河添房江『源氏物語と東アジア世界』(NHKブックス、2007年11月)
古代日本の海外交易シリーズ第三弾です。物語中に登場する異人や唐物を中心に『源氏物語』を読み解いていこうという主旨の本ですが、最初に紹介した『遣唐使』で批判されているような、過度に「遣唐使の時代以後も開かれていた日本」を強調する内容になっている感がなきにしもあらずです(^^;)
個人的に興味深かったのは、他ならぬ著者の紫式部と異人・唐物との関わりです。彼女の父親の藤原為時が越前守に任じられた際に、彼女も父親に従って任地に下向しましたが、日本海に面した越前国は宋や渤海国の人々の往来が割と頻繁になされ、異国の風を感じやすい土地柄であったとのこと。
また彼女の夫の藤原宣孝はやはり任官の関係で太宰府での交易の事情に通じており、その宣孝や彼女とも親しかった藤原実資は一種の唐物狂いで、彼女の仕えた彰子の父親で時の権力者の藤原道長のもとにも当然唐物がふんだんにもたらされました。このような身近な環境や人々からもたらされたモノや情報が『源氏物語』中の異人・唐物の描写に影響を与えたのだと本書では論じています。
アメリカでは近年、越前滞在中の紫式部が宋の商人の息子と恋仲になる小説まで出版されたとのことですが(^^;)
古代日本の海外交易シリーズ第三弾です。物語中に登場する異人や唐物を中心に『源氏物語』を読み解いていこうという主旨の本ですが、最初に紹介した『遣唐使』で批判されているような、過度に「遣唐使の時代以後も開かれていた日本」を強調する内容になっている感がなきにしもあらずです(^^;)
個人的に興味深かったのは、他ならぬ著者の紫式部と異人・唐物との関わりです。彼女の父親の藤原為時が越前守に任じられた際に、彼女も父親に従って任地に下向しましたが、日本海に面した越前国は宋や渤海国の人々の往来が割と頻繁になされ、異国の風を感じやすい土地柄であったとのこと。
また彼女の夫の藤原宣孝はやはり任官の関係で太宰府での交易の事情に通じており、その宣孝や彼女とも親しかった藤原実資は一種の唐物狂いで、彼女の仕えた彰子の父親で時の権力者の藤原道長のもとにも当然唐物がふんだんにもたらされました。このような身近な環境や人々からもたらされたモノや情報が『源氏物語』中の異人・唐物の描写に影響を与えたのだと本書では論じています。
アメリカでは近年、越前滞在中の紫式部が宋の商人の息子と恋仲になる小説まで出版されたとのことですが(^^;)