白梅のあと紅梅の深空あり 飯田龍太
白梅が咲いた後、少し遅れて紅梅が咲くのが一般的であるが、品種が作り出されて梅園を訪ねてみると同時に咲いていて、観賞用の梅は開花の概念は崩れている。作者は梅林でも訪ねて白梅を見た後、紅梅を見たのだが、同じ空でも白梅と紅梅の空が微妙に違うことを発見したのである。花を詠まずに空に目を向けて作句したのである。
白梅が咲いた後、少し遅れて紅梅が咲くのが一般的であるが、品種が作り出されて梅園を訪ねてみると同時に咲いていて、観賞用の梅は開花の概念は崩れている。作者は梅林でも訪ねて白梅を見た後、紅梅を見たのだが、同じ空でも白梅と紅梅の空が微妙に違うことを発見したのである。花を詠まずに空に目を向けて作句したのである。
見えねども山のかなたは咲き誇る
水仙の香の駆け上り行く 樋田哲夫
群生する水仙にこれほど感動する所は外にない。灘黒岩水仙郷は谷筋の急な遊歩道を登り始めて、世俗から別世界へ来た思いにさせられる。曲折する道から山を仰ぐと迫力があり、雲のかなたへ上るような喜びに浸る。途中で足を止めて一面に漂う水仙にカメラで忙しくなる。訪ねた時期と天候にめぐられたのがよかった。
水仙の香の駆け上り行く 樋田哲夫
群生する水仙にこれほど感動する所は外にない。灘黒岩水仙郷は谷筋の急な遊歩道を登り始めて、世俗から別世界へ来た思いにさせられる。曲折する道から山を仰ぐと迫力があり、雲のかなたへ上るような喜びに浸る。途中で足を止めて一面に漂う水仙にカメラで忙しくなる。訪ねた時期と天候にめぐられたのがよかった。
夕暮の松見に来れば帰る雁 小林一茶
冬鳥は越冬のために日本へ避寒に来ている。シベリアの寒さが和らぐころになると北帰行する。特に白鳥、鶴、雁は2月下旬~3月中旬がその時期となる。この句は雁を見ているのであれこれ考える余地はない。日本で9種類いるが、マガンが圧倒的に多い。この句に中七が「松見に来しを」とあるものもあるが説明の感があり「松見に来れば」を書いた。
冬鳥は越冬のために日本へ避寒に来ている。シベリアの寒さが和らぐころになると北帰行する。特に白鳥、鶴、雁は2月下旬~3月中旬がその時期となる。この句は雁を見ているのであれこれ考える余地はない。日本で9種類いるが、マガンが圧倒的に多い。この句に中七が「松見に来しを」とあるものもあるが説明の感があり「松見に来れば」を書いた。
潮香る山の斜面に咲き誇る
水仙の花海に真向かふ 樋田哲夫
灘黒岩水仙郷はいったん谷筋に入ってから水仙の咲く遊歩道を登り始める。曲折の多い急勾配の歩道は万里の長城を思わせ、峠を越えると春に輝く紀伊水道の海を見下ろす。急斜面に群生する水仙は日本三大群生地と自称している。風光明美を誇る瀬戸内海国立公園の一部でもある。7㌶、500万本の一大スペクタルである。
水仙の花海に真向かふ 樋田哲夫
灘黒岩水仙郷はいったん谷筋に入ってから水仙の咲く遊歩道を登り始める。曲折の多い急勾配の歩道は万里の長城を思わせ、峠を越えると春に輝く紀伊水道の海を見下ろす。急斜面に群生する水仙は日本三大群生地と自称している。風光明美を誇る瀬戸内海国立公園の一部でもある。7㌶、500万本の一大スペクタルである。
雪の峰しづかに春ののぼりゆく 飯田龍太
長い冬が終わり春が近づいて暖かくなると山の雪は山裾から消えて峰へ上り始める。この句は日数の経過があって生まれてくるものであって、瞬間的な観察で生まれてはいない。作者が住んでいる山を見ていて感じ、旅のような移動で詠んでいるのではない。この句は春が上るの表現で命を吹き込んでいる。反対に秋の紅葉は峰から降りてくる。
長い冬が終わり春が近づいて暖かくなると山の雪は山裾から消えて峰へ上り始める。この句は日数の経過があって生まれてくるものであって、瞬間的な観察で生まれてはいない。作者が住んでいる山を見ていて感じ、旅のような移動で詠んでいるのではない。この句は春が上るの表現で命を吹き込んでいる。反対に秋の紅葉は峰から降りてくる。
やうやくの春の日差しに水仙の
淡路訪ねて安らぐひと日 樋田哲夫
今年は2月中旬が厳しい寒さで、春が待ち遠しかったが、予報で10度以上になると報じたので、淡路灘黒岩水仙郷を訪ねた。。45度の急斜面の山肌一面に満開の水仙が春の香りを漂わせ素晴らしかった。その景観はポスターどおりで期待を裏切らなかった。整備された遊歩道の柵(さく)の曲折もアクセントとなり、ゴ-シャスとなっていた。
淡路訪ねて安らぐひと日 樋田哲夫
今年は2月中旬が厳しい寒さで、春が待ち遠しかったが、予報で10度以上になると報じたので、淡路灘黒岩水仙郷を訪ねた。。45度の急斜面の山肌一面に満開の水仙が春の香りを漂わせ素晴らしかった。その景観はポスターどおりで期待を裏切らなかった。整備された遊歩道の柵(さく)の曲折もアクセントとなり、ゴ-シャスとなっていた。
春の鳶寄りわかれては高みつつ 飯田龍太
龍太は昨年2月25日に死去。現代を代表する俳人。山梨を拠点に父蛇笏と親子そろっての俳人である。トビは年中見られ、春をつけないと季語にならない。海岸から高山まで見られ、大型のおとなしいワシタカの仲間で雑食性である。数羽の群れで高く輪を描いて飛ぶ。この情景を見てトビが近寄ったり、離れたりして高度を上げたのであろう。
龍太は昨年2月25日に死去。現代を代表する俳人。山梨を拠点に父蛇笏と親子そろっての俳人である。トビは年中見られ、春をつけないと季語にならない。海岸から高山まで見られ、大型のおとなしいワシタカの仲間で雑食性である。数羽の群れで高く輪を描いて飛ぶ。この情景を見てトビが近寄ったり、離れたりして高度を上げたのであろう。
雪の舞ふ海沿ひの道駆け抜ける
市民ランナー長きが列は 樋田哲夫
泉州路を駆け抜ける第15回泉州国際市民マラソンがきのう行われた。堺市浜寺公園をスタートしいったん北へ向かい折り返して南下する日本陸連公認レース。寒波で時折雪の舞う中を3000人が走った。ゴール近くは大阪湾沿いのアップダウンのある橋が二つありランナーには大変なコース。同日東京マラソンが10倍規模で行われた。
市民ランナー長きが列は 樋田哲夫
泉州路を駆け抜ける第15回泉州国際市民マラソンがきのう行われた。堺市浜寺公園をスタートしいったん北へ向かい折り返して南下する日本陸連公認レース。寒波で時折雪の舞う中を3000人が走った。ゴール近くは大阪湾沿いのアップダウンのある橋が二つありランナーには大変なコース。同日東京マラソンが10倍規模で行われた。
梅の香に障子ひらけば月夜かな 小林一茶
日常生活の中で障子という言葉を聞かなくなって久しい。暮らしの中はすっかりガラス戸に入れ替わってしまったことになる。障子は部屋を仕切る重要な建具である。一茶は強く香る梅の香に思わず障子を開けてみると外は、まだ寒い夜の月がこうこうと輝いていたのである。その瞬間梅の香のことは消えて月に心を奪われてしまったのである。
万歳、きょうでブログ掲載1000回
日常生活の中で障子という言葉を聞かなくなって久しい。暮らしの中はすっかりガラス戸に入れ替わってしまったことになる。障子は部屋を仕切る重要な建具である。一茶は強く香る梅の香に思わず障子を開けてみると外は、まだ寒い夜の月がこうこうと輝いていたのである。その瞬間梅の香のことは消えて月に心を奪われてしまったのである。
万歳、きょうでブログ掲載1000回
締めくくりの七福神は遥かより
塔の見えゐる八浄の寺 樋田哲夫
淡路七福神の最後の締めくくりとなった淡路市八浄寺は国道28号線沿いにあり、寺域が道より一段低いために遠くからでも風変わりな赤い塔が見える。中央の九輪のほかに屋根の四隅に小振りな九輪が4本建ち、計5本ある。これまで多くの寺めぐりをしているが、見たこともない珍しいものだ。一見中国風にも見える。
塔の見えゐる八浄の寺 樋田哲夫
淡路七福神の最後の締めくくりとなった淡路市八浄寺は国道28号線沿いにあり、寺域が道より一段低いために遠くからでも風変わりな赤い塔が見える。中央の九輪のほかに屋根の四隅に小振りな九輪が4本建ち、計5本ある。これまで多くの寺めぐりをしているが、見たこともない珍しいものだ。一見中国風にも見える。