井戸 「病めるときも」から 三浦綾子 朝日文庫 昭和53年発行
結婚を間近に控えた眞樹子は一四年間もギブスベットに拘束された
入院生活を終えてやっと普通の生活に戻った、ある日眞樹子は友人
を訪ねて汽車に乗っていたときにかつての教師仲間であった加代と
偶然あった、
この加代という女の独特な性格と暮らしぶりがテーマである、教師
でありながら嘘を平気でつく、陰気な外見どうり辛気臭い性格、彼女
は肺を患っていたのに痰を井戸に向かって吐いたのだ、ところで
彼女の家族は娘二人と夫の四人家族、極めて明るく文句ない、だが
加代は平気で愛人をつくり三人もいるというのだ、そのうちの一人は
なんと隣家の中学生だ、結婚に関して倫理感まるでなし、結婚に関わ
る夫婦の愛などどうでもいいのだ、ただバレずに世間体が保たれれば
いいのである、このような加代の実態を知るにつけ真樹子は呆れる以
上に哀れに思う、最後は加代がそれなりの罰を受けるというものだ
詰まるところ著者 三浦綾子の結婚観を夫婦愛というものを間逆な
人格を作って主張したものである、他人への暖かい配慮を全く欠い
た人格が誰もが水を汲むであろう井戸へ平気で痰を吐く姿に表され
ている