2008 01 20(日)
剣法三大源流の一つと名高い“馬庭念流”の鏡開き奉納試合が行われました。
(剣術三大源流は念流、神道流、陰流。 剣聖・上泉伊勢守信綱が三大源流を学び新陰流を興す。)
場所は群馬県多野郡吉井町大字馬庭80.
鏡開き式が午後一時からなので、正午少し過ぎた頃に到着。(天候 晴れ・無風)
時代の趣を感じさせる馬庭念流道場の中庭には武芸愛好家やカメラマンや近くの人々が集まっていました。
もちろん、入場は無料です。
中に入った時にはすでに乱稽古の真っ最中!
切り込むときの掛け声が大きく響き渡ります。
木刀を振りかざして真剣な表情で立ち会っていました。
馬庭念流は自衛の剣ですから、太刀受けの武技がお見事です。
古老も日頃の鍛錬をご披露して気合充分です。
女子剣法は長刀(なぎなた)です、「柔よく剛を制す」と言いますが立会いでは女性の長刀捌きがお見事でした。
(長刀を受けているのは米人のウイリアム・ジェンセン氏。来日してから22年間馬庭念流を学んでいるそうです。)
午後1時に鏡開き式開始です。
と云っても、お供え餅を割るのではありません。(お汁粉を期待してはいけません。)
馬庭念流当主・樋口氏以下門弟全員が起立して近くにある摩利支天宮を礼拝。
その後、門弟達に入門許可状や印可皆伝などの式が執り行われるのです。
画像の右から、馬庭念流保存会会長の松本貞義(63歳)。 第25世樋口十郎右衛門源定仁(48歳)。 米人門弟ウイリアム・ジェンセン(47歳)
門弟には可愛い女の子も・・・・。
小高い場所の安置されているのが摩利支天宮。
ジェンセン氏の子供さんでしょうか? 木刀の試合を心配そうに見ていました。
袋竹刀(ふくろしない)の打ち合いでは小手と頭にプロテクターです。
座布団みたいなヘッドカバー(念流独自なもの)でも袋竹刀があたるとかなり痛いそうです。
軽い脳震盪状態におちいるときもあると言います。
ヘッドカバーの名称は「アンコ」との御指摘が「古剣術 動画館」様よりコメントありました。
馬庭念流には剣術だけでなく様々な武具の兵法があります。
先端にタンポ(短穂・打包)の付いた木槍の立会いもありました。
裂ぱくな気迫と気合で試合会場は静まり返ります。
馬庭念流鏡開き試合の最後は当主自らが披露する白刃の真剣による模範試合でした。
当主の樋口定仁氏は先代定広氏の長女と結婚されて、現在は吉井町で医院を営んでいる医師で田路(とうじ)了氏が本名とか。
当主第25世樋口十郎右衛門定仁氏と保存会の斉藤貞義氏の一騎打ち!
さすがに気迫が違います、、達人の域の両人が真剣で渡り合いました。
真剣を頭の真上で寸止め!! 素人には出来ない業の連続です。
念流は今から630年前の室町時代に念和尚(奥州相馬の人・相馬四郎義元)が京都の鞍馬寺で剣の奥義を究めて編み出した兵法。
念流七世・友松清三藤原氏宗(偽庵)から印可皆伝を受けた八世・樋口又七郎定次が1591年(天正19年)に上州馬庭村の地に道場を開いたことから「馬庭念流」と呼ばれるようになりました。
馬庭念流は相手に勝つためではなく、負けない技法を理念として発展した剣法です。
守備の剣法ですから、基本姿勢は後ろに体重をかけた独自の構えをとります。
馬庭念流の基本形は「表五本 裏三本 組十本と言われ、獅子奮迅・合掌崩などの技があります」。
馬庭念は後手必勝、徹底的な護身の術として「十分の負けに十分の勝ちあり」、「剣は身を守り、人を助けるために使うもの」とされています。
戦乱の時代、農民達に広く伝授されて、無事に戦場から生きて帰ってくる為の剣法として考案されました。
(馬庭念流は他の流派が大名などのお抱え御用流派になったのに対し、現在に到るまで在野の剣法を信条としています。)
鏡開き試合の終了後、庭園内にある馬庭念流史料館へ・・・。(内部展示の関連文書は群馬県指定史跡。)
内部には剣術に関する資料や武具など沢山展示されています。
展示写真に第24世樋口定広の矢留めの剣術がありました。
確かにタンポ付きの矢でしたが、木刀で矢を見事に留めていました。
館内案内人の話では第24世は卓越した剣道の名人だったとか・・・。
大きな長屋門風な剣道場が毎週日曜日に稽古が行われる「傚士館」(こうしかん)。
1867年に建設された板と土壁の道場は江戸時代の剣道場の面影を色濃く残しています。(群馬県指定史跡。)
毎週通って来る門弟は20名程、只今門弟募集中です。
馬庭念流に入門するには6ヶ月間道場に通った上、門弟全員の同意と血判が必要です。
入門が許可されるのは2年に1名ほどの難関と云います。
年初に清々しい剣術試合を見せていただき心に残る日曜日となりました。
読者の皆様もたまには武術の試合など如何でしょうか・・・。(毎日曜日が稽古日、見学自由。)
2008 01 25(金)記。 前橋市 最高気温7℃。
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でもまぁ、札束くれたからヨシとするかwww http://omnc.net/ce/542
大変ありがとう御座います。
ご指摘の通り、タンポンでは無くタンポ(短穂)でした。早速訂正いたします。
浅学非才な著者の為、これからもご指導のほど宜しくお願い致します。
馬庭念流の稽古で使用するヘッドカバーの名称が「アンコ」との御指摘、誠に有難う御座います。
拙ブログに記入したいと思います。
剣術・武術に疎いツトムですが、御教授のほど宜しくお願い申し上げます。