今日こんなことが

山根一郎の極私的近況・雑感です。職場と実家以外はたいていソロ活です。

里雪による信越線立ち往生

2018年01月13日 | 防災・安全

今回の寒波は、日本海側の地域に「里雪」型の大雪をもたらした。
里雪型とは、海沿いの平野部に大雪が降る現象で、よくある「山雪」型と違って、平野部の人口集中域が大雪に見舞われるので、”雪国”といえどもいつもはたいした降雪のない地域の大雪なので、予想外の被害が発生する。

その被害のひとつが、新潟平野を走るJR信越線の立ち往生事故だ。
よそ者が勘違いするのは、”雪国新潟”なので、雪害には対応済みのはずという認識。
これは上越線周囲(只見線、飯山線など)の山雪に対応する地域の話(川端康成の『雪国』は、上越線沿いの越後湯沢が舞台)。
積雪でいえば、両者はまったく別の地域。
東京でいえば、山手線と青梅線を 同一視するようなもの。 

その信越線が、乗車率100%を越えた状態で、一晩立ち応往生した。
これはもちろん時間的に異常な長さで、批判される(=反省の余地がある)のは仕方ない。

ただ、重篤な被害者が出なかったという結果は、もちろん乗客(特に立ったままの乗客)に苦痛を与えた点は確かだが、緊急時における基本的対応としては間違ってはいなかったといっていい。

最悪の事態は、装備のない乗客を降雪の原野に解放し、数十センチ積もった道のない雪原をホワイトアウト状態の夜間に歩かせることで、積雪とその気温から、凍死者を出すことになる(まさに八甲田山雪中行軍状態)。
幸い、車内に電気は通っていたので、照明と暖房、そしてトイレもある生存に安全な空間を維持できていた。

こういう事態での対応としては、安全空間に待機していることは、ベストではないにしても、デフォルトで維持すべき、すなわち”間違いではない”判断(八甲田での惨事も、夜間に雪洞を出て、極寒の中帰路をさ迷ったことから始まる)。
なので現場の判断としては、これ以外に選択肢はない。

言い換えれば、乗客の生活の質に寄与する”ベスト”な対応を考え・実行するのは、現場ではない。
といっても、予想外の里雪事態だったため、同じ里での対応(他の交通手段)も困難だったのも確か。
なので、もっと上の指揮が必要になったともいえる。

あとテレビで、閉所恐怖を自認するコメンテーターが、私だったら窓ガラスを破って脱出すると述べていたが、山手線あたりでの立ち往生を想定し、極寒の豪雪状態であることを忘却した発言だろう。


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