博客 金烏工房

中国史に関する書籍・映画・テレビ番組の感想などをつれづれに語るブログです。

2015年7月に読んだ本

2015年08月02日 | 読書メーター
文明の誕生 - メソポタミア、ローマ、そして日本へ (中公新書)文明の誕生 - メソポタミア、ローマ、そして日本へ (中公新書)感想
メソポタミアを出発点に古代ギリシア・ローマ、中国・日本に至るまで、都市・職業・身分・暦・交通網などテーマ別に発展の跡を追っていこうという趣旨なのだが、各地域間の話があんまり有機的につながってないなという気が……
読了日:7月1日 著者:小林登志子
風と共に去りぬ 第5巻 (新潮文庫)風と共に去りぬ 第5巻 (新潮文庫)感想
「金ぴか時代」の先頭を突っ走っていたはずのスカーレットだが、彼女にも破局が…… 結局最後までスカーレットにはいまいち共感できなかったが、身勝手な部分も含めて心理描写は却ってリアルに感じた。ラストの台詞も彼女ならではのものだろう。レット・バトラーがボニーの誕生後豹変したのには何となく納得。
読了日:7月5日 著者:マーガレットミッチェル
吉田松陰とその家族-兄を信じた妹たち (中公新書)吉田松陰とその家族-兄を信じた妹たち (中公新書)感想
大河ドラマの副読本として、特に「その家族」の部分を知りたくて読んでみたのですが、松陰自身の伝記がメインとなっています。松陰死後の家族の話は全9章中の最後の2章で触れるのみとなっています。その中で叔父の玉木文之進のもとに一時期乃木希典が居候しており、その縁で乃木の弟真人が玉木家の養子となる話が紹介されていますが、このあたりは大河でもちゃんと取り上げてくれるのでしょうか。
読了日:7月6日 著者:一坂太郎
ハンコの文化史: 古代ギリシャから現代日本まで (読みなおす日本史)ハンコの文化史: 古代ギリシャから現代日本まで (読みなおす日本史)感想
オリエント・西欧・中国・日本と世界各地のハンコ文化について総覧しているが、中国のハンコが鉄器・金属貨幣の使用とともにオリエントから伝来したとしている点が注目される。本書で紹介されている殷鉨については、近年近年考古発掘による出土例が紹介されていたと思うが。
読了日:7月10日 著者:新関欽哉
日本占領史1945-1952 - 東京・ワシントン・沖縄 (中公新書)日本占領史1945-1952 - 東京・ワシントン・沖縄 (中公新書)感想
GHQの最高司令官がマッカーサーでなかったら、占領政策の方向性、憲法改正(日本国憲法制定)、講和への道のりなどがまったく違ったものになったのではないか。本書の冒頭で紹介されている、マッカーサーがフランクリン・ローズヴェルト大統領と会見し、「これまでの生涯で私に向かって彼のような口調で喋るやつは見たことがない」と言わしめたエピソードが印象的である。
読了日:7月13日 著者:福永文夫
昭和史講義: 最新研究で見る戦争への道 (ちくま新書)昭和史講義: 最新研究で見る戦争への道 (ちくま新書)感想
幣原外交から終戦後の占領まで、複数の執筆者による概説書。各事項の基本的理解や背景、関連するトピックについて、詳しく知りたかったポイントを押さえていると感じた。参考文献の紹介も丁寧にされているので、今後も折に触れて参照したい良書。
読了日:7月15日 著者:
天皇の料理番 (上) (集英社文庫)天皇の料理番 (上) (集英社文庫)感想
今回放映されたドラマ版と比較すると、主役の篤蔵はドラマ版の方がクズ度が上がっているなという印象。こちらの原作の方は父親の方も最初から篤蔵に理解を示しているし、篤蔵の性格も要領の良さや抜け目無さが目立ち、若い頃の秀吉に似ているという感じ。
読了日:7月19日 著者:杉森久英
漢字から読み解く中国の歴史と文化漢字から読み解く中国の歴史と文化感想
漢字の字源を取っ掛かりに中国古代の文化や生活について見ていこうという趣旨だが、取り上げる漢字の字形が『説文解字』までしか遡らないものがちょこちょことあったりと、立ち位置が中途半端なのが気になった。古文字の字形をメインに古代の文化・生活について見るなら許進雄の『中国古代社会』、考古学の発掘の成果を中心に見ていくなら孫機の『漢代物質文化資料図説』を翻訳した方が良かったのではないか。
読了日:7月21日 著者:王貴元
天皇の料理番 (下) (集英社文庫)天皇の料理番 (下) (集英社文庫)感想
ドラマでは触れられていないトピックで面白かったのは、篤蔵と味の素との意外な関わり、篤蔵の競馬好き、エビの絵を得意としたところなど。今回のドラマ版は特に終盤でそういう個別のトピックをうまく取り入れていた。
読了日:7月21日 著者:杉森久英
中国近世史 (岩波文庫)中国近世史 (岩波文庫)感想
唐末五代から元代までの通史。講義録という性質上からか、「シナの官吏は傭人根性で、人民の利益を考えないものが多いためであって、いかなる良法も役に立たない」とか、「シナの文化の中心になる読書人の階級からは、元の政治は不便であったが、程度の低い一般人民には手ごろであったかもしれない」といったシニカルなコメントが目立つ。宋元の頃であれば日本人の「民度」も大差なかったと思うが。
読了日:7月25日 著者:内藤湖南
李自成―駅卒から紫禁城の主へ (世界史リブレット人)李自成―駅卒から紫禁城の主へ (世界史リブレット人)感想
李自成集団の成立から滅亡まで、その背景を含めてかっちりとまとめている。明を興した朱元璋との対比も面白い。李岩や陳円円については史実から離れた伝承の部分ももう少し言及してくれてもよいと思ったが、リブレットの紙幅にそこまで求めるのは酷か。
読了日:7月27日 著者:佐藤文俊
コメント (2)
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