哲仙の水墨画

デジカメの風景写真、四季の草花、水墨画、書、短歌などを楽しみます。

日本の原風景(水墨画)

2008-02-29 06:52:03 | 水墨画
蝶・蝉に網振り上げし故郷の
想ひはめぐる齢となれり        樋田哲夫

 小学生の夏休みの思い出にチョウやセミに網を持って追いまわした記憶がある。屋敷林のケヤキの大木にセミが群れて朝から昼にかけて蝉時雨となり、うるさくて昼寝どころではない。そこで、セミ取りとなるのだが男の子なら誰もが経験しているはずだ。これも遠い昔の記憶となるほど老齢となってしまった。 にほんブログ村 美術ブログへ

白梅の 龍太(書)

2008-02-28 22:25:58 | 
白梅のあと紅梅の深空あり       飯田龍太

 白梅が咲いた後、少し遅れて紅梅が咲くのが一般的であるが、品種が作り出されて梅園を訪ねてみると同時に咲いていて、観賞用の梅は開花の概念は崩れている。作者は梅林でも訪ねて白梅を見た後、紅梅を見たのだが、同じ空でも白梅と紅梅の空が微妙に違うことを発見したのである。花を詠まずに空に目を向けて作句したのである。

灘黒岩水仙郷3(写真)

2008-02-27 06:31:29 | 写真
見えねども山のかなたは咲き誇る
水仙の香の駆け上り行く      樋田哲夫

 群生する水仙にこれほど感動する所は外にない。灘黒岩水仙郷は谷筋の急な遊歩道を登り始めて、世俗から別世界へ来た思いにさせられる。曲折する道から山を仰ぐと迫力があり、雲のかなたへ上るような喜びに浸る。途中で足を止めて一面に漂う水仙にカメラで忙しくなる。訪ねた時期と天候にめぐられたのがよかった。

魚とエビ(水墨画)

2008-02-26 07:39:18 | 水墨画
玄関に飾り終へれば人の来て
長き見つめに魚拓かと問ふ       樋田哲夫

 手本を見て描いたものだが、慣れない和紙に水加減と墨の濃淡がつかめず筆を走らせると、いつもと違って発色が薄くなってしまった。そこで修正をかけると今度は濃くなってしまった。不慣れなことはうまくいかず作品は失敗であるが、玄関に飾ると人が来て、じっと眺めた後に魚拓かと聞き、褒めてくれたので驚いた。  にほんブログ村 美術ブログへ

夕暮の 一茶(書)

2008-02-25 07:42:10 | 
夕暮の松見に来れば帰る雁         小林一茶

 冬鳥は越冬のために日本へ避寒に来ている。シベリアの寒さが和らぐころになると北帰行する。特に白鳥、鶴、雁は2月下旬~3月中旬がその時期となる。この句は雁を見ているのであれこれ考える余地はない。日本で9種類いるが、マガンが圧倒的に多い。この句に中七が「松見に来しを」とあるものもあるが説明の感があり「松見に来れば」を書いた。

灘黒岩水仙郷2(写真)

2008-02-24 08:30:57 | 写真
潮香る山の斜面に咲き誇る
水仙の花海に真向かふ         樋田哲夫

 灘黒岩水仙郷はいったん谷筋に入ってから水仙の咲く遊歩道を登り始める。曲折の多い急勾配の歩道は万里の長城を思わせ、峠を越えると春に輝く紀伊水道の海を見下ろす。急斜面に群生する水仙は日本三大群生地と自称している。風光明美を誇る瀬戸内海国立公園の一部でもある。7㌶、500万本の一大スペクタルである。

だるま(水墨画)

2008-02-23 08:51:36 | 水墨画
なにごとも十年を経てやうやくに
術を知るかと思ふこのごろ     樋田哲夫

 何事も芸事は10年はかかると思うようになった。書も画も習い始めて10年を越えた。続けていれば少しずつ腕が上がっているようだ。だが完成することはない道のりではあるが、書も画も生涯取り組むつもりでいる。インドの達磨大師が中国にわたって少林寺で9年間壁面に向かって座禅して悟りを開いたいう。 にほんブログ村 美術ブログへ

雪の峰 龍太(書)

2008-02-22 07:30:34 | 
雪の峰しづかに春ののぼりゆく     飯田龍太
 
 長い冬が終わり春が近づいて暖かくなると山の雪は山裾から消えて峰へ上り始める。この句は日数の経過があって生まれてくるものであって、瞬間的な観察で生まれてはいない。作者が住んでいる山を見ていて感じ、旅のような移動で詠んでいるのではない。この句は春が上るの表現で命を吹き込んでいる。反対に秋の紅葉は峰から降りてくる。

灘黒岩水仙郷(写真)

2008-02-21 07:07:12 | 写真
やうやくの春の日差しに水仙の
淡路訪ねて安らぐひと日        樋田哲夫

 今年は2月中旬が厳しい寒さで、春が待ち遠しかったが、予報で10度以上になると報じたので、淡路灘黒岩水仙郷を訪ねた。。45度の急斜面の山肌一面に満開の水仙が春の香りを漂わせ素晴らしかった。その景観はポスターどおりで期待を裏切らなかった。整備された遊歩道の柵(さく)の曲折もアクセントとなり、ゴ-シャスとなっていた。

カブとネズミ(水墨画)

2008-02-20 05:39:56 | 水墨画
捨て置けば畠の蕪は鬆のいりて
鼠も見向きしなくなりたり       樋田哲夫

 ネコの額ほどの家庭農園に冬野菜を作っている。葉物野菜は別にして根菜は長く放置しておくと鬆(す)が入って食べられなくなる。どれも収穫時期があるようだ。特にカブは立春を過ぎて雨水を迎えたこの時期外見はよさそうに見えるが引き抜くと軽すぎて食べられるものではない。ネズミも知っていて見向きもしない。にほんブログ村 美術ブログへ

春のトビ 龍太(書)

2008-02-19 07:52:50 | 
春の鳶寄りわかれては高みつつ        飯田龍太

 龍太は昨年2月25日に死去。現代を代表する俳人。山梨を拠点に父蛇笏と親子そろっての俳人である。トビは年中見られ、春をつけないと季語にならない。海岸から高山まで見られ、大型のおとなしいワシタカの仲間で雑食性である。数羽の群れで高く輪を描いて飛ぶ。この情景を見てトビが近寄ったり、離れたりして高度を上げたのであろう。

泉州国際市民マラソン(写真)

2008-02-18 07:50:02 | 写真
雪の舞ふ海沿ひの道駆け抜ける
市民ランナー長きが列は       樋田哲夫

 泉州路を駆け抜ける第15回泉州国際市民マラソンがきのう行われた。堺市浜寺公園をスタートしいったん北へ向かい折り返して南下する日本陸連公認レース。寒波で時折雪の舞う中を3000人が走った。ゴール近くは大阪湾沿いのアップダウンのある橋が二つありランナーには大変なコース。同日東京マラソンが10倍規模で行われた。

千両の実(墨彩画)

2008-02-17 07:36:06 | 墨彩画
藪陰に朱の輝きてあらたまの
年を寿ぐ千両の実は          樋田哲夫

 千両の実の鮮やかさは木下にあって格別である。50㌢ほどの樹上に丸い実を20粒ぐらいびっしりとつけて異彩を放つ。黄色の実もあるが、千両は輝く赤に限る。関東以南の暖地の木陰に多い。どこの自治体も財政難で喘ぐが千両とは名前がいい。2月中旬ともなると終わっていて、この画はもっと早く掲載するべきである。 にほんブログ村 美術ブログへ

梅の香に 一茶(書)

2008-02-16 07:53:48 | 
梅の香に障子ひらけば月夜かな      小林一茶

 日常生活の中で障子という言葉を聞かなくなって久しい。暮らしの中はすっかりガラス戸に入れ替わってしまったことになる。障子は部屋を仕切る重要な建具である。一茶は強く香る梅の香に思わず障子を開けてみると外は、まだ寒い夜の月がこうこうと輝いていたのである。その瞬間梅の香のことは消えて月に心を奪われてしまったのである。

 万歳、きょうでブログ掲載1000回

淡路七福神・八浄寺(写真)

2008-02-15 07:34:27 | 写真
締めくくりの七福神は遥かより
塔の見えゐる八浄の寺         樋田哲夫

 淡路七福神の最後の締めくくりとなった淡路市八浄寺は国道28号線沿いにあり、寺域が道より一段低いために遠くからでも風変わりな赤い塔が見える。中央の九輪のほかに屋根の四隅に小振りな九輪が4本建ち、計5本ある。これまで多くの寺めぐりをしているが、見たこともない珍しいものだ。一見中国風にも見える。