Willow's Island

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つきあいきれない韓国人

2007年05月20日 23時58分14秒 | 

 「つきあいきれない韓国人」という本を読んでみた。著者の渡部昌平氏は、私と同い年のキャリア官僚だ。韓国の日本大使館に3年あまり勤めていたころの、彼の体験をもとにした本だ。
 タイトルからして一見すると嫌韓本のようだが、実はそうではない。著者は韓国に愛着を持っており、日本人の感覚からいって「つきあいきれない」韓国と、どのように付き合っていけばいいのか、というのがこの本の主旨である。とはいえ、決して楽観的な内容ではない。むしろ日韓関係の難しさがよく分かるようになっている。
 内容としては、私にとってそれほど目新しいものはなかった。韓国社会についてよく言われていることを再確認したような感じだ。ひとつ勉強になった点といえば、p149にある「国際社会が論理ばかりでなく政治的パワーゲームの中で動いていることを、日本としても理解する必要がある」という言葉である。これは確かに、日本人に欠けている視点かもしれない。事実と論理を重ねていけば必ず相手を説得できるはず、と私は信じていたが、ルール無用の非情な国際社会では、それだけでは通用しないということだ。
 逆に韓国では、パワーゲームの視点ばかりで世界を見ているため、事実や論理は全く重視されない。これが日本と大きく違う点だ。韓国では事実や論理が軽視されやすい、というのは私も気付いていたことだが、このことが明確に述べてある本は初めて読んだ。何かすっきりした気分である。
 しかし、事実や論理というものは無意味で、国家間のパワーゲームによって国際関係が決まっていくのであれば、日韓の国民同士がいくら議論したところでまるっきり無駄だ、ということにならないだろうか。