもしれないんだよね!……って、映画であっさりそのシーンとか映像になってたらどうしよう。ツマが宮崎あおいさんとか、イメージぴったりじゃん!って思って見たくなったけど、そういう意味では、見るの怖い…。
怖くて、辛くて、でも読んでてよかったと思えた、終盤のムコさんの言葉。
今僕を動かし、慰め、戒め、休ませ、そしてそこにい続けさせていること。それは、ツマを愛しているということだった。僕の世界はツマその人を中心に回っていて、そしてそれは揺るぐことがなかった。そうだ、揺るぎのない世界だった。それだけで心底安心して、眠り続けることができるほどの。それでもそれをとてもあやうい何かだと思い、消えてしまう可能性に怯え、恐ろしい想像に蓋をしていた。そうではなかった。ツマがそこにいないことに怯えるのではなく、ツマがそこにいること、人生のように、日常のように、そこにただいてくれるだけで、安心して眠りにつけるのだということ。堂々と、幸せだと笑っていられるということ。どうしてそんな簡単な、だけど途方もなく尊いことに、気づけなかったのか。
最後に、ムコさんは日記を捨てると言う。
ソラで言えるかわからないけれど、必要なものは、覚えているのだ。
それはきっといつも、そこにあるのだから。
…覚えていたいことがありすぎて、必死に書き残そうとしている自分を、思わず省みてしまった。
揺るがないものに気づければ(手に入れることができれば?)、私もいつか書くことをやめるんだろうか?
……いや、それは、ないな。
陰日向に咲く
劇団ひとりさんって、特にどうとも思わない人だったんだけど…(すみません)。
表紙もご自身の写真だから、よくある芸能人のエッセイとかそういうのだと思ってたし…。でも読み終わって思う、これ、すごくいい表紙だって!!
ちなみに今回の本、今、感想書いてる順に読みました。「食堂かたつむり」は割とサクッと読めて、「きいろいゾウ」はそれに比べると文字数もぐっと増えるし、内容も重たいしでちょっと時間もかかった。で、これ。パッと見でもう空間が多くて、すごいスピードで読めちゃう感じだった。だから、小説としても「軽い感じ」かな?って思ったんだよねえ…。小説家の人が書く話じゃないしね、って、ちょっと思ってた。…いやはや、これがなかなか、…おもしろかったです!見くびっててすみません!章ごとに主人公が違うんだけど、その、つながりがね…!結構ビックリするようなつながり方してたりして、思わず前の章読み返したくなるんだよね…!で、読み返すと、その「実は出てきてた人」だけじゃなく、その章の主人公も、少し違って見える。これが不思議だったし、実際人ってそうなのかもしれないって思った。普通にしてれば、「自分と相手」ってだけで他人の事を見るし、それで好きとか気に食わないとか別にどうでもいいとか思うけど…他人の目から見たその人は、また全然違う面を持ってるのかもなって。いや当たり前なんだけど。忘れがちっていうか…。それを、押しつけがましくなく、思い出させてくれる本でした。
登場する主人公達の中に、自分に近い!みたいな人はいないんだけど…でも、それぞれの心情とかはわかる気がして、読みやすかった。…ああ、でも、ギャンブルする人の語り口はちょっと怖かったかもしれないwうちは宝くじすら「当たる保障ないのに自分のお金出すの嫌」って理由だけで、それ以上は考えず、関わらず…ってしてるから、ギャンブルする人の気持ちって全然わからないんだけど、…その人がアツく語るせいで少しわかった気がしました。…よけいに怖くなりました、ええ。
ネタバレありありです。
あと今回のテーマ?は、「映画化とかして本屋さんに積まれてた話題の本を思い出して借りてみた」。
食堂かたつむり
食堂かたつむり | |
クリエーター情報なし | |
ポプラ社 |
恋人が突然消えてしまい、声も出なくなった主人公が、故郷に戻って小さな食堂を始める。
そのお店の名前が、タイトルの「食堂かたつむり」。一日一組限定の、しかもここの料理を食べると恋や願いごとが叶うというステキなお店!
…めっちゃ、行きたいです。
料理の描写が多くて、どれもがすごくおいしそう。中でも一番「食べてみたい!」って思ったのは、シンプルな「だし茶漬け」。これ、主人公が、あんまり好きじゃない相手に作るものなんだけど…ここで思い出す、祖母(主人公に料理の楽しさを教えた人)の言葉がすごく、いい。
イライラしたり悲しい気持ちで作ったりしたお料理は、必ず味や盛り付けに現れますからね。食事を作る時は、必ずいいことを想像して、明るく穏やかな気持ちで台所に立つのですよ。
よし。これから心がけよう…!(単純)
…主人公の「おかん」がすごいキャラすぎて、読んでる私ですら「…この人とはわかりあえる気がしない」って思ってたんですが(うち、関係ないのにね。血が繋がってるわけでもないし)、後半の展開はびっくりしましたね…。
読み終わって最初にぼんやり思ったのは、外からはめちゃくちゃに見える人だって、信じてるものや大事にしてるものがあるんだな、ってことだった。わかりあうのは大変なことかもしれない、許し合うのだって間に合わないかもしれない、…でも、きっかけになるものはそこに、あるんだろうなって。
きいろいゾウ
きいろいゾウ | |
クリエーター情報なし | |
小学館 |
…何かAmazonのこの写真、暗くないですかね。もっと鮮やかにきいろいんだけどな。
タイトルと、この、まっきいろの表紙からはどんな話なのか全く想像がつかなかったんですが…田舎で暮らすめっちゃ仲良しの夫婦、「ツマ」と「ムコ」さんのお話です。
冒頭に入っている「きいろいゾウ」のお話らしきもの?との関連も最初は全く分からず、おそるおそる、という感じで読みだしたんですが…二人の関西弁での会話が、かわいくて!田舎暮らしの様子も、読んでてスッと映像が浮かんでくるようで…すぐ引き込まれました。あとおもしろかったのが、章ごとにまずツマの視点で出来事が語られ、その後にムコさんの日記が載ってるとこ。同じ日の事なので、同じ出来事が書いてあるんですが、「思ってたけど言わなかったこと」とか、「ツマの語りには出てこなかったこと」とかがあったり、なかったりするのがおもしろくて…。几帳面なのか、食事の内容を細かく書いてたりね。
軽やかに始まるんですが、後半、ズシッと重くなります…。ちょっと読むのが辛いくらいに。でもその重くなる「予告」が本文中にあるので、構えれるって意味では、まだマシだったかな…。
………そうそう、そうだ!思い出した!!私、これ読んでる時からずっと疑問な事があったんだ!
日記に、何か貼ってたのは、本当に「ツマ」なのか?って……。
「人の日記を勝手に読むような人であってほしくない」って、うちの勝手な願望なのかもしれないけど…。だから、あの庭にいた人?がやってるのかと思ってたんだけど…(それはそれで怖いけど…でもそんなん言い出したらこの物語…)。
結局最後までわからなかったことが、衝撃だった。明記されないってことは、つまり、常識で考えて、…ムコさんの思うとおり、ツマがやってたってことなのか、って、…ちょっと、ショックだった。
でも、今ここで書いて思ったけど、明記されてないってことは、そうじゃないかもしれないんだよね!……って、映画であっさりそのシーンとか映像になってたらどうしよう。ツマが宮崎あおいさんとか、イメージぴったりじゃん!って思って見たくなったけど、そういう意味では、見るの怖い…。
怖くて、辛くて、でも読んでてよかったと思えた、終盤のムコさんの言葉。
今僕を動かし、慰め、戒め、休ませ、そしてそこにい続けさせていること。それは、ツマを愛しているということだった。僕の世界はツマその人を中心に回っていて、そしてそれは揺るぐことがなかった。そうだ、揺るぎのない世界だった。それだけで心底安心して、眠り続けることができるほどの。それでもそれをとてもあやうい何かだと思い、消えてしまう可能性に怯え、恐ろしい想像に蓋をしていた。そうではなかった。ツマがそこにいないことに怯えるのではなく、ツマがそこにいること、人生のように、日常のように、そこにただいてくれるだけで、安心して眠りにつけるのだということ。堂々と、幸せだと笑っていられるということ。どうしてそんな簡単な、だけど途方もなく尊いことに、気づけなかったのか。
最後に、ムコさんは日記を捨てると言う。
ソラで言えるかわからないけれど、必要なものは、覚えているのだ。
それはきっといつも、そこにあるのだから。
…覚えていたいことがありすぎて、必死に書き残そうとしている自分を、思わず省みてしまった。
揺るがないものに気づければ(手に入れることができれば?)、私もいつか書くことをやめるんだろうか?
……いや、それは、ないな。
陰日向に咲く
陰日向に咲く | |
クリエーター情報なし | |
幻冬舎 |
劇団ひとりさんって、特にどうとも思わない人だったんだけど…(すみません)。
表紙もご自身の写真だから、よくある芸能人のエッセイとかそういうのだと思ってたし…。でも読み終わって思う、これ、すごくいい表紙だって!!
ちなみに今回の本、今、感想書いてる順に読みました。「食堂かたつむり」は割とサクッと読めて、「きいろいゾウ」はそれに比べると文字数もぐっと増えるし、内容も重たいしでちょっと時間もかかった。で、これ。パッと見でもう空間が多くて、すごいスピードで読めちゃう感じだった。だから、小説としても「軽い感じ」かな?って思ったんだよねえ…。小説家の人が書く話じゃないしね、って、ちょっと思ってた。…いやはや、これがなかなか、…おもしろかったです!見くびっててすみません!章ごとに主人公が違うんだけど、その、つながりがね…!結構ビックリするようなつながり方してたりして、思わず前の章読み返したくなるんだよね…!で、読み返すと、その「実は出てきてた人」だけじゃなく、その章の主人公も、少し違って見える。これが不思議だったし、実際人ってそうなのかもしれないって思った。普通にしてれば、「自分と相手」ってだけで他人の事を見るし、それで好きとか気に食わないとか別にどうでもいいとか思うけど…他人の目から見たその人は、また全然違う面を持ってるのかもなって。いや当たり前なんだけど。忘れがちっていうか…。それを、押しつけがましくなく、思い出させてくれる本でした。
登場する主人公達の中に、自分に近い!みたいな人はいないんだけど…でも、それぞれの心情とかはわかる気がして、読みやすかった。…ああ、でも、ギャンブルする人の語り口はちょっと怖かったかもしれないwうちは宝くじすら「当たる保障ないのに自分のお金出すの嫌」って理由だけで、それ以上は考えず、関わらず…ってしてるから、ギャンブルする人の気持ちって全然わからないんだけど、…その人がアツく語るせいで少しわかった気がしました。…よけいに怖くなりました、ええ。