Mrs.Uponwaterのブログ

日記です♪

白石加代子朗読会

2013-02-25 14:01:00 | 日記

大岡信ことば館で白石加代子の朗読会があった。大岡信の詩数篇と「私の万葉集より」を披露した。万葉集の中の笠郎女が片思いに狂って、大伴家持へしつこく贈った歌を朗読した。やはりおどろおどしい話は白石加代子に良く似合う。笠郎女は奈良時代中期の歌人で(と言うのも大伴家持に贈った歌29首を万葉集編纂の時家持が編入した。これがなかったら笠郎女が世に出ることもなかったかもと言うから面白い。好きでも何でもない人からの恋文を男ながら家持は取って置いたのですね)身分も低く家持より年上。しかし千数百年昔の恋の歌、主観的なものをこれほど客観的に詠える才能が笠郎女にあった事が凄いと言う。”思いにし死にするものにあらませば千たびぞ我は死の還らまし” ”伊勢の海もとどろに寄する波畏き人に恋ひ渡るかも” など凄まじい恋心、恨んだり嘆いたり、片思いの切なさ悲しさを29首に表している。白石加代子の”百物語”(2010年)や”身毒丸”(2002年)を観ている私にとっては物足りない感じだったが、田舎公演、しかも友人のためにやってきた(大岡信夫妻とは古くからの友人)とあっては仕方がない。夫人大岡かね子が劇作家深瀬サキとは知らなかった。笠郎女が業を煮やして去った後、大伴家持は”なかなかに黙もあらましを何すとか相見そめけん遂げざらなくに”…過ぎ去った事は何時までも拘っていないで忘れなさいと詠んだ。家持にしてみれば「もう結構」という気持ちと言いますが。あぁ~悲し…。