TBSの5夜連続ドラマ「99年の愛 ~Japanese Americans~」を全部ではないが、部分的に見た。テレビのハードディスクには5回分全部入っているが、リアルタイムで見たのは第1話と第2話を少し、第4話の後半と最終話だけである。
これは橋田壽賀子が脚本を手がけ、草剛と仲間由紀恵が主演、スポンサーはトヨタとパナソニック、というたいへん力の入ったドラマである。まだ断片的にしか見ていないが、やたらとクオリティは高かった。特に、第4話の戦争シーンがすごかった。日系人ばかりで構成された第442連隊戦闘団の戦いである。史実でも、3800人の部隊なのにのべ死傷者数が9486人、というとんでもない犠牲者の多さで、まさに死闘であった。この442連隊は、アメリカ史上で最も多くの勲章を受けた部隊であったそうだ。戦前、戦中とすさまじい差別を受け続けた日系人が、アメリカ社会の中で中流階級にまで昇ることができたのも、442連隊の働きによるところが大きい。現代のアメリカでは日系人といえばかなりの好印象だそうで、文字通り血を流して得た地位だといえる。
そうした日系人の歴史には感心するのだが、私は正直言ってこのドラマには違和感を覚えた。登場する日系人たちに、あまりにも日本人意識が強すぎるのである。日本生まれの一世は仕方ないにしても、二世以降はアメリカ生まれのアメリカ人じゃないのか。いくら白人から差別を受けていたとしても、日本人ということにはならないはずだ。なのに、草が演じる一郎(二世)は「日本人としての誇り」とか「大和魂」とかいう言葉を連発していた。あれはどうかと思う。442連隊は、あくまでもアメリカの軍人として戦ったのであり、日本人として戦ったわけじゃないだろう。だからこそ、誇りになったはずだ。
橋田壽賀子の世代だと、日系人も日本人だと考えるのだろうか? そんなわけない。当然だが、日系人はアメリカ人であり、日本人ではない。このドラマでは、どうもそのへんが曖昧になっていた。日系人への不当な差別なども「日本人 VS アメリカ人」という対立軸として扱っていたが、そうではなくてあれは「日系人 VS 白人」ということだったろう。その上、完全にアメリカ人であるはずの日系4世や5世まで、日本語がペラペラになっていた。あれはありえない。(^^)
あと、橋田壽賀子は本音ではよっぽどアメリカが嫌いなんだろうか。最後は良い話にまとめていたが、登場人物の口を借りて、やたらとアメリカへの怨み節ばかりが聞こえてきたが。