年が明けたら早々にモロッコへ行く事になっています。1~3月はベストシーズンだと言うが様子がよく解らない。そこでいろいろ情報を…と手にしたのがこの一冊です。文学的ではないけれど面白い旅行記。郵便局が何処にあるか聞いただけの通りすがりの男性との精神的な結びつきが、徐々に深くなっていく過程が実に感動的で引き込まれた。彼は英語の教師になりたくて、大学は出たけれど職がないベルベル人。しかし知識は豊富で著者の質問にはとことん答えてくれる。彼の田舎での生活に溶け込んだ著者の順応性は凄い。寒くて蓑虫状態で毛布に包まって彼と一緒の部屋で寝る、トイレは鶏小屋なんて…。でもそれにも増して彼や彼の家族の無垢な穏やかな人間性に接して著者ならずとも感激してしまう。お金や物に恵まれなくても、彼リカットの理知的な精神性の高さは素敵です、こんな人もモロッコにはいるのですね。