博客 金烏工房

中国史に関する書籍・映画・テレビ番組の感想などをつれづれに語るブログです。

『清平楽』その3

2020年05月05日 | 中国歴史ドラマ
『清平楽』第11~15話まで見ました。

宮廷では苗心禾が仁宗の初めての子を懐妊。宰相呂夷簡は苗心禾を昭儀に昇格させることを提案しますが、皇后曹丹姝は昇格は出産後にすべきと反対。このドラマ、他の宮廷物だと懐妊した妃嬪に毒を盛るだの盛らないだのという話に力を入れるところを、こういう細々とした礼制とか政治に関わる論争の描写に力を入れているのが面白いです。


一方、一家離散した元梁家果子店の次男坊梁元亨くんは、母親とともに母方の実家で暮らしていたところ、母親と伯父が病没し、生き残った伯母に身柄を売っ払われて宦官にさせられておりました。しかも上官の前で自分の名前の説明をするのに『易経』の「元亨利貞」を引いて仁宗の諱「禎」を犯してしまい、良くて宮中から追放、悪くて死罪となるところを、仁宗お付きの宦官張茂則のはからいにより処分は一時保留となります。

苗心禾の方は無事に皇女徽柔を出産。こちらの名前の由来は『尚書』無逸の「徽柔懿恭、懐保小民」。皇女誕生による恩赦で救われる形になった元亨くんも、皇后の提案により懐吉と改名。


さて、梁懐吉の兄の梁元生は一家離散の後、一人酒場の小二として働いておりましたが、どうやら伯母が聊城県県令と結託して口減らしに弟を売っ払ったと察し、人身売買を行ったとして2人を告発。しかもその県令が宰相呂夷簡に賄賂を使って科挙に合格したという疑惑が噴出し、呂夷簡、そして彼を弾劾した王曾が地方に出ることになります。


そしてここらへんで宮中の教坊の踊り子張妼晗が登場。実は子供時代に仁宗と一度出会っているのですが、仁宗はすっかり忘れてしまっている様子。仁宗に恋い焦がれる張妼晗は何としても彼に近づこうとし、彼女の踊りの師匠である賈玉蘭はその意気込みと魅力を見込み、懇ろとなっている重臣の夏竦の力も借りつつ彼女をバックアップしようとします。

そんな中、都では大きな地震が発生。曹丹姝が仁宗を庇いつつ屋外へと避難した後に、「太妃は大丈夫か?」「あそこで火災がおこってないか確認せよ」と宦官にテキパキ指示する姿を目にした仁宗は、彼女の後ろ姿を亡き劉太后と重ね合わせるのでありました……

ということでこの作品、今のところベタな宮廷物になりそうでならない絶妙なバランスを保っています。また宮廷での政争を描いてはいるのですが、従来の歴史物とは違ってどぎつい印象はありません。類似作がたくさんあるように見えて実は似ているものがないという、いい意味で不思議な作品になっています。
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