最近はうちの子どもも、一語ずつだがずいぶんとしゃべるようになった。私と妻は家の中であんまり話さなくても、娘は常に何かをしゃべり続けている。うれしいことに、私を「おとうしゃん!」と頻繁に呼んでくれるようにもなった。それと同時に言葉で要求することも覚えてきて、棚の上のクレヨンがほしければ「とゆ!(取る)」と言い、取ってやると今度はその箱を開けてほしいので「だしゅ!(出す)」と言い、それでふたを開けてやれば次は「かく!」と言って絵を描くことを要求し出す。(^^) そこで「何を描くんだ?」と聞くと、100%返ってくる答えが「アンパンマン!」である。おかげで家にある画用紙や紙片は、私が描いたアンパンマンの絵でほぼ埋め尽くされている。
娘が初めて発声することのできた6文字語も「アンパンマン」であったし、アンパンマンが相当に好きらしい。この有名すぎるキャラクターは、私が小さい頃は絵本で登場する程度であったが、20年ぐらい前にアニメ化してからは全国の子ども達の間でメガヒットした。私は3年前に仕事で保育園の指導監査などをしていたが、どの保育園に行っても必ず、アンパンマンの遊具が置いてあった。この長期にわたる絶大な人気は、いったい何なのか。
以前に読んだ本で、小さい子どもは造形的に「丸いもの」が好きなので、丸い顔をしたアンパンマンやドラえもんは大人気なのだ、と聞いたことがある。しかし私はそれ以外に、子どもにとっての発音のしやすさ、というのも要因の一つではないかと思っている。「アンパンマン」という語は撥音である「ン」を除けば、泣き声と同じ「ア」、"パパ"の「パ」、"ママ"の「マ」、という音で構成されている。乳幼児にとっては、これが最も発音しやすい名称ではないだろうか。まさか、やなせたかし先生も、ここまで計算したわけではないだろうけど。