三輪山をしかも隠すか春がすみ
人に知られぬ花や咲くらむ 紀貫之
ご神体とする三輪山を春霞がすっぽり隠している。その霞の奥には、誰も知らない桜の花が咲いているだろう。 大神神社のご神体となる三輪山は桜井市にあり、一度登ったことがある。頂上からは平城京や大和三山が一望できる。
人に知られぬ花や咲くらむ 紀貫之
ご神体とする三輪山を春霞がすっぽり隠している。その霞の奥には、誰も知らない桜の花が咲いているだろう。 大神神社のご神体となる三輪山は桜井市にあり、一度登ったことがある。頂上からは平城京や大和三山が一望できる。
遣り水に苔むす岩のさえざえと
侘びに浸るは御所の内庭 樋田哲仙
御所の中に御内庭(ごないてい)と呼ばれる日本庭園がある。曲折した遣り水を流して岩や石の橋を架け、趣向を凝らした造りに苔むし、庭園美の極致となっている。一般公開で多数の入場者が溢れている中、前面に立つと騒音が一瞬消えて静寂の世界にいるように錯覚す。殿上人や女房が普段目に触れていたかと思うとこちらまで雅なときを過ごせる。
侘びに浸るは御所の内庭 樋田哲仙
御所の中に御内庭(ごないてい)と呼ばれる日本庭園がある。曲折した遣り水を流して岩や石の橋を架け、趣向を凝らした造りに苔むし、庭園美の極致となっている。一般公開で多数の入場者が溢れている中、前面に立つと騒音が一瞬消えて静寂の世界にいるように錯覚す。殿上人や女房が普段目に触れていたかと思うとこちらまで雅なときを過ごせる。
春の色のいたりいたらぬ里はあらじ
咲ける咲かざる花の見ゆらむ 詠み人知らず
今、全国津々浦々春の暖かい光の届かない里はないはずだ。だが、見ると、咲いている花、まだ咲いていない花があるのはどうしてなんだろう。
咲ける咲かざる花の見ゆらむ 詠み人知らず
今、全国津々浦々春の暖かい光の届かない里はないはずだ。だが、見ると、咲いている花、まだ咲いていない花があるのはどうしてなんだろう。
春と秋公開される御所に来て
源氏の世界はるかのよぎる 樋田哲仙
春と秋の年2回一般公開される京都御所は平安時代のよすがをしのぶのに最適の建造物である。宜秋門から順路に進み、承明門を大回りして紫宸殿へ出る。即位などの大礼を行い、殿の中央北よりに玉座がある。北は廊下を通じて清涼殿に繋がる。前庭には左近の桜、右近の橘が植えれている。今年の秋の公開は11月17日~21日までであった。
源氏の世界はるかのよぎる 樋田哲仙
春と秋の年2回一般公開される京都御所は平安時代のよすがをしのぶのに最適の建造物である。宜秋門から順路に進み、承明門を大回りして紫宸殿へ出る。即位などの大礼を行い、殿の中央北よりに玉座がある。北は廊下を通じて清涼殿に繋がる。前庭には左近の桜、右近の橘が植えれている。今年の秋の公開は11月17日~21日までであった。
花の木も今は堀り植ゑじ春たてば
移ろふ色に人ならひけり 素性法師
花の咲く木だからといって、掘って来ては植えまい。春になればその木は咲くだろうが、すぐに色あせてしまう。それを見た人間は真似るかのように、すぐに気力を衰えさせてしまうだろうから。
移ろふ色に人ならひけり 素性法師
花の咲く木だからといって、掘って来ては植えまい。春になればその木は咲くだろうが、すぐに色あせてしまう。それを見た人間は真似るかのように、すぐに気力を衰えさせてしまうだろうから。
小春日に人影のまだ少なくて
寺の紅葉今日は美し 樋田哲仙
訪ねた日の金剛寺は小春日和であったが、朝がはやく人影はまばらだった。門前の紅葉が日差しに照り映えて、透かし見ると朱色が鮮やかで、まさに錦秋の美しさ。今年は夏の猛暑と11月の適度の雨量が程よく、2002年以来8年ぶりの当たり年とか。各地の紅葉の名所も同様に色鮮やかな紅葉が楽しめているようだ。
寺の紅葉今日は美し 樋田哲仙
訪ねた日の金剛寺は小春日和であったが、朝がはやく人影はまばらだった。門前の紅葉が日差しに照り映えて、透かし見ると朱色が鮮やかで、まさに錦秋の美しさ。今年は夏の猛暑と11月の適度の雨量が程よく、2002年以来8年ぶりの当たり年とか。各地の紅葉の名所も同様に色鮮やかな紅葉が楽しめているようだ。
紅葉の見頃となりしこの寺の
眺めはこことシャッターを切る 樋田哲仙
文化の日に菊花展を覗いたあと、足を伸ばして河内長野市・金剛寺を訪ねた。紅葉には少し早すぎて、2週間後、改めて訪ねると、見ごろを迎えて最高となっていた。本堂が10年がかりの大修理で足場が組まれて写真にならないので入山料まで払って境内へは入らなかった。自然と塀越しの眺めになるのだが、絶景はあるものだ。思わず、この場所に限るとカメラを向けた。
眺めはこことシャッターを切る 樋田哲仙
文化の日に菊花展を覗いたあと、足を伸ばして河内長野市・金剛寺を訪ねた。紅葉には少し早すぎて、2週間後、改めて訪ねると、見ごろを迎えて最高となっていた。本堂が10年がかりの大修理で足場が組まれて写真にならないので入山料まで払って境内へは入らなかった。自然と塀越しの眺めになるのだが、絶景はあるものだ。思わず、この場所に限るとカメラを向けた。
故里となりにしならの都にも
色はかはらず花は咲きけり 平城(へいぜい)天皇
すでに廃都となって荒涼たる平城京のなかで、木立にも昔の面影がなくなってしまったけれど、色は変らず花は昔のままに咲いている。第51代平城天皇は後の嵯峨天皇との不和で平安京から平城京へ戻ったときの変わり果てた中で花だけは変らずに咲いているの見て詠む。
色はかはらず花は咲きけり 平城(へいぜい)天皇
すでに廃都となって荒涼たる平城京のなかで、木立にも昔の面影がなくなってしまったけれど、色は変らず花は昔のままに咲いている。第51代平城天皇は後の嵯峨天皇との不和で平安京から平城京へ戻ったときの変わり果てた中で花だけは変らずに咲いているの見て詠む。
単鉢に競技のあるを知らずして
常に帰りし菊花展かな 樋田哲夫
毎年楽しみにして出かけている国華園の菊花展に単鉢の競技があることを知らなかった。段々畑に温室の棟が並んで最上地にある温室が単鉢の会場とは気付かなかった。最初訪ねたとき雑然とした物入れになっていたので、それ以来無視して覗かなかったが、今年人の動きに気づいて知った。毎年見ずに帰っていたことになる。
常に帰りし菊花展かな 樋田哲夫
毎年楽しみにして出かけている国華園の菊花展に単鉢の競技があることを知らなかった。段々畑に温室の棟が並んで最上地にある温室が単鉢の会場とは気付かなかった。最初訪ねたとき雑然とした物入れになっていたので、それ以来無視して覗かなかったが、今年人の動きに気づいて知った。毎年見ずに帰っていたことになる。