Willow's Island

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中国を叩き落す必殺キーワード Ongoing Imperialism

2013年07月06日 06時16分49秒 | 中国

 富坂聰氏の「間違いだらけの対中国戦略」を読んだ。実は私は富坂氏のファンであり、彼の著書はこれ以外にもいろいろ読んだ。中国問題の専門家は多いが、この人の著書は他の中国関連本と比べても、内容が非常にリアルなのである。しっかりとした情報源を持って書いているのだろうと感じる。それでいて、中国にどっぷり浸かった人間にありがちな、中国に媚びたような内容は一切ない。何より最優先すべきは日本の国益、というスタンスが堅持されている。
 この本で富坂氏が主張していることの一つに、日本も「ワンワード戦略」を打つ必要がある、ということがある。つまり、「日本でファシストが復活」というような、中国が仕掛ける宣伝戦に負けることなく、国際世論を日本有利に動かしていくためには、日本も短い印象的なフレーズで国際社会に対して宣伝していくべき、ということだ。
 日本として中国や韓国への反論はいくらでもあるが、細かい議論をしていても、当事国でない国は関心など持ってくれないのである。例えば慰安婦問題であれば「SEX SLAVE」というキーワードを使うことによって、国際世論が圧倒的に韓国有利になった、という経緯がある。重要なことはそのキーワードが事実かどうかではなく、国際社会がそれを信じて動き出す可能性があるかどうか、なのだそうだ。細かい事実検証が考慮されないということであれば、極端な話、事実に反したワードでもよい、ということになる。まさに宣伝戦という名の外交戦争だ。日本がこのまま黙っていてよいわけがない。
 そこで富坂氏が中国対策として考案したキーワードが「大国無罪」だ。これは日本でも悪名高い「愛国無罪」という言葉をもじったものである。中国が大国として傲慢にふるまい、国際法やルールを無視していることに対して、強い批判と皮肉を込めた言葉だ。
 しかし国際社会に訴えるためには、まず英語で発信する必要がある。「愛国無罪」は英語にすると、"With Patriotism, We Are Never Guilty." だろうか。であれば、「大国無罪」は "With Super Power, China Is Never Guilty." というところか。富坂さんには悪いが、いまひとつピンと来ない。
 そこで私も、国際社会において中国を陥れるためのキーワードを考えてみた。
 Ongoing Imperialism(オンゴーイング・インペリアリズム) である。
 日本語にすると、「現在進行中の帝国主義」という意味だ。軍事力をちらつかせて南シナ海や東シナ海を我が物にしようと横暴を繰り返す中国は、まさに遅れてきた帝国主義国家といえる。中国国内においても、チベットやウイグルに対する苛酷な支配は帝国主義そのものである。
 そして、ongoing(現在進行中の)というところが重要なポイントだ。中国はことあるごとに日本をつかまえてファシズムだとか帝国主義だとか言っているが、日本が帝国主義国家であったのは70年も前のことだ。終戦後は一貫して平和主義国家として着実に歩んでいることは、中国・韓国・北朝鮮以外の国からは、よく理解されている。
 それに比べて中国は、21世紀の現在において、帝国主義を進行させている。ベトナム、フィリピンなど東南アジア諸国だけでなく、インドやロシアなど中国の周辺国家でも、このことはよく理解できるのではないだろうか。「現在進行中の」という点を強調することによって、中国を叩くのと同時に、日本への「ファシズム復活」という中傷が的外れであることを明確にすることができる。この Onging Imperialism というワードが普遍化することを願ってやまない。
 ついでに、韓国の国家イメージに対しては "Cheap Copy of Japan" とでも言っておけばどうだろうか。実にしっくりくると思う。(^^)

今さら何が「棚上げ」だ

2013年07月03日 06時26分51秒 | 中国


http://news.goo.ne.jp/article/yomiuri/politics/20130701-567-OYT1T01597.html
沖縄県の尖閣諸島を巡る日中両政府の対立に関連して、中国政府が〈1〉日本政府が領土問題の存在を認める〈2〉日中双方が問題を「棚上げ」する――ことを、日中首脳会談開催の条件としていたことが1日、明らかになった。
 「解決すべき領有権の問題は存在しない」とする日本政府の見解を変更するよう求めたものだが、安倍首相は中国政府に対し、拒否する考えを伝えた。中国が条件にこだわる限り、首脳会談の早期実現は難しそうだ。
 日本政府関係者によると、中国政府は6月中旬、日本側に首脳会談開催の条件を伝え、受け入れを求めた。これに対し、 谷内正太郎内閣官房参与が訪中した際、 戴秉国(たい・へいこく)前国務委員との会談で「日本政府として、認められない」と回答した。
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 ん?? 尖閣は中国の「核心的利益」とやらじゃなかったのか? 
 本当に核心的な利益なら、「棚上げ」なんぞできるわけないだろ。
 中国は奴らの言う「棚上げ」をやめて強引に尖閣を奪おうと画策したが、どうやら万策尽きたようだ。かつては「戦争に備えよ」とまで言っていたが、今の中国の経済状況で、日本やアメリカ(そして国際社会)を敵に回してまで軍事行動に走れるわけがない。かっこ悪いことこの上ないが、これは中国自身が招いたことである。
 昨年に日本が尖閣を国有化して中国で大反発が起きたとき、「日本が選択を誤ったせいで中国も棚上げ論には戻れなくなった」などと抜かした評論家(日本人?)がいたような気がするが、そいつは今の状況をどう説明するんだろうか。ぜひ聞いてみたいもんである。

カタカナ言葉の多用にも意味はある

2013年07月02日 00時21分57秒 | その他

http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130627/trl13062710070000-n1.htm
 NHKは放送番組や番組名で外国語を使いすぎるのをやめるべきだ-。こんな訴えが名古屋地裁であったことが26日、明らかになった。外国語の乱用で内容を理解できず、精神的苦痛を受けたとして、71歳の男性がNHKに対し141万円の慰謝料を求めたこの裁判。公共放送NHKのカタカナ言葉使用に一石を投じる形となった訴えを、司法はどう判断するのか。

 「カタカナで表記すると意味が変わるのか。普遍的な報道に、見栄えや格好良さを求める必要があるのか」。こう話すのは、提訴した岐阜県可児市の任意団体「日本語を大切にする会」で世話人を務める高橋鵬二さんだ。

 訴状では、NHKが番組内で「リスク」や「ケア」など、外国語を使わなくても表現できる言葉を多用しており、番組名にも「BSコンシェルジュ」「ほっとイブニング」など外国語を乱用していると主張。視聴者の大部分が理解できる言語で製作されておらず、憲法で保護された知る権利や幸福追求の権利を侵害しているという。
<以下略>
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 私も可児市に住んでいるが「日本語を大切にする会」なんて会があるとは知らなかった。NHKにとっては大変だろうが、なかなかユニークな訴えである。
 しかし私は、この男性と考えが違う。言葉というのは生きているものであり、常に変わっていく。特に日本語は柔軟な性質を持っており、新しい言葉が生まれやすい。
 新しい言葉というのは、旧来用いられてきた単語と微妙に違うからこそ、生まれてくるものだ。それがカタカナ語であっても何でも、まったく意味の無い言葉が一般化することなどないと思う。元は英語であったとしても、カタカナ化され、一般に用いられるようになった時点で、それはれっきとした日本語なのである。
 「カタカナで表記すると意味が変わるのか」とのことであるが、実はその通りで、変わるのである。意味が変わるというより、厳密にいえばニュアンスが変わる。例として、この記事で挙げられている言葉を解説してみると、以下のとおり。

リスク・・・「危険」という日本語が最も近いが、実は少し違う。日本語の「危険」は danger を指すことがほとんであり、risk ではない。あえて言えば「負の可能性」だが、それなら「リスク」と言った方が早い。

ケア・・・「介護」と非常に似通った言葉だが、微妙に違う。「介護」が「手助け」的な意味であるのに対し、「ケア」はより包括的に、見守りや相談に乗ること等も含む。居宅系よりも施設系のサービスで用いられることが多い。

トラブル・・・あえて訳せば「問題」だが、日本語の「問題」には question や problem という意味合いも含む。「トラブル」と言うことによって、それらとの差別化をはかるという意味はある。

コンシェルジュ・・・「総合案内係」などと訳されているが、コンシェルジュの仕事は案内だけではない。客の様々な相談にのり、実際に体を動かして様々なサービスをしなければならないのである。まったく新しい概念の職業なので、従来の日本語では対応できない。

アスリート・・・本来の意味は「運動選手」であるが、半ばタレント化したテレビによく出るスポーツ選手を指すことが多い。地味に人知れずがんばっている選手を「アスリート」とは普通呼ばない。

コンプライアンス・・・「法令順守」だが、会社など事業者が、利益だけを追求せずに法令もしっかり守るということを意味する。一般個人が交通ルールを守ったりすることは「法令順守」であるが、「コンプライアンス」とは言わない。

マニフェスト・・・これだけは例外だ。弁解のしようがない。今すぐにでも日本語から追放すべき、醜悪な言葉である。民主党とともに消え去っていくこととは思うが。