(童話)万華響の日々

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映画 「キャタピラー」の印象

2010-08-29 15:37:29 | 映画の印象

  
今日は邦画の話題作「キャタピラー」の印象と感想について載せます。
「キャタピラー」
評価度:★★★

太平洋戦争の中で起きた、ある傷痍軍人とその妻の悲劇である。悲劇が幾重にも重なる。戦争の悲劇、主人公の夫婦間の悲劇、そして何万人という死者を出した日本の悲劇である。

本作品はこの三重の悲劇を同時に描いた、実に欲張りな主張を持った作品である。
上映の映画館は平日でもほぼ満員であり、中高年の人が大半を占めていた。

黒川久蔵は四肢を失ってあたかも芋虫(キャタピラー)の様になって、右顔面を火傷し耳も聞こえず口も利けない哀れな姿で戦地から帰還した。彼は国のために勇敢に戦った軍人として、天皇から勲章をもらい、新聞にも記載され大きく扱われた。
 
 妻のシゲ子はそんな姿で帰ってきた夫に嫌悪感を抱き、幻滅当惑した。その日以後、彼女は障害者の夫を介護し、生ける軍神としての彼を村中にリヤカーに乗せて回る甲斐甲斐しい軍人の妻の鑑となったのであった。

 夫の食欲と性欲は旺盛で、妻に激しく求めた。彼女はまさに、食わせて、寝させて、交わらせて、排泄の世話をする、献身的な毎日をこなした。
 
 はじめの頃こそ、障害を負った夫への憐憫同情による献身的な世話心もあったが、次第に高じてくるやるせなさ、不満と反発する気持ちがどうしようにも押さえられなくなる。

 観ていてまず意外な感じをもった。なぜ、シゲ子は夫の帰還を心から喜べなかったのか、その疑問はやがて明らかになってくる。
 出征前、久蔵は子を産めないシゲ子を虐待していたのだ。暴力的な夫に対して、憎しみと敵愾心しか持てなくなっていたのだ。

 それが、芋虫の様になった夫の介護を嫌々続けて行くうちに噴き出す不満と怒りは、以前の被害者の立場から逆に加害者の立場へと変わり、夫を殴り、顔に卵をぶつけ、無抵抗な夫を虐待するようになる。そして、その怒りは、自分を惨めな状況に巡り会わせた戦争と、それを引き起こしている国に対しての怒りと渾然一体のものへと変貌した。
 
 久蔵は久蔵で、戦地で強姦して殺した中国人女性の姿が脳裏に浮かび、シゲ子との交わりの時もその情景が脳裏に浮かび、苦しみ、自虐と自責の念に苛まれ、ついに性的不能になってしまう。その苦しみと、現在の惨めな境涯から逃れるために彼はついに終戦の日に・・・・・・・。
 映画ではその後、シゲ子がどういう思いを抱いたか示されず、わからない。
 
 二人の主人公の迫真の演技が光る。”銀熊賞”受賞した寺島しのぶの体当たりの演技は注目に値するし、大西信満の不自由な体の演技と撮影陣の苦心も賞賛に値する。
 
 かつては、自分を虐待した夫、その人間性すら否定された惨めな姿を晒した夫を見て、身障者である軍神の献身的妻以外の何らの情すらわかなかった妻。

 そこには、救いようのない絶望しか認められなかった。戦争を運命の岐路として位置づけ、本当の狙いは憎しみあう夫婦の救いようのない絶望的な関係をクローズアップしたものといえよう。
 
 終戦後の何年間か、駅頭や街頭に立って惨禍を訴えていた白い軍服の元傷痍軍人をよく見かけた。それぞれの、心身共に戦後の苦しみがあったことと思う。しかしながら、この主人公のように、妻からも周囲からも見放されて自己の逃れようもない苦しみの故に死を選んだものも人知れず数多くいたことも確かであろう。戦争の悲惨さを如実に示したものといえる。

2010年 日本
監督: 若松孝二 
音楽: サリー久保田、岡田ユミ 
主題歌: 元ちとせ 『死んだ女の子』
出演: 寺島しのぶ( 黒川シゲ子)、大西信満(黒川久蔵)、 篠原勝之(クマ) 、他
劇場:ヒューマントラストシネマ有楽町
画像:Allcinemaより


熱中症予防 老親にたくさん水を飲ませる方法

2010-08-25 22:06:13 | 日記

こう暑いと、年寄りの健康管理は、大変だネエ、

とハナミズキはとおちゃんに言いました。

とおちゃんは、朝起きると、ばあちゃんに入れ歯を入れさせて、

朝食をしてもらいます。

朝食が終わると、とおちゃんは、ばあちゃんの

飲み薬を携え、

「ばあちゃん、さあ、薬を飲もうかな

先ずは、最初の丸薬だ、

これは、気分が爽快になる薬だよ」と、渡します。

「それを、口に入れたら、このコップの水で飲んでおくれ、

水をたくさん飲めば、薬の効き目が一番良くなるんだよ」と、

水を飲ませます。

「次に、この薬を飲もう、これは、体の調子が良くなる薬だ、

コップの水を、グ、グーーと飲んでや、」と、

また、水を飲ませます。

「最後に、この薬だよ、これは、元気が出る薬だよ、

たくさんの水と、いっしょに飲むと最高に良く効くんだよ」と、

水を飲ませます。

ついに、とおちゃんは、大き目のコップにいっぱいの水を、

全部、ばあちゃんに飲ませるのに成功しました。

ハナミズキは、ばあちゃんが熱中症にかからないように、

ともかく朝の水を摂らせるのに、こんな薬の飲み方を、

とおちゃんが工夫したのを知って、微笑みました。


懐かしい大きいカタツムリ

2010-08-23 20:32:17 | 日記


近所の公園で、とおちゃんは、

懐かしい、生き物に会いました。

「これは、本当に懐かしいなあ!! 

最近は見かけなくなった

大きいカタツムリだ」と、とおちゃん

ハナミズキも言いました、(ぼくの木の幹にもカタツムリが、

時々来るけれど、たいていは小さいネエ)

「この森は、公園になっていて、見学の人の数も制限されてい

るんだ。

だから、昔からの自然の姿が守られているんだなあ」と、とおちゃん

(いつまでも、生き続けていて欲しいネエ)と、

ハナミズキは心から思いました。


今を盛りのミソハギ

2010-08-22 21:26:02 | 日記
                              



水際に、思いもよらないピンクの、きれいな花が

群生しています。

ハナミズキは、野生の花が、こんなにも美しく咲いているのを

見て、思わずとおちゃんに、言いました。

(とおちゃん!! きれいな花の群れだよ

近寄って何の花だか、見ておくれ)

とおちゃんは、それが”ミソハギ”であると知っていました。

「ミソハギは”盆花”ともいわれるんだ。

お盆に供えられるところから、名づけられたんだ」と、

とおちゃん

ミソハギの花に、色んな虫たちが集まっています。

一匹のコガネムシが、夢中で花の蜜を吸っていました。

           


3ヶ月咲き続けるサルスベリ

2010-08-16 16:08:50 | 日記

       
ハナミズキは、自分の少し向こうで、紅色がかった花を付

け始めたサルスベリにいいました。

(今年は、ことのほか暑いから、花を咲かせるのにチョット、

苦労したのかね)

サルスベリは、言いました、

(確かに暑いことは暑いなあ

でも、オイラは根を深く地下に張っているから、

水を吸い上げるのは楽なんだ)

ハナミズキは、夏花のサルスベリに言いました、

(お前さんの別名は、”百日紅”だろ、

三ヶ月も咲き続けるのは、苦労なことだネエ)

(そのとおりだよ、最近は、毎年が苦労の種なんだよ、

”百日紅”らしく、咲き続けるには、体力がいるからネエ

こんなに暑いと、ヒヤヒヤものさ)と、

サルスベリは言いました。

それでも、サルスベリの紅色の花は鮮やかに咲いて、

葉も青々としているので、ハナミズキは安心しています。


入れ歯だって窮屈

2010-08-15 21:22:35 | 看取りと介護道




夕飯が終わると、とおちゃんはばあちゃんに

「さあ、ばあちゃん、飲み薬持ってくるまで、食休みしておくれ」

といいます。

ハナミズキは(ばあちゃんの入れ歯は、

どう話して外してもらうんだい)と、とおちゃんに聞きました。

そこで、とおちゃんは

「ばあちゃん、入れ歯も休ませてあげよう。

一日中、窮屈な口の中で働いてくれたんだから、

口から出して休ませてあげなきゃ」と言うと、

ばあちゃんは、

「そうだねえ、またすぐに持ってきておくれよ」と言いながら

入れ歯を外して、とおちゃんが差し出したコップに入れました。

(なるほどねえ、とおちゃん、ああ言いながら毎日、

上手にばあちゃんを言いきかせて、

入れ歯をはずさせているんだなあ)と、感心していました。


真夏の大合唱 蝉しぐれ

2010-08-14 18:04:04 | 日記


ハナミズキはとおちゃんとかあちゃんが、

近くの森と壕のある公園に行くのを見送りました。

今日は台風の去った後でしたが、曇って蒸し暑い日です。

それでも、森の中を歩くときは、

爽やかな風が吹いて、

辺り一面から蝉の大合唱が聞こえてきました。

カラスも負けずに、鳴きましたが、

とても蝉たちにはかないません。

蝉たちは、ミンミンゼミ、ツクツクホウシ、

アブラゼミ、クマゼミ、ヒグラシが順番に歌い、

ある時はソロで、ある時は合唱で、

それはそれは見事なアンサンブルでした。

壕の水も風に向かって振るえ、さざ波を立てて、

蝉の大合唱に合わせているようでした。

真夏の競演は、

蝉たちの大合唱に勝るものはありません。


花の万華鏡 白むくげ

2010-08-13 21:57:02 | 花の万華鏡

      

(とおちゃん、白花のむくげが咲いているよ)と、ハナミズキが

いいました。

「本当に白い花だなあ

花の万華鏡として、挙げておこうかな」と、とおちゃん

(五弁の花びらと、真ん中のおしべとめしべが、真っ白だネエ)

と、ハナミズキ

きれいな花の万華鏡になっていると、ハナミズキは感心しました。


猛暑の中で盆踊り大会

2010-08-10 21:16:30 | 日記

        

(とおちゃん!! 最近忙しそうだね、どこへ行っていたの)と、

ハナミズキは聞きました。

「アア、忙しい、忙しい、自治会の盆踊り大会の実行委員で、

大変だよ」と、とおちゃん 

(とおちゃんも、よく頑張るネエ

心臓の手術をして、間もないんだろう)、とハナミズキはいいま

した。

「そうなんだ、大事をとりながらやっているんだよ」と、とおちゃん

(猛暑で、熱中症にかかる人も多いんだよ)と、ハナミズキはい

いました。

「最初の準備の日は暑くて辛かったよ、

でも、台風4号が来ているためか、2日目からは

小雨が降ったり止んだり、幸い、大降りにはならなかったナ

それで、反って気温が低くなって、助かったよ」と、とおちゃん

(盆踊り大会は、盛んだったの)と、ハナミズキは聞きました。

「ウン、福引もあったので、子供たちも喜んでいたなあ」と、とお

ちゃん

(ともかく、無事に終わって、よかったネエ)と、ハナミズキはと

おちゃんを慰めました。


くわがたがやって来た

2010-08-07 21:05:23 | 日記

            

ハナミズキは、自分の枝にとまったお客に気がつきました。

(とおちゃん!!  ぼくの枝に昆虫がとまったヨ、

見てくれないか、ナンだか、くすぐったいよ)

「どれどれ、 おお!! これは、”くわがた”じゃないか」と、とおちゃん

(林の方から、飛んできたんだネエ)と、ハナミズキ

とおちゃんは、くわがたを捕まえて、布団の上に放しました。

「でも、家の中では気の毒だ、

また、ハナミズキの枝に戻してあげようかな」と、とおちゃん

くわがたは、ハナミズキの枝につかまり、どこかに樹液がないか

と、サッソク捜していました。


すだれ、大活躍

2010-08-06 17:10:53 | 日記

何か、とおちゃんは一生懸命に、取り付けています。

(とおちゃんは、何を取り付けているのかな)と、ハナミズキ

「余りに陽ざしが強いから、すだれを取り付けているんだよ」

と、とおちゃん

「今までは、部屋のカーテンを閉め切って、陽ざしを防いでいた

んだよ」と、かあちゃん

「それでは、部屋の中が暗いから、すだれを着けることにした

のさ」と、とおちゃん

(そういえば、窓にすだれを着けた家が、最近多くなってきたみ

たいだね)、と、ハナミズキはつぶやきました。


風鈴の音はほおずきの歌

2010-08-05 16:11:50 | 日記
                            


暑い日が続いています。

ハナミズキは、色んなセミが鳴いているのを聴いています。

ときどき、風鈴の”チリン”という音も聞こえてきます。

風鈴は、窓のうえに掛けてあるすだれの下に、吊るされていま
した。

風鈴は暑い陽が、すだれで遮られているので、

本当に涼しい音を鳴らすことができました。
      
風鈴の短冊には、ほおずきと書かれていました。

ハナミズキは、風鈴が鳴るたびに、ほおずきの赤い実が、

緑の木々の風を呼び、歌っているように聞こえたのです。