哲仙の水墨画

デジカメの風景写真、四季の草花、水墨画、書、短歌などを楽しみます。

短夜や 蕪村(書)

2007-05-31 06:40:00 | 
短夜や芦間流るる蟹の泡        与謝蕪村

 夏至前後の日の出は5時前となって、目を覚ますころには外はすでに明るく夜は短い。カニはどこにでも棲むが一般的には池や沼の湿地を好む。が、潮の干満のある河川は種類も豊富となる。この句はカニの泡が流れるとあるから河川となる。カニを見ていたら泡が芦間をゆっくり流れ出したという。しゃがんでの観察風景が浮かんでくる。

和歌山・のかみふれあい公園(写真)

2007-05-30 07:54:35 | 写真
緑ます五月の山のをちこちに
競ふがごとく鳴くほととぎす         樋田哲夫

 5月28日和歌山・紀美野町のかみふれあい公園に出かけた。清清しい風の吹く中に広々と公園はあった。200~300㍍の低い山々を開発した公園で、わんぱく広場、パークゴルフ場、芝生広場などがあり、幼稚園や小学校の遠足に楽しめ、動物愛護センターと隣接していた。この時期ホトトギスが近くの山で派手に鳴き競っていた。

石仏2体(水墨画)

2007-05-29 06:17:10 | 水墨画
道野辺に飾り気のなき石仏は
見かけることの少なくなりき        樋田哲夫

 車社会の現代は新しい道路が次々と建設されて便利になる一方で素朴さが消えつつある。旧道の往来によく見かけた石仏もそうである。車が通れる幅の道路をいくらさがしても、まず見当たらない。曲がりくねった狭い地道でやっとである。ふと出会うと足を止めて語りかけたくなる年齢になった。京都・岩船寺辺りは宝庫と聞く。 にほんブログ村 美術ブログへ

白山の 一茶(書)

2007-05-28 07:12:57 | 
白山の雪きらきらと暑さかな        小林一茶

 加賀白山は石川・岐阜両県にまたがる標高2702㍍の霊峰である。独立峰でないために北陸自動車道から見る白山は特定しにくい。あれかこれかと白山を決めかねて迷う。頂は長く雪をかぶり、遠くから眺めてきらきらと光る暑さの季節の到来である。信濃からはまず見えず、おそらく旅の句である。

両界曼荼(まんだら)羅の子嶋寺(写真)

2007-05-27 06:28:40 | 写真
新聞に知りて訪ねし高取の
曼荼羅の寺町を外れて       樋田哲夫

 奈良・高取町の子嶋寺はつい最近新聞で知った。以前明日香キトラ古墳が発見された渦中にキトラを訪ねたが、すぐ近くを通りながら素通りしていたことになる。寺には平安初期の国宝「紺綾地金銀泥絵両界曼荼羅」2幅があるが、現物は奈良国立博物館に寄託。本堂には小さな写真のみ。胎蔵界金剛界共に縦約3・5、横3㍍で大きい。

ミズナスにバッタ(水墨画)

2007-05-26 06:29:56 | 水墨画
水茄子はころりんとして見目なけど
浅漬けなれば人に好かるる         樋田哲夫

 大阪南部の泉州地域に特産のミスナスがある。これから最盛期を向かえ、忙しい栽培農家も多い。特に浅漬けにすると食が進むという人がいる。食べる時間の、何時間前に漬け込むのが一番美味しいとこだわりを持つ人もいて味は微妙らしい。道路端にのぼりを立てて販売する即席店舗も見かける。また、全国へ発送もされる。 にほんブログ村 美術ブログへ

青空の 青々(書)

2007-05-25 06:40:47 | 
青空の中に風吹く薄暑かな        松瀬青々

 5月は寒暖の差のある月である。南の高気圧が張り出すと日本のいたるところで夏日、真夏日となって汗ばむほどだ。そんな日の青空は晴れ渡り、風が吹きぬけるのが心地よい。人は暑さを口に出し始め、新緑の若葉は深緑と移る。この句は青空と風があってすがすがしく暑さは感じさせない。

明日香の陵墓(写真)

2007-05-24 07:23:05 | 写真
どの陵も時に訪ねど管理する
人のゐなきに美しきかな        樋田哲夫

 明日香には陵墓が多く、文武、天武・持統、欽明天皇陵がある。宮内庁管轄で鳥居があり、中への立入禁止となっている。どの陵墓を訪ねても、木の葉も落ちていないほど清潔である。管理人が常駐している気配もない。いわば無人であるが、美しい。これは全国どこの陵を訪ねてもきれいである。

公園に憩う(水墨画)

2007-05-23 06:24:12 | 水墨画
腰掛けて薫れる風と遊びつつ
水面に揺らぐ影にささやく

 公園を一周して程よい疲れが出たころ、見晴らしのよいベンチに腰を下ろして憩うときが、つかの間の幸せである。ちょっとした無心の境地にいて、初夏の心地よい風に世俗の苦労も忘れる。目に映る光景も意識をもたず、ただぼんやりと眺めるゆとりが、時々ありたいものだ。 にほんブログ村 美術ブログへ

たまたまに 去来(書)

2007-05-22 06:16:24 | 
たまたまに三日月をがむ五月かな         向井去来

 三日月は陰暦第3夜の夕方西の空低く浮かぶ。空気の層の屈折で光は赤味をおび、いつも見慣れた月とは少し異なり、まもなく落ちて見えなくなる。季語は秋であるが、3句に5月があるからこの句は初夏である。現代では小学生でも習ってしているが、元禄中期では天体の動きは不思議な現象で、たまたま三日月を拝んだのである。何を拝んだのであろうか。

甘樫丘(写真)

2007-05-21 06:31:13 | 写真
明日香路はロマン香りて甘樫の
丘ぞ入鹿の西方浄土           樋田哲夫

 飛鳥寺の西方80メートルの田の中に入鹿の五輪塔が建つ。かって繁栄を極めた豪族蘇我入鹿も中大兄皇子と中臣鎌足のクーデターにより1日で滅亡してしまった。その悲話を物語るように甘樫丘(150)は五輪塔からレンゲ田を挟んだ西方に臨める。一昨年11月、丘の東南側の麓から蘇我氏の邸跡が発掘された。

桜島(水墨画)

2007-05-20 06:33:13 | 水墨画
旅に来て磯庭園の真向かひに
煙を吐くは櫻島かな         樋田哲夫

 30数年前のことか、会社のグループで鹿児島を旅した。鹿児島藩主別邸の磯庭園から錦江湾を隔てて真向かいに煙を吐く絶景の桜島が眺められた。庭園にいるわずかな時間に爆発して勢いよく煙を上げ、ガイドの説明によると風向きによっては洗濯物も干せない日があるという。桜島は近くて、ビルや人家がよく見えた。 にほんブログ村 美術ブログへ

すずめをどるや 山頭火(書)

2007-05-19 07:18:53 | 
すずめをどるやたんぽぽ散るや       種田山頭火

 山頭火は明治15年現防府市に生まれる。破天荒な俳人として有名。造り酒屋の実家が破産し、母の投身自殺などの不幸で大きな影響を受けた。その後酒におぼれ、妻子を捨てた乞食僧として全国放浪の旅に出た。その間自由律俳句を作り続けた。昭和15年松山で死去57歳。山頭火と同じように人生を捨て、旅をして俳句を作り続けた人に尾崎芳哉がいる。

高松塚古墳(写真)

2007-05-18 05:53:58 | 写真
とこしへに輝きあれと祈りゐる
飛鳥美人の塚のみ前に       樋田哲夫

 今、新聞やテレビ報道で話題の高松塚古墳を訪ねた。真夏日の丘陵地に古墳は覆い屋根ですっぽりと隠れていた。中は分かる由もないが、1300年の眠りから発見された極彩色の西壁女子群像が黒かびによる損傷がひどく、解体修復作業が行われている。10年かけての入念な復元であるが、元通りの輝きは取り戻せるのだろうか。

ナスとキュウリ(水墨画)

2007-05-17 06:45:33 | 水墨画
ままならぬ胡瓜の伸びもここにきて
支柱を立てる五月の半ば        樋田哲夫

 入梅前の5月は日照りが続いて、畑に植えたキュウリの苗の伸びが悪く、支柱するほどでもないので放っておいた。原因は水不足である。近畿地方の梅雨入りは6月上旬。連休前に植えた苗が20日間を超えてようやく支柱を必要とするまでになった。品種改良も進んで、連作も、虫害にも強い苗が出ていて今年はそれを選んだ。 にほんブログ村 美術ブログへ