(童話)万華響の日々

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シャーロック・ホームズ「背の曲がった男」から読み取れるクリスマスの意味

2022-12-24 21:41:42 | 雑感・エッセイ

シャーロックホームズの回想  アーサー・コナン・ドイル作

「背中の曲がった男」

この物語は旧約聖書サムエル記に書かれているウリアの妻バテシバを奪い自分の妻とし、ウリアを戦場に送って戦死するようにして殺した話が基になっている。

イギリス軍のロイヤルマローズ陸軍連隊に属する二人の男が連隊の仲間の娘に惚れた。二人は同僚でありかつ上司と部下の関係にあった。上司のジェームス・バークレイ大佐はやりての軍人であり、部下のヘンリー・ウッド伍長は極めつけの男前であった。上司はインドでの反乱軍に襲われたときに孤立し、部下に援軍に会いに行ってくれるように頼み詳しい地図を与えた。部下はその地図に従い歩いたが敵に見つかり捕縛された。拷問に遭い二目とみられぬ障害を負った。だが、その拷問の間に敵が実は上司と企んで自分をだましたことを知る。何とか死を免れ逃亡した。彼の背は曲がってしまっていた。

ジェームスはインドからイギリスに戻り意中のナンシーと結婚して暮らした。平穏な暮らしを送って何十年か経った。ヘンリーは故郷が恋しくなり、イギリスに戻って、偶然にナンシーと再会した。その彼女の後をつけて家の部屋へ入ったが、ジェームスと出会った。ジェームスは錯乱し気絶して倒れ暖炉の角に頭をぶつけて死んだ。その場にいたヘンリーは下手人として疑われる羽目となる。

そこへホームズが現れ事件の解明に臨む。夫人が夫と言い争って非難の言葉を発する。それが此のドラマのポイントである。「デイヴィッド」と夫人は叫んでいた。それはジェームスでもヘンリーの名でもなかった。この謎をホームズが解く。ホームズの質問に対してヘンリーは自分は殺していないと言い、ジェームスが神の裁きによって死んだのだと言った。
事実検死の結果、ジェームスの急死はショックによる脳卒中によることが判明したのである。

サムエル記下11章にはダビデ王が部下の兵士ウリヤの妻バテ・シュバを見て欲情し床を共にした。そして彼女は子を宿した。ウリヤは戦場にいたが呼び戻され、ダビデと共に食事をし家に帰って休むように言われた。しかし彼は家に入らなかった。ダビデは部下に命じてウリヤを最も闘いの激しい最前線に送り戦死させよと命じた。その通りにウリヤは戦死した。妻のバテ・シバは喪に服した。喪が明けてダビデは彼女を呼び妻とした。バテ・シバは子を産んだが神はダビデを善しとせず罰した。ダビデは死なず、子は死んだ。だが、次に生まれた子を神は祝し、ソロモンと名付けられた。このソロモン王からエッサイと続き、ヨセフに継がれその妻マリアによって聖霊によって神の子イエスがお生まれになった。

「背の曲がった男」ではヘンリーを殺すように仕向けたジェームスは急死させられた。一方ダビデは同じ罪を犯しながら子を失いはしたが神に祝福されたソロモンをもうける。そしてこの子孫がイエス・キリストなのである。

聖書にはこのように人間の善悪の判断・倫理観とは相いれないことが他にも多く見られる。コナン・ドイルはダビデという名前に「非難」という意味を込めた。そして罪びとジェームスを天罰の形で裁いたのだ。これが人情から出たものと思われる。神の思い(善悪の判断や倫理観)と人の思い(善悪の判断や倫理観)は違うということではなかろうか。究極的に人の罪は赦されるということが基本的に意味されているように思う。

メリー・クリスマス!!!


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