Willow's Island

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ハロー張りネズミ

2009年04月29日 20時55分31秒 | 

 弘兼憲史が80年代前半に描いていた「ハロー張りネズミ」という作品が面白い。「張りネズミ」というニックネームの若い探偵が主人公の漫画である。弘兼はいろいろ批判も受けているが、話作りは最高にうまい作家だと思う。携帯やネットがなかった時代なので、探偵の調査方法も現代とは明らかに違っており、その点を見るのも面白い。
 何よりも現代と異なっているのが、個人情報の扱われ方だ。主人公の探偵が役所の住民課に行って名前を伝えるだけで、担当者が簡単に住所やら転出先やらを教えてくれるのである。大学の学生課でも、係員が窓口でペラペラと学生の住所を告げてしまう。個人情報保護にうるさい現代では、漫画とはいえかなり違和感のある描写だ。今では行政機関同士であっても、個人情報などすぐに教えてくれるものではない。
 思えば、私が新規採用職員であった90年代は、個人情報の扱われ方がもっと大らかであった。例えば私は県税事務所に勤めていたのだが、不要になった申告書のコピーなどを、税額などが記載されたまま普通にゴミ箱に捨てていた。当時は不要紙の分類などしていなかったので、ただ本当に燃えるゴミとしてそのまま捨てていただけである。滞納している税の催告も、シールも何も張らないハガキで送付していた。もちろんハガキの裏面には滞納額なども丸見えである。今考えれば、恐ろしいことをやっていた。(^^;) しかし当時はそうしていたからといって、特に問題が生じていなかったのも事実なのである。わずか十数年前なのに、現代とは隔世の感がある。
 ところで弘兼憲史といえば、「社長島耕作」ではハツシバ電産の新社名が決まったようである。Technology(技術)とEcology(環境)をくっつけて短くし、TECOT(テコット)という社名なのだそうだ。なかなか良いネーミングである。アメリカのデラウェア州にも同じ名前の会社があるみたいだが。