(童話)万華響の日々

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原発回帰のなぜ?

2022-12-30 20:43:54 | 千年大災害と脱原発・核廃絶推進の闘い

政治に一言。原発政策は再稼働、60年の長期運用、新型原子炉の建造など従来の原発廃止を完全に覆す決定に進みつつある。それもこれもウクライナ戦争による天然ガスの不足に由来するエネルギー危機に由来する。岸田首相の側近が原発推進派だという。この男による説得が大きいと言われている。近代日本において幾つかの産業が衰退していった。繊維、造船、アルミ製造、鉄鋼だ。最近では白物家電、音響機器、などなどだ。かつては、これら重厚長大産業が消え軽薄短小産業即ち半導体とか回路などにシフトしてきた。それすら韓国、中国などにとって代わられてしまった。いま国が求めているのは重厚長大の仲間である原発回帰である。原発こそ重厚長大の最たるもので衰退の運命にあるものなのである。

ところで原発の基本的な問題点は解消したのか?テロの標的となる危険性、(ウクライナではこれが現実となった)、過酷事故での放射能漏れの危険性、(日本では地震、火山噴火、大津波などの危険性が高い。)さらに使用済み核燃料の処分方法と処分地は曖昧のままだ。使用後灰中のプルトニウムの処理方法はどうなるか、原爆の原料になるので日本は原爆を保持しているように取られかねない。冷却水の処理も問題である。特に福島原発の事故後の冷却水は海中へ流すしかないようだ。風評被害は今も続く。いったん事故が起きた場合の避難方法だって曖昧のままではないか。それに電気代は極めれ高い。以上のような課題を積んだまま原発回帰はないだろう。

危機の時に過去へ戻るか将来に歩を進めるか、それが今問われたのである。政府は過去へ舵を切ってしまった。エネルギー危機の問題は技術革新のまたとないチャンスでもある。それは全くの白紙から始めるのではなく、既に技術者が開発研究してきたものを国として又は産業としてどう採用するのかという問題でしかない。

既に自然エネルギーとして開発されたものは凄く多い。太陽光、風力、波力、地熱、この中で地熱発電がなぜ取り上げられないのか訳が分からない。日本は火山国だしもっとも有利ではないのか。また、送電網の整理が進んでいない。3・11の電力不測の時にあれだけ電力会社が融通しあったではないか。こういうことに力を入れることが本当の国防というものではないのか。東日本大地震復興予算を防衛費に回すというたわけた考えはどこから来るのか。避難者が今も仮設暮らしをするというのに、・・・・政治家や財界人はもっとしっかりしろといいたい。


シャーロック・ホームズ「背の曲がった男」から読み取れるクリスマスの意味

2022-12-24 21:41:42 | 雑感・エッセイ

シャーロックホームズの回想  アーサー・コナン・ドイル作

「背中の曲がった男」

この物語は旧約聖書サムエル記に書かれているウリアの妻バテシバを奪い自分の妻とし、ウリアを戦場に送って戦死するようにして殺した話が基になっている。

イギリス軍のロイヤルマローズ陸軍連隊に属する二人の男が連隊の仲間の娘に惚れた。二人は同僚でありかつ上司と部下の関係にあった。上司のジェームス・バークレイ大佐はやりての軍人であり、部下のヘンリー・ウッド伍長は極めつけの男前であった。上司はインドでの反乱軍に襲われたときに孤立し、部下に援軍に会いに行ってくれるように頼み詳しい地図を与えた。部下はその地図に従い歩いたが敵に見つかり捕縛された。拷問に遭い二目とみられぬ障害を負った。だが、その拷問の間に敵が実は上司と企んで自分をだましたことを知る。何とか死を免れ逃亡した。彼の背は曲がってしまっていた。

ジェームスはインドからイギリスに戻り意中のナンシーと結婚して暮らした。平穏な暮らしを送って何十年か経った。ヘンリーは故郷が恋しくなり、イギリスに戻って、偶然にナンシーと再会した。その彼女の後をつけて家の部屋へ入ったが、ジェームスと出会った。ジェームスは錯乱し気絶して倒れ暖炉の角に頭をぶつけて死んだ。その場にいたヘンリーは下手人として疑われる羽目となる。

そこへホームズが現れ事件の解明に臨む。夫人が夫と言い争って非難の言葉を発する。それが此のドラマのポイントである。「デイヴィッド」と夫人は叫んでいた。それはジェームスでもヘンリーの名でもなかった。この謎をホームズが解く。ホームズの質問に対してヘンリーは自分は殺していないと言い、ジェームスが神の裁きによって死んだのだと言った。
事実検死の結果、ジェームスの急死はショックによる脳卒中によることが判明したのである。

サムエル記下11章にはダビデ王が部下の兵士ウリヤの妻バテ・シュバを見て欲情し床を共にした。そして彼女は子を宿した。ウリヤは戦場にいたが呼び戻され、ダビデと共に食事をし家に帰って休むように言われた。しかし彼は家に入らなかった。ダビデは部下に命じてウリヤを最も闘いの激しい最前線に送り戦死させよと命じた。その通りにウリヤは戦死した。妻のバテ・シバは喪に服した。喪が明けてダビデは彼女を呼び妻とした。バテ・シバは子を産んだが神はダビデを善しとせず罰した。ダビデは死なず、子は死んだ。だが、次に生まれた子を神は祝し、ソロモンと名付けられた。このソロモン王からエッサイと続き、ヨセフに継がれその妻マリアによって聖霊によって神の子イエスがお生まれになった。

「背の曲がった男」ではヘンリーを殺すように仕向けたジェームスは急死させられた。一方ダビデは同じ罪を犯しながら子を失いはしたが神に祝福されたソロモンをもうける。そしてこの子孫がイエス・キリストなのである。

聖書にはこのように人間の善悪の判断・倫理観とは相いれないことが他にも多く見られる。コナン・ドイルはダビデという名前に「非難」という意味を込めた。そして罪びとジェームスを天罰の形で裁いたのだ。これが人情から出たものと思われる。神の思い(善悪の判断や倫理観)と人の思い(善悪の判断や倫理観)は違うということではなかろうか。究極的に人の罪は赦されるということが基本的に意味されているように思う。

メリー・クリスマス!!!


モーツアルト レクイエム ニ短調 K626

2022-12-05 15:20:47 | モーツアルトの楽しみ喜びそして感謝

モーツアルトは1791年12月5日に亡くなった。35歳、若すぎた天才の死だ。没後231年となる。最後の作曲がこのニ短調レクイエムK626 であった。しかも未完成であり弟子のジュスマイヤーが補完したと言われている。

12月5日はモーツアルトの命日だからこのレクイエムを毎年聴いてきた。今日もNHK FMで放送してくれた。補完されたとはいえ全曲にモーツアルトの切迫した緊張感がみなぎっている。北極星の彼方から響いてくるような凛とした清らかな調べだ。

モーツアルトが最後に残してくれた安らぎの調べであった。

 

ケフェ星雲