http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130627/trl13062710070000-n1.htm
NHKは放送番組や番組名で外国語を使いすぎるのをやめるべきだ-。こんな訴えが名古屋地裁であったことが26日、明らかになった。外国語の乱用で内容を理解できず、精神的苦痛を受けたとして、71歳の男性がNHKに対し141万円の慰謝料を求めたこの裁判。公共放送NHKのカタカナ言葉使用に一石を投じる形となった訴えを、司法はどう判断するのか。
「カタカナで表記すると意味が変わるのか。普遍的な報道に、見栄えや格好良さを求める必要があるのか」。こう話すのは、提訴した岐阜県可児市の任意団体「日本語を大切にする会」で世話人を務める高橋鵬二さんだ。
訴状では、NHKが番組内で「リスク」や「ケア」など、外国語を使わなくても表現できる言葉を多用しており、番組名にも「BSコンシェルジュ」「ほっとイブニング」など外国語を乱用していると主張。視聴者の大部分が理解できる言語で製作されておらず、憲法で保護された知る権利や幸福追求の権利を侵害しているという。
<以下略>
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私も可児市に住んでいるが「日本語を大切にする会」なんて会があるとは知らなかった。NHKにとっては大変だろうが、なかなかユニークな訴えである。
しかし私は、この男性と考えが違う。言葉というのは生きているものであり、常に変わっていく。特に日本語は柔軟な性質を持っており、新しい言葉が生まれやすい。
新しい言葉というのは、旧来用いられてきた単語と微妙に違うからこそ、生まれてくるものだ。それがカタカナ語であっても何でも、まったく意味の無い言葉が一般化することなどないと思う。元は英語であったとしても、カタカナ化され、一般に用いられるようになった時点で、それはれっきとした日本語なのである。
「カタカナで表記すると意味が変わるのか」とのことであるが、実はその通りで、変わるのである。意味が変わるというより、厳密にいえばニュアンスが変わる。例として、この記事で挙げられている言葉を解説してみると、以下のとおり。
リスク・・・「危険」という日本語が最も近いが、実は少し違う。日本語の「危険」は danger を指すことがほとんであり、risk ではない。あえて言えば「負の可能性」だが、それなら「リスク」と言った方が早い。
ケア・・・「介護」と非常に似通った言葉だが、微妙に違う。「介護」が「手助け」的な意味であるのに対し、「ケア」はより包括的に、見守りや相談に乗ること等も含む。居宅系よりも施設系のサービスで用いられることが多い。
トラブル・・・あえて訳せば「問題」だが、日本語の「問題」には question や problem という意味合いも含む。「トラブル」と言うことによって、それらとの差別化をはかるという意味はある。
コンシェルジュ・・・「総合案内係」などと訳されているが、コンシェルジュの仕事は案内だけではない。客の様々な相談にのり、実際に体を動かして様々なサービスをしなければならないのである。まったく新しい概念の職業なので、従来の日本語では対応できない。
アスリート・・・本来の意味は「運動選手」であるが、半ばタレント化したテレビによく出るスポーツ選手を指すことが多い。地味に人知れずがんばっている選手を「アスリート」とは普通呼ばない。
コンプライアンス・・・「法令順守」だが、会社など事業者が、利益だけを追求せずに法令もしっかり守るということを意味する。一般個人が交通ルールを守ったりすることは「法令順守」であるが、「コンプライアンス」とは言わない。
マニフェスト・・・これだけは例外だ。弁解のしようがない。今すぐにでも日本語から追放すべき、醜悪な言葉である。民主党とともに消え去っていくこととは思うが。