2016 08 21(日)
古来より伝わる珍しい仕掛け花火が奉納されると聞いたので、前橋市から遠路2時間30分かけて茨城県つくばみらい市郊外の田園地区へ・・・。
奉納花火が開催される場所は、つくばみらい市高岡631に鎮座する高岡神社、Web地図上では春日神社が示される事もあります。
同一敷地内に高岡神社と春日神社が併設され、春日神社の社殿の方が大きいので春日神社と表記されているのです。
高岡神社奉納花火は「高岡流綱火」と呼ばれる細い綱を操って行われる「からくり人形仕掛け花火」。
その歴史は古く、戦国時代末期から(江戸時代初期説もある)絶えることなく400年以上村民に受け継がれてきた伝統の花火。
この花火を中止すると村内に必ず災厄が降りかかると言われているのです。
一昔前までは8月23日の日にち限定の花火祭りでしたが、現在は8月の第3日曜日に変更されました。
県道211号線に面した「寿寿岡食堂」(稲荷寿司など飲食物販売)の横が神社の参道で、祭り提灯に従って進み高岡・春日両神社を参拝。
深い木立ちに囲まれた幽玄の神域に鎮座する春日神社と朱塗りの高岡神社。
赤い鳥居は東日本大震災の強震で少し曲がってしまいました。
本日の「綱火」の主役は高岡神社、謹んで参拝します。御神酒が奉納された高岡神社本殿。 平成元年8月の日付がある「愛宕神社」扁額。
社殿裏の広場では氏子たちが集まり、夜7時から行われる綱火の準備に余念がありません。
櫓(やぐら)舞台の隣に作られたのは亀に乗った漁師の図柄から竜宮城なのかも・・・。 脇のテントには人形付き屋形船?カラクリ綱火で使用と思われます。
櫓舞台の腰幕にも記されていますが「高岡流綱火」は国の重要無形民俗文化財に指定(昭和51年)された保存すべき重要な伝統祭事。
高岡綱火の起源は、昔し鎮守の祭りのとき、境内の大木の間に赤と黒の蜘蛛が大きな巣を張ったのを見て村人が創作したと伝えられています。
なを、今でも花火櫓舞台に上がれるのは地元の長男で「高岡流綱火更進団」の団員限定との事、綱火の秘伝を守るべく長子相伝が村の掟で長男以外は村外に出てしまい、綱火の秘密が他所に漏出するのを防止する為とか・・・。
舞台の右横には仕掛け花火の骨組みが見られます・・「祝愛宕山OO」、仕掛け花火に着火してからのお楽しみ。
午後6時頃から地元民や見物客などが少しずつ集まって来ます。 手前のテントでは打上げ花火の募金を募っていました。
因みに、7500円奉納すると「五寸玉菊花の花火」が夜空に一発打上げて貰えます。
早く来た人順に揉め事もなく座り、飲食・雑談しながら花火の時刻を待つ見物客。 客席は花火会場に向かって軽い上り坂。
但し、ここに座ったのでは社殿の裏になるので高岡奉納花火のメイン花火の“繰り込み神事”がほとんど見られませんのでご注意を・・・。
“繰り込み花火”見物の最良場所は高岡神社社殿前です。
夜の7頃沢山の見物客が集まり、花火の開始を今や遅しと待ちます。 繰り込み花火に使用される花火の竹筒を親切な氏子に見せて頂きました。
竹筒の節の中央に小さな穴を開け、そこに導火線を仕込みます。内部に火薬を詰め込んでから反対側の筒底に蓋になる新聞紙を固く詰めて完成。
竹の大きさと火薬の詰め込み量で噴射する長さ(時間)が決まります。
花火噴射中は竹筒をきつく握ってはダメ・・・筒の中に火が入り、爆発する事があり手を怪我するそうで、花火噴射中はゆるく持つのがコツだそうです。
以前は各家で火薬を詰めて作っていたそうですが、現在は地元有志が結成した「高岡流花火更進団」が専門に作り、氏子達に配布されるとの事。
午後715分頃から「寿寿岡食堂」横の参道入口で竹筒花火に点火し、“高岡神社奉納繰り込み花火”の開始。
竹筒先から流れ落ちる花火が参道を明るく照らし繰り込み花火行列の一行は高岡神社に向かいます。
暗いので良くは判別できませんが・・・行列の最後尾は祭り太鼓を打ち鳴らす山車なのでしょうか?
午後7時30分ころ高岡神社社殿に到着、一斉に竹筒花火に点火し賑やかな花火模様が繰り広げられます。
竹筒の先から激しく噴射するのは「立花」と呼ばれる花火、竿竹の上で輪を描いて回るのは「くるくる」と名付けられた花火、
参道を照らしてきた炎が流れ落ちるのは「もろもろ」という花火です。
「立花」の強烈な噴射炎を高岡神社社殿に浴びせかけて火除病除・五穀豊穣・家内安全・国家平穏・・・を祈願します。
以前には炎が社殿に燃え移り、焼失する事件が起きたそうですから伝統行事とはいえ危険な「繰り込み花火」なのです。
この「繰り込み」と言われる花火が高岡神社奉納花火で一番大切な行事となり、次に行われる有名な“綱火”は余興の花火との事。
高岡綱火の「繰り込み花火」をお楽しみ下さい。
高岡綱火 高岡愛宕神社 花火繰り込み 2016年
「繰り込み」で役目終了した竹筒、途中暴発で裂けた竹筒も・・・。 社殿に火が付かず無事に「繰り込み」終了後は御神酒を廻し呑み。
これからが高岡神社奉納花火の余興花火“高岡綱火”の開演となります。
下の映像以前にメイン舞台の向かって右に火花が素早く綱渡りしますが(横綱火)、合図もなく一瞬のことで撮影が間に合いません。
今年の高岡綱火の最初の演目は“三番叟”、人形が綱に操られて空中散歩で踊りながら長閑に往復します。
“三番叟”の終盤は仕掛け花火に点火、漆黒の暗闇に「祝愛宕山祭礼」の花火文字が鮮やかに浮き出ます。
高岡綱火の最初の演目“三番叟”をご覧ください。
高岡綱火 三番叟 2016年
第2番目の演目“高岡丸の舟遊び”に使われる高岡丸を拝見。舳先に付けられた竹筒は炎が噴出す「立花」の花火。
今は寝ている船頭さんも本番では起き上がって櫓を漕ぐそうですからお楽しみ・・・。
第2番演目は“高岡丸の舟遊び”、先ずは静かな船出となりました。
高岡丸の舳先から炎が噴出し、張り巡らされた綱が燃えないか心配です。 豪華に花火が炸裂し方向転換して戻ります。
船底からも火花が流れ落ち、高岡丸が船火事か・・・? 豪華連続打ち上げ花火が夜空に大輪の花を咲かせます。
境内に張られた綱から火花が流れ下るのは「ナイヤガラ花火」か・・・。
ナイヤガラの火滝に打たれながら舟遊びに興じる「高岡丸」。 燃えずに無事帰港して“高岡丸の舟遊び”は終了。
闇夜に浮かぶ“高岡丸の舟遊び”をお楽しみ下さい。
高岡綱火 高岡丸舟遊び 2016年
本日最後の第3番演目は“浦島太郎 海路の花園”。
昔の童話でお馴染みの浦島太郎の物語を綱火で演出。 浦島太郎が背に乗る大きな亀の口先から火花が噴射し物語が開始。
亀と浦島太郎が竜宮城に到着、扉が開き二人の乙姫様が出て来て浦島太郎と一緒に空中移動。
竜宮城から花火が打ち上がり“浦島太郎海路花園”の最初の山場が展開されます。
火花を放ちながら次の舞台へ向かう浦島太郎。 幾重にも張られた綱で操られる様子が興味深いです。
綱火のフィナーレは大掛りな仕掛け花火で演出する山型花火、世界遺産の富士山ではありません、茨城県が誇る日本百名山の“筑波山”。
良く見ると山頂が2っに別れ(双耳峰)ていますので、男体山と女体山の二つを山頂とする筑波山と判断できます。
絢爛豪華な綱火絵巻、「浦島太郎 海路の花園」をご覧ください。
高岡綱火 浦島太郎海路花園 2016年
約400年前から伝わる“高岡綱火”如何だったでしょうか・・・?
前橋市からは長距離でしたが、見物して良かった奉納花火でした、皆様にも絶対お奨めできる逸品と思います。
なを、8月24日(水)には高岡に隣接する小張地区の小張愛宕神社でも「綱火」が行われます。
次回は高岡神社の近くに立つ世界一の高さを誇る“牛久大仏”を拝見。
2016 08 30(火)記。 前橋市 小後夕方 最高気温 27.4℃ 最低気温 20.4℃
迷走ブーメラン台風10号 8月30日18時頃 大船渡市付近に上陸、 東北地方北部を横断し津軽半島から日本海に出て温帯低気圧になる。
太平洋方面からの東北地方への台風上陸は10号が観測史上初。
おまけコーナー。
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