博客 金烏工房

中国史に関する書籍・映画・テレビ番組の感想などをつれづれに語るブログです。

『覚醒年代』その4(完)

2021年06月09日 | 中国近現代ドラマ
『覚醒年代』第34~最終43話まで見ました。

陳独秀、李大釗は学生たちだけでなく自分たちも茶館でのビラ配りと演説などで山東問題について訴えようとしますが、瞬く間に警察の手が入り、逃げ遅れたというか逃げるつもりすらなかった陳独秀が捕縛されて投獄。五四運動については結局中国側がヴェルサイユ条約調印を拒否するという形で決着するのですが……

しかし南方政府(広東政府)からの要求により、中華民国大総統徐世昌は陳独秀を釈放せざるを得なくなります。蔡元培の差配により、以前より南方政府は陳独秀を教育部の次長として招聘して西南大学の設立準備に当たらせようとしていたのでした。


釈放を記念して宴が開かれ、陳独秀は蔡元培や李大釗らと熱い抱擁を交わします。このドラマ、やたらとこういうおっさん同志の抱擁とか、絆を深め合うためにみんなで輪になって手を繋ぎ合うとか、そういう描写が目に付くんですよね……

そして陳独秀は北京大学教授の職を辞し、南方政府の招聘に応じることを決意。善後策のために上海に赴いたり北京に戻ったりしていますが、行動が逐一警察にマークされているということで、本格的に南方への移住をすることに。李大釗に伴われて密かに天津へと向かい、天津から上海へと入ることになります。


二人は北京から天津に向かう途中で難民たちの集落を目の当たりにします。そして老人から「こんな国家に救いようはあるのか?」と問われたことに衝撃を受け、マルクス主義による政党を設立し、世を救うことを決意。そこからそういう発想に持っていくのはかなり強引なような気がしますが、この台詞は却って我々日本人に突き刺さります。


そうこうしているうちに北京の李大釗、上海の陳独秀のもとにコミンテルンからの使者ヴォイチンスキー到来。ソヴィエト・ロシアの協力によるマルクス主義政党の設立を促されます。そして陳独秀に抱擁を求めるヴォイチンスキーですが、陳独秀は「抱擁は中国の伝統において合体の意味がある」抱擁に対するポリシーを披露し、抱擁は拒否して握手で済ませます。


で、党名が中国共産党と定められ、上海、北京、長沙など中国各地、そしてパリなど海外でも小組が結成され、上海で第1回全国代表大会が開催されるはこびとなり……というあたりで物語は幕を閉じます。

【総括】
新文化運動、五四運動、そして中国共産党結成と歴史的な事件を追いつつ、陳独秀、李大釗、胡適、魯迅、毛沢東といった多くの人々の動向を追う群像劇として成立しています。新文化運動がテーマということで、『新青年』の発行、文学革命、学生運動など文化的側面の描写に力を入れている点もポイントが高いでしょう。普通に近代史劇として優れた作品なんで、NHKかWOWOWあたりで日本語版を流す価値があると思います。

主役の陳独秀については抱擁に一家言のあるおじさんという間違ったイメージを植え付けられるというか、とにかく面倒くさい人間として描写されています (^_^;)

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