ウィトラのつぶやき

コンサルタントのウィトラが日頃感じたことを書いていきます

NSNがモトローラのインフラ部隊を買収

2010-07-20 09:34:49 | 経済
梅雨が明けて暑い日が続くようになった。道端のアジサイも枯れかかってきている。

今日は眼を覚ましたら7時を過ぎていた。普段5時過ぎに起きている私にとっては2時間も朝寝坊をしたことになる。最近、寝苦しくて寝不足がたまっていたのかと思う。家を出たのは8時前で日差しが強くなっていたので帽子をかぶって出てきた。

やはり普段と時間が違うので見かける人が違う。自転車に乗った市ヶ尾高校の生徒とたくさんすれ違った。市ヶ尾高校は男女共学だがどうしても女子高生に眼が行く。自転車に乗った女子高生とこんなにたくさんすれ違ったのは初めてである。

さて、今日の本題である、ノキア・シーメンスネットワークによるモトローラの携帯電話のインフラ部門の買収のニュースである。何日か前にこのうわさを耳にしていたのだが、モトローラの事業売却の話は過去に何度も出ていたのでそれほど気にしていなかった。しかし今回は本当のようである。モトローラは業務用無線のような特殊無線を除いた携帯電話のインフラ部門を売却する様である。

12億ドルと言うから相当に大きな金額である。今アメリカは「国家ブロードバンド戦略」の発表、Apple、Googleの台頭があり、固定・移動を含めて通信事業が脱皮しようとしている時期である。アメリカに対する基盤の弱いNSNがモトローラを買収するのはうなづける。ただし、モトローラは無線は強いが固定部門が弱く、この辺りがどうなるかが不透明な点である。

通信インフラベンダとしてはエリクソンがトップでそれを中国の華為技術が急追している。フランスのAlcatelとアメリカのLucentが合併してできたAlcatel-LucentとフィンランドのNokiaとドイツのSiemens が合併してできたNokia-Siemens Networksが華為技術と同程度の規模であるが両社ともに勢いが無い。その中でAlcatel-Lucentはアメリカ市場活性化の恩恵を受けるのに対して、NSNはアメリカ市場に足がかりが弱く苦境に立っていたので今回の買収になったものと思われる。ただしこの資金をどこから調達するのかに不安がある。

日本市場ではKDDIが影響を受ける。現在のCDMAの基地局にモトローラが入っているし、次世代のLTEの供給元としてもモトローラが入っている。今回の買収により会社自体が強くなるのは好ましいことだが、その反面、なかなか言うことを聞いてくれなくなる、といった側面も出てくるだろう。

KDDIにとってはメリット・デメリットの両方が出てくる今回の買収だか、これを機会にグローバルベンダとの本格的付き合いを始めれば、一つ脱皮できるのではないかと思う。むしろ、KDDIに機器を納入している日本のベンダにとってこれは大きな危機と言えるだろう。

新しいコードレス電話

2010-07-17 19:26:17 | 経済
金曜日にはワイヤレス・ジャパンという展示会に行って来た。

いろいろ情報があったがその中で私が知らなくて面白いと感じたのは、総務省の移動通信課長のプレゼンで最近新しいデジタルコードレス電話を2つ認めたという話だった。

コードレス電話はPHSが出てきたころ(1990年代)には注目を集めていて多くの企業が参入していたが、次第に携帯電話に押されてPHS事業者もウィルコム一社になり、其のウィルコムも経営不振である。メーカーもどんどん撤退している。

こんな状況の中で、世界で広まっているヨーロッパ方式のDECTをパナソニックが、新PHS方式でOFDMを使う方法を京セラが提案したとのことである。

私にとってはこのパナソニックの動きが印象に残った。成熟市場になってあまり発展が望めないと価格競争に陥り、利益は出なくなるのでメーカは次第に手を引いていく。しかし、市場がなくなるわけではないので、コストダウンを徹底して最後まで残ると、安定した利益を出せるようになる。

パナソニックは当初はPHSを作っていてDECTは作っていなかったと思うのだがいつの間にかDECTに参入して結構な世界シェアを持っているようである。このシステムは日本方式ではなく世界中で使われているので、結構安定した事業になると思う。

このパナソニックの着眼点に私は感心したのである。流石に大阪商人という感じがする。

日産マーチの逆輸入始まる

2010-07-16 06:54:09 | 経済
日産のマーチの新型車が発売され話題となっている。リッター26Kmという低燃費に加えて日本発売の車もタイで生産して逆輸入する点が大きな特徴である。

最近あまり騒がれていないが、今は歴史的に見てもかなりの円高で、この状態はかなり続きそうだという判断から企業は海外進出を加速している。楽天の三木谷社長が社内公用語を英語にしたというのも話題となっているが、私はこの日産の動きが日本経済により大きな影響を与えるものと思っている。

自動車産業はすそ野が広い産業で国際競争力もある。その中でいち早く海外移転を進めている日産の業績改善が顕著である。これは今後、大きな流れになる感じがしている。おそらくこれまでで最大の海外移転の流れになるのではないかと思う。

結果として何が起こるか、景気が回復しても大学新卒の就職率は改善せず、失業率は増加するだろう。日本の失業率は国際的にみて非常に低い値にあるが、私はこれが本当なのかということには多少疑問を持っている。つまり失業者の定義を失業率が低く見えるようにしているのではないかという疑問を持っている。それでもかなり国際的に失業率が低いことは事実だろう。

民主党政権は内需拡大を目指して、国債発行を増やしてばらまきを行っている。しかし、内需は拡大せず、デフレは止まらない。一方国債は殆どすべてが日本に金融機関に引き受けられており、私はこれが円高の一因になっていると思っている。つまり国債発行分は確実に日本の国内資金需要となり、金融市場での日本の内需が増加しているように見えているからである。

言うまでもなく、これは見せかけの内需であり本物ではない。こんなことが長く続くわけはないと思っている。私は日本が一旦インフレ、円安に向かうと調整の利かない雪崩を打ったような一気のインフレ・円安になると思っている。それは皆が不安を持ちつつ円を買っているからである。

その時期がいつになるのかはわからない。ただ、政府に備えがあるのかどうかについては疑問を持っている。

溝口のパーソナル開発研究所

2010-07-15 08:18:35 | 昔話

私は、田園都市線の宮崎台にあったNECの中央研究所から溝口のパーソナル開発研究所に1992年に異動になったのだがその初めの頃について書こう。
以前書いたようにこの組織はNECホームエレクトロニクスの研究所を母体として作られており、私の部は研究所から私ともう一人、事業部から3-4人に加えて残りの人達はもともとホームエレクトロニクスの開発研究所の人達、それも新人が多かった。

研究所や事業部から移った人はそれぞれちょっと名の知れたような人たちだったのに対してホームエレクトロニクスの人は殆どが無線の素人であり、技術ギャップから若い人たちを教えるのには大変苦労した。特に事業部から来た課長クラスの人が苦労していた。

驚いたのは業績が悪く、研究所を維持できないような状況になりながら、前年度大量の新人を採用していた点である。こういうマネージメント力の弱さが業績のあったにつながるのかと思った。

職場に行ってまず感じたことは照明が薄暗いことだった。各個人のスペースは非常に狭く、そして殆ど席に居ない。事業部に出稼ぎに行っている人が半分以上いて、そうでない人も実験室にこもっているのだった。私は自分の部だけは違うという雰囲気を出すために、打ち合わせなどもできるだけ、出向かないで自分たちの居る場所でやって、組織としての存在感を高めようと思った。

当時はヨーロッパでGSMが始まる時期であり、日本では日本独自方式であるPDCを開発中、更にQualcommがCDMA方式を提案している、という技術が大きく変わる時期であり、事業部のトップはどの方式にどれくらいの開発人材を割くかで頭を悩ませていたことである。日本方式は目処が立っていたのでCDMA方式が実用化になるのかどうかを見極めようということで、新技術や方式は私の古巣の中央研究所にお願いして開発研究所は試作に注力した。

デジタル方式の黎明期であったので回路規模や消費電力が気になっており、これらを小さくするために色々な方法を考えて特許を出したりしたのだが、後の半導体技術の進歩を振り返ると細かい改善よりも大きな意味で本筋を行って、考え方をシンプルにすることが重要だった。その点では私よりも事業部から来た課長のほうが見識を持っており、彼の意見に影響を受けたものである。

中央研究所の無線グループは別の人が課長になっていたが、その人は無線の研究者では無かったため、私の依頼で研究者が動くことが結構あり、研究所の中では「早く自立しろ」とずいぶんプレッシャーを受けていたようである。


菅総理の消費税論議

2010-07-14 13:13:16 | 社会
民主党の参議院での敗北を受けて、マスコミはあたかも菅総理の消費税論議が主な理由のように言っているが私はそうは思っていない。

以前書いたように「民主に白紙委任せず」が本質だと思っており、これは鳩山ー小沢体制の影響が残っていると思う。それでは菅総理には責任は無いのかというとそうでもないと思うので今回はその点について書いてみよう。

菅総理が施政方針演説で「消費税に対する超党派の議論を始めよう」と呼びかけた。これは正解だと思っているし、これに反対する人は少ないと思う。ここで止めておけば民主党の得票はもっと多かったと思う。

問題は続いて「自民党の10%を一つの目安にしたい。公約と思ってもらってよい」と踏み込んだ点にある。これで「菅総理は消費税を上げるつもりだ」という印象を与えてしまった。もともと、「消費税の議論すらしない」と言っていたのだからそこから、「政権を担当してやはり消費税に触れずに済ますことはできないことが分かった。いつ、どのくらい上げるかはその超党派の議論の中で決めていく」という言い方にしておけばよかったのだと思う。

これは私の想像だが、郵政法案の先送り、新体制人事で支持率が大幅に上がったのを見て、小沢-亀井路線の評判の悪さを知って、小沢-亀井路線との決別を明確に打ち出したほうが得だ、という判断から踏み込んだので、本当にどの程度消費税を上げないといけないかは菅総理は考えていないのではないかと思う。そういうあやふやなところから来る判断が選挙区間中のぶれにつながり、評判を下げたものだと思っている。こういうポリシーではなく「機を見る」ことで判断をしていくのが鳩山前総理との共通点だと思っている。

消費税論議に対する総理の発言はこれからもぶれまくることだろう、そして再び短命内閣に終わるような気がする。

7月のみのり

2010-07-13 09:05:12 | 生活
いつのまにか7月も中旬になり、この週末あたり梅雨明けか、と言われるようになった。

畑の横を歩いているとナス、トマト、とうもろこしなどが実をつけている。栗の木はいつの間にか花が落ちて緑色のイガをつけている。梨の実も大きくなって緑色から茶色っぽい梨の実の色になった。我が家のベランダ菜園でもプチトマトや、トウガラシを収穫している。ゴーヤは不作で殆ど実が付いていない。

梅雨の時期は蒸し暑いと言って人間は嫌うが植物にとっては恵みの時期なのだろう。実が大きくなり収穫の秋までの大切な時期という感じがする。
日本の農業は競争力が無いとよく言われるが、高温多湿の日本の気候は農業に適しているのではないだろうか?

競争力の無いのは農業政策の貧困さからきているように感じる。

参議院選挙の結果をどう見るか

2010-07-12 08:28:35 | 社会
参議院戦況が終わり、民主党が大きく議席を減らし、自民党とみんなの党が増えた。

正直言って民主党は私の予測より減ったし、自民党は私の予測より増えた。この結果をどう見るかであるが一言で言うと「民主に白紙委任せず」という毎日新聞の見出しがポイントを付いていると思う。

菅内閣の支持率は下がったとはいえ40%以上あるが、取った議席は30%強であり、内閣支持率よりも低い。これは民主党が参議院でも過半数を得ることによる民主党が何でも決められるようになることに対するリスクを国民が強く感じ、「民主党が何でも決めるリスクよりは国政が停滞するリスクのほうがまし」という国民の選択だと思う。日本国民は特に国会で物事が決まらないことに対して「困る」という感覚が少ないと思う。それはマスコミが眼を引くことだけを報じて、当たり前だが大切なことが決まったことをきちんと伝えていないからだと思っている。

内容を見てみると、千葉大臣の落選を始めとして反小沢の色が濃く出ていると思う。国民新党はゼロということで亀井元大臣への反発も強い。私が何度も書いた郵政民営化の逆戻りをこれでもろくに国民に説明せずに強行するつもりだろうか。マスコミは消費税に対する菅総理の発言を大きく取り上げているが、私はそれよりも予算委員会での郵政法案の強行採決、国会会期末の強引な決め方などが大きく影響していると思う。少なくとも私にとってはそうである。

選挙が終わってしまうともはや国民の声は無く、結果に対する解釈は政治家とマスコミが騒ぎたてることになる。民主党首脳部がダメで、自民党首脳部が良かったというのが普通の解釈だろうが私はこれは全くはずしていると思う。民主党は鳩山ー小沢体制に対するアレルギーが国民に形成されたのであり、自民党は反小沢票が流れたのであって、谷垣総裁は自民党総裁失格だと思っている。

自民党から分裂した新党が全く駄目だったのに対してみんなの党は躍進している。これはみんなの党はまともな政策を掲げる政党なのに対して、「たちあがれ」や「改革」は権力闘争の中で生まれた政治団体でしかない、ということを見抜かれているからだろう。

今後、民主党内部でこの選挙をどのように総括するか、その行方によっては日本国内は衆参ねじれ現象よりもはるかに深刻な問題となる。そこを国民はきちんと監視していく必要がある。頼りないマスコミがどう報じるかが気がかりである。

富士通がクラウドでマイクロソフトと連携

2010-07-10 07:23:20 | 経済
今朝の日経新聞の一面トップには富士通がクラウドでアメリカのマイクとソフトと連携するとある。NHKでも報じていたので間違いないだろう。

マイクロソフトは言わずと知れたIT業界のトップ企業だが、クラウドではグーグルが先行してマイクロソフトは出遅れている感がある。ソフトを売るビジネスモデルのマイクロソフトに対して、ソフトではなくソフトを使ったサービスを売るグーグルがクラウドで先行するのはある意味で当然と言えるだろう。

消費者向けではグーグルが先行しているが、クラウドを企業のインフラとして使う場合には安心感が重要で、その場合のマイクロソフトのブランドネームは大きいだろう。データセンターやソフト開発は基本的にマイクロソフトが受け持ち、富士通は顧客対応を受け持つようになるようである。

その意味では、富士通にとっては売り上げのかなりの部分をマイクロソフトい持っていかれるようになるのだが信頼性や開発速度では大幅に向上することになり、富士通がクラウドの分野で生き残れる可能性はかなり高まると思う。

現在、日本の企業が提供しているソルーション事業は企業の個別の要求に対応するオーダーメイドなのに対してクラウドは基本的にメニューから選択するレディメイドである。私のような零細事業者はレディメイドから選択するしかないが大きな会社になるほどその会社独自のやりかたを変えづらく、オーダーメイドの部分が残ることになるだろう。この富士通とマイクロソフトの連携ではマイクロソフトがレディメイド、富士通がオーダーメイドの部分を担当して、現在のソルーション事業とグーグルのクラウドの中間的な所を目指すことになるのだろう。

この流れはソフトウェア開発事業の多くの部分がアメリカに移行することを意味している。以前、私はソフトウェア開発人材の雇用問題が日本で出るだろう、と書いたが、それが現実化してくる感じがする。

情報が少ない日本の選挙

2010-07-09 12:59:54 | 社会
選挙が近づいてきたが、私は情報が少ないと感じている。

ちょうどアイスランドの火山が爆発したときにイギリスで選挙をやっていてその時には連日のようにどの党はどのような方針という話をジャーナリストが聞いて矛盾点を追及するような話をしていたし、投射管ディベートも行われた。それに対して日本の選挙は情報が非常に限られている感じがする。

自民党のマニフェストを見てみた。細かいことがたくさん書いてあるのだが、なんとなくそれぞれの官庁でやっているあるいはやろうとしていることをられるした感じで園にポリシーが感じられない。例えば「頑張る人、頑張った人が報われる社会を実現します」と言いながら中身は福祉や医療の話で頑張った人と頑張らない人でどういう違いが出るのがは一言も書いていない。これを読むと「頑張る必要は無い」というメッセージにしか取れない。

マニフェストにしても、政見放送にしても、街頭演説にしても、全て一方通行である。台本さえあれば中身を理解していなくても話すことができる。双方向の政策議論で政治家の実力を引き出すことができないのはやはり日本のジャーナリズムの貧弱さだろう。

日本には民主主義は根付いていないなとつくづく感じる。

中国経済は曲がり角?

2010-07-08 06:38:24 | 経済
中国は驚異的なペースで発展を続け、現在は世界経済を引っ張る状況になっているが、私はそろそろ曲がり角ではないかと思っている。

以前から私は中国の不動産がバブルではないかと思っていた。これはおそらく皆が思っていることであまり反対する人はいないだろう。しかし、中国経済はまだまた実力的に過小評価されている面があり発展余地が大きいので、それほど深刻にとらえていない、と言う人が多いと思う。私もそう考えていた。

最近、曲がり角かな、と思うのはホンダなどの各地の工場で起こっている大規模なストである。これはインフレが過熱気味で物価が上がっていることが要因だと思っている。アメリカは中国元の切り上げを求めているが、インフレになれば元の切り上げと同じ効果があるので、中国政府は応じたとしてもごくわずかだろう。

問題は、中国の安い労働力を求めて進出した中国外からの企業である。こういった企業は中国市場を目指すのではなく中国で生産してアメリカで販売するようなことをしているのだが、こういった会社が次第に中国からインド、インドネシア、ベトナムなどに出ていくと思うのである。

こういった動きがどの程度中国全体の経済に影響するのかは分からない。しかし、このあたりでブレーキをかけておいたほうが良いと政府が考えてブレーキをかける、それが投資心理に影響を与えて加熱する不動産投資が抑えられる、ということがありそうに思うのである。

外資の工場移転などは大した問題ではなくまだまだ中国経済はこのまま発展するかもしれない。まだ3年から5年くらいは発展余地はあるだろう。だがそのときにブレーキがかかると、日本やアメリカのバブル破裂のように大きな経済的インパクトが出るような感じがしている。