今日こんなことが

山根一郎の極私的近況・雑感です。職場と実家以外はたいていソロ活です。

自宅固有の危険性がある

2013年10月17日 | 防災・安全
台風26号による伊豆大島の被害の大きさに驚いている。
台風が本土に近づいている時、テレビはずっと台風を追っている。
マスコミ総出でリアルタイムに台風を追っているのだから、地震や竜巻に比べて、絶対に対応しやすいはずだ。
それなのに被害を予想できなかった。

自治体の避難指示態勢の問題も指摘されている。
だが、自治体レベルでは地域の細かい危険度の差異にまで、
そして地域内のあらゆる場所の異変に注意を向けるのは無理だ
(責任を負わせることはできるが、実質的に防ぐことはできない)。

マスコミは、気象庁が「特別警報」を出さなかったことを問題視しているが、
「記録的短時間大雨情報」が発令されたことで、現実の災害発生が予測されている。
それまでの”警報”とはレベルが違うことを、自治体は深刻に受けるべきなのだ。

防災の授業をしている私が、学生にまず調べさせるのは、
自宅付近の危険性の把握だ。

まずは、自治体発行のハザードマップを調べさせる。
だが、ハザードマップは地震と洪水にたいてい限定されている。
そもそも多くの人は、地震の防災だけで満足している。

もちろん、それだけでは足りない。
地震でも大雨でもともに起きる、すなわちこれら単独よりも起こりやすい別の災害があるからだ。
土砂災害である。

今の日本では洪水の被害は少ない。
雨がもたらす深刻な被害は、土砂災害なのだ。
日本の7割以上が、傾斜地であるためだ
(2011年の紀伊半島での深層崩壊の被害が記憶に生々しい)。

なので、学生の自宅近くに「急傾斜地崩壊危険箇所」があるかを調べさせる。
この情報は自治体の上記のハザードマップとは別個の情報となっている
(もちろん、地形図持参で近所を見て回るのを勧める)。
一部、意識の高い自治体(たとえば名古屋市千種区)は、
地震ハザードマップに土砂災害危険箇所の情報を重ねている。

これらによってわかるのは、危険箇所というのは、狭い自治体の中でも複雑な分布をしているということ。
地震や洪水と違って、ブロック1つ隔てただけでも危険度が異なるのだ。
すなわち、各家で自宅の危険度を前もって把握し、
近所とは別個の固有の基準で避難判断が必要になるのだ。
この点が、河川増水の避難判断と異なる。

自宅の災害危険度は、各自で把握しよう。

ちなみに伊豆大島の土砂災害危険箇所マップは下記のサイトで見れる。
http://www.kensetsu.metro.tokyo.jp/kasen/map/Tokyo/Sakuinzu/html/Tokyo56.html
これ(図5/7の左上)を見ると、今回の被害地付近に大島特有の「土石流危険箇所」が分布している。