哲仙の水墨画

デジカメの風景写真、四季の草花、水墨画、書、短歌などを楽しみます。

冬枯や 太祇(書)

2007-01-31 06:54:28 | 
冬枯や雀のあるく樋の中        炭太祇(たんたいぎ)
(冬枯や雀のありく戸樋の中)

 太祇は江戸中期の江戸の人。俳句を水国に師事したが、師の没後、京の島原に出て伎楼の主人の支援を得る。7歳年下の蕪村とも親交があった。外は冬枯れて、樋(とい)の中の雀の歩く音に心を奪われているのだが、当寺の樋は竹であったろう。雀は歩くことは少なく、両足をそろえて跳ねながら移動する。現在のブリキ、否、プラスティックほど音は出ないだろう。 

丹波七福神の白毫寺・その2(写真)

2007-01-30 08:09:04 | 写真
あの世へと導きわたす橋なれば
踏みとどまりて奥をのぞけり        樋田哲夫

 天台宗五大山白毫寺は丹波市の古刹(さつ)。境内には天台座主253世山田恵諦師の直筆による伝教大師の言葉「一隅を照らす」の巨大な碑が建つ。また、「心」の字をかたどった心字池にはたくさんのコイが泳ぎ、あの世へ渡る木造の太鼓橋がかかる。あの世へ行くにはまだ早いので、控えて奥を覗き込むだけだが、薬師本堂があるとか。

熱燗に目刺(水墨画)

2007-01-29 07:48:02 | 水墨画
飲むことの出来なき吾に友のいふ
酒に目刺は取り合はせよし         樋田哲夫

 アルコールの飲める量は遺伝的なものが大きく左右する。祖父も父も酒量は少なかった。だから兄弟も酒は飲めない。定年退職後は赤提灯やバーなどは無縁となったが、地域デビューすると宴の機会が案外多い。多数での宴会はカラオケの救いがあるので、出来るだけ出席することにしている。  にほんブログ村 美術ブログへ

書きなれて 子規(書)

2007-01-28 07:52:10 | 
書きなれて書きよき筆や冬籠       正岡子規 

 画と書の筆は使い分けている。画には約30本を並べ、描く箇所にあわせるが使いやすい筆がある。が、机には置くがほとんど陽の目を見ないものの方が多い。影の薄い筆は捨てればよいが捨てきれず、場所を占拠している。何年も使わない筆が、あるとき息を吹き返すこともあるからだ。同様のことが子規にもあって、冬篭りして物書きしているのだろう。

丹波七福神の白毫寺(写真)

2007-01-27 06:35:47 | 写真
笑みながら腹のあらはな七福に
亥歳を祈る白毫寺かな

 丹波市市島町の丹波七福神の一つで布袋尊をまつる白毫(びゃくごう)寺は、飛鳥時代の創建で境内は広い。心字池に架かる太鼓橋は木造の屋根がつき立派なものである。本堂で法話をする住職の柔和な笑顔と体型が布袋さんに酷似していて、自ら口にするのが滑稽である。5月には九尺藤がきれいに房をくけて咲くという。

裸木を求めて(水墨画)

2007-01-26 08:02:04 | 水墨画
観察の日和にあれば里山の
小鳥求めて裸木をぬふ        樋田哲夫

 バードウォッチに最適な季節は冬である。木々の葉が落ちて裸木となると、目によくとまる。小鳥は動きが激しく枝移りして、じっとしてくれない。双眼鏡の中へ鳥を入れること自体が難しく、葉があれば茂みの中をうごくことは分かるが追うことは出来ない。初級者も上級者も冬は小鳥のいる森などへ出かけて忙しくなる。  にほんブログ村 美術ブログへ

冬梅の 土芳(書)

2007-01-25 07:37:29 | 
冬梅のひとつふたつや鳥の声       服部土芳

 土芳は伊賀藩藤堂家の武士の子として生まれる。芭蕉の門人で「蕉翁句集」「蕉翁文集」を集大成したことで知られる。冬の梅が一輪、二輪咲き始めて、どこからか鳥の声が聞こえてくるという。梅といえばウグイスとの組み合わせが一般的であるが、ウグイスは明るいところを嫌う習性がある。薄暗い木の茂みの中にいることが多い。

丹波七福神の高蔵寺(写真)

2007-01-24 10:29:45 | 写真
高蔵寺栄えたるらしその昔
山門見れば名残のありて       樋田哲夫

 丹波七福神の一つ、高蔵寺は篠山市丹南町の鄙(ひ)びた山村にある。飛鳥時代創建の古刹で、かっては山の奥の高い場所にあったらしいが、現在は比較的明るい麓に降りた感がある。インドの女神で音楽、弁才、財福をつかさどる弁財天が祀られている。本堂には住職の永年民生委員の功績による藍綬褒章受賞の額が飾られていた。

干物作り(墨彩画)

2007-01-23 06:42:35 | 墨彩画
フロントは早やまぶしくて砂浜に
海の幸干す紀州路を行く       樋田哲夫

 自動車で白浜へ南下する国道は御坊を過ぎるあたりから、右手に海が見え始める。冬でも日差しさえあれば、車中はぽかぽか陽気でコートを脱いで運転できる。海は光り、砂浜にはとれたての魚を開いて棚や縄に干して干物作りの風景が見られる。磯の香も満ちて海産物を売る店も点在する。 にほんブログ村 美術ブログへ

寒梅を 蕪村(書)

2007-01-22 08:50:41 | 
寒梅を手折る響きや老が肘         与謝蕪村

 梅の枝が太かったのか、老いの身の肘にこたえたのである。俳句は少しオーバーに表現したものが人の心をとらえ、感性とも思われる。蕪村は72歳で生涯を終えている。現在の平均寿命にも満たない。江戸中期では高齢者である。視力、腰、足腰も弱って日常生活の何気ない動作にも老いを感じた一瞬である。

播州日吉神社(写真)

2007-01-21 08:02:22 | 写真
放たれて矢は見えねども空を切る
唸りの先の的貫けり         樋田哲夫

 中国自動車道加西I・Cに近い播州日吉神社は大津市日吉大社から分霊された格式と由緒がある。新年を迎えると、バスで参拝者が押し寄せる。神職が拝殿の高台から餅(もち)を投げるが、数が少なくほんどの人が拾えない。それを配慮して後で餅の入った小袋を全員に渡す。また、弓引き神事は矢2本が約20㍍先の的を見事に射る。

赤いツバキ(墨彩画)

2007-01-20 07:29:55 | 墨彩画
際立ちて招くがごとし吾の目は
椿の赤に吸い寄せられる        樋田哲夫

 椿(つばき)は国字。園芸品種が多く、花は一重、八重、花色も種々ある。春に咲くが、京都城南宮の神苑の椿は昨年暮れに咲き始めた記事を見た。長期間咲くことになる。これまでぼんやり見ていたが、絵を描くようになってからはつぶさに物を見るようになった。花の姿形、色、葉など観察することが無限に広がる。 にほんブログ村 美術ブログへ

冬木立 子規(書)

2007-01-19 07:36:03 | 
冬木立五重塔の聳えけり      正岡子規

 どこの土地で詠んだのか知らないが、子規と五重塔といえば法隆寺を連想させる。「柿喰えば鐘が鳴るなり法隆寺」が有名な句であるからだ。事実、明治28年10月に奈良と斑鳩の里の法隆寺を3日間訪ねている。法隆寺の塔は西院伽藍(がらん)に立つ飛鳥時代の国宝で、優美な姿を松の木立に見せる。

播州安志加茂神社・その2(写真)

2007-01-18 06:59:16 | 写真
賽銭を入れたる臼に杵とりて
我が年数ふ経よむごとく         樋田哲夫

 安志加茂神社の祈りは珍しい。本殿脇の小さな吹き晒しの建物に12個の干支の臼(うす)が置かれていて、参拝者は生まれ年の臼に賽(さい)銭を入れて、自分の年齢を数えながら杵(きね)で搗(つ)く光景は奇異に映る。珍しさもあって、みんな楽しそうに試している。小さいながら口から漏れる声はあたかもお経のようである。

景勝地には松の木(水墨画)

2007-01-17 08:49:28 | 水墨画
さくさくと砂の足音耳によく
松林ゆく大岐の浜の        樋田哲夫

 平成12年3~4月に四国八十八ヶ所歩き遍路の経験がある。四万十市(旧中村市)の四万十川と別れて、伊豆田トンネルを抜けると、土佐清水市に入る。まだ、足摺岬は遠いが、何千本もの松の木のある大岐海岸を通る。満潮時には通れない松原は太平洋を望む雄大な景色である。高知県には外に入野松原、東部の琴ヶ浜の白砂青松の景勝地がある。 にほんブログ村 美術ブログへ