新国立美術館で開催中の「新海誠展」を観に行った。
もちろん『君の名は。』の作者・監督の新海誠。
「安藤忠雄展」も同時開催中なのだが、2つ一緒だと満腹すぎるので、別個に観ることにする。
入場者は若い人ばかりかと思っていたが、年齢層はまんべんなく広かった(平日昼ってこともある)。
新海誠は美大出ではなく、普通の大学の文学部出だった。
自宅のMacで自作したデビュー作『ほしのこえ』 から、作品別に絵コンテを含めた制作過程が詳しく展示されていた。
あの写真と見まがう風景描写は、写真をそのままデジタル加工したのではなく、ロケ写真をもとにしているものの、絵はパソコン上で描いたものだった。
絵の一色ごとPhotoshopのレイヤーにして、 レイヤーを幾重にも重ねて一枚の絵にした。
あと個人的に気になっていた雲の描写は、やはり彼自ら手を入れていたという。
Photoshopのカスタムブラシで透明感のある薄い雲が描かれていることがわかった。
彼の作品は、光、雨、雲の表現が特徴的で、それ自身がストーリーと関係している。
彼は自分が育った長野県佐久の自然の中で、雲を眺めるのが好きだったそうだ。
彼の映画には「積雲」が多い。
好晴積雲(綿雲)から雄大積雲(入道雲)までで、「積乱雲」はない※。
積雲は青空の中に突然出現する雲。
そして積雲から雄大積雲へは強い上昇流によって成長していく。
だが雄大積雲は成長の極致ではない。
それ以上上昇を続けると積乱雲になってしまう。
積乱雲になってしまうと、烈しい雷雨となって、破壊的となる。
※いくつかの作品に積乱雲(雷雲)があった。ただ遠雷でたいした存在感はない。