哲仙の水墨画

デジカメの風景写真、四季の草花、水墨画、書、短歌などを楽しみます。

秋風や 波郷(書)

2006-08-31 06:59:17 | 
秋風や夢の如くに棗の実     石田波郷

 波郷は松山の人。昭和に活躍。
 棗(なつめ)は落葉小高木。秋10月初旬ごろ暗赤色の小さな卵形の実が熟す。食用となる。落花して地面を赤く染めるほど多数の実をつけるが、小さくて目立たない。
 一方茶道具の一つで茶入れ。形が上記の実の形に似て漆塗り。
 秋風と棗は2つの季語。

大内氏終焉の寺・功山寺(写真)

2006-08-30 07:19:47 | 写真
桧皮葺の反りのみやびに仏殿を
仰ぎ眺める功山寺かな       樋田哲夫

 重厚な山門まで参道を進むと前方に国宝の桧皮葺き(ひわだぶき)仏殿が見えてくる。二層の優美な翼を大きく左右に広げて歴史を感じさせる。周防は大内文化の開花により、寺は手厚い保護を受け、後の毛利氏へと受け継がれていくが、毛利元就に滅ぼされた大内義長自刃の地でもある。

熟れ柿2個

2006-08-29 07:53:22 | 墨彩画
秋浅くかつらぎ町は静もれり
日本一の串柿の里       樋田哲夫

 和歌山県かつらぎ町四郷は串柿作り日本一を自称している。山間部の集落は柿の収穫期になると、どの家も柿棚に渋柿の皮をむいた実を干し、その光景は遠くからもよく見えて圧倒される。好天には照り輝きカメラマンらが秋の風物詩をねっらて出かけるが、近くを通ってのぞいたがまだこの時期早すぎた。にほんブログ村 美術ブログへ 

膝までの 狩行(書)

2006-08-28 06:13:11 | 
膝までの秋の七草分けすすむ    鷹羽狩行

 山形県生まれ。俳人協会会長。膝までのとあるからつる草のクズであろうか。
 秋の七草はハギ、キキョウ(アサガオの説)、クズ、ナデシコ、オバナ(ススキ)、オミナエシ、フジバカマで花を楽しむが、春の七草は食用となる。

回天義挙の寺・功山寺(写真)

2006-08-27 07:23:12 | 写真
日本の末を見すゑて遂に起つ
回天義挙の晋作の像     樋田哲夫

 功山寺は昨年に続いて二度目の訪問である。毛利氏の厚い保護を受けて風格がある。高杉晋作は三条実美ら五卿らに藩論統一の決意を述べ、石川小五郎の遊撃隊と伊藤俊輔の力士隊を合わせて約80人で萩本藩会所を襲撃した機となった密議の寺。

2個の鬼灯(墨彩画)

2006-08-26 05:50:46 | 墨彩画
切り取りてなほ不思議なり鬼灯は
一年後も色の変はらず       樋田哲夫

 植物は刈り取ったり、切り取ったりすれば枯れてしまうものだが、鬼灯(ほおずき)の実は切り取った後も色の変化はしない。生々しさは少し失せるが元の色をよく保つ不思議な力を持っている。
鬼灯か祖母の咽喉(のんど)の鳴りにけり     平井照敏 にほんブログ村 美術ブログへ

一家に 芭蕉(書)

2006-08-25 06:27:37 | 
一家に遊女も寝たり萩と月    芭蕉

 芭蕉の「奥の細道」での句。新潟県親不知子不知を過ぎて市振宿に投宿。ふすま一枚隔てた隣の部屋に伊勢参りの遊女が泊まっていた。伊勢への道案内を涙ながらに懇願されたが振り切るようにして曾良との旅を続けている。

夜泊石の庭・宗隣寺(写真)

2006-08-24 07:56:13 | 写真
蓬莱の思想よりなる宗隣寺の
夜泊石をいま一度撮る      樋田哲夫

 山口県宇部市の宗隣寺は二度目の訪問である。山門右側に阿波野青畝の「鶺鴒は夜泊石を教へけり」の句碑が建ち、本堂裏の龍心庭に夜泊石(よどまりいし)がある。夜泊石は中国蓬莱(ほうらい)思想の不老不死の妙薬を積んだ宝船が帰ってきて港に停泊する様子を表現した石組みの一つ。京都金閣寺の鏡湖池にも見られる。

栗の実3個(水墨画)

2006-08-23 06:12:37 | 水墨画
山下る道の栗の木確かめて
秋の実りにまたも訪ねむ     樋田哲夫

 山歩きが好きで、近くの山へよく出かける。500-600㍍の低い山が多い。だから、山登りとは言わず山歩きと思っている。栗の木は山ろくに見かけることが多く、見つけると場所を覚えておいて秋の実りの時期に出直そうと思うのだが、自然落花に合わせるのは難しく、すでに他人が失敬している場合が多く小粒が難点である。 にほんブログ村 美術ブログ</b></font><!--
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谺して 久女(書)

2006-08-22 06:22:17 | 
谺して山ほととぎす欲しいまま       杉田久女

 久女は1890年鹿児島市に生まれる。虚子主宰「ほととぎす」に投句して、後中村汀女、竹下しづの女とともに「ほととぎす」の同人となる。が、客観写生を主唱する虚子から除名されれた。しかし、投句は続ける。太平洋戦争の食糧難から腎臓障害を起こし55歳の生涯を閉じた。悲劇の女性俳人である。句は難解。

庭の多い寺・漢陽寺(写真)

2006-08-21 07:12:00 | 写真
都より遠き地にあり曲水の
庭に歌詠む漢陽寺かな       樋田哲夫
 
 山口県周南市の漢陽寺は昨年一度訪ねている。中国風山門は参道から眺めると古刹の風格がある。臨済宗南禅寺派別格で、裏山の水を生かした曲水の庭や、蓬莱(ほうらい)山池庭、九山八海の庭、地蔵遊化の庭があり、時々マスコミに紹介されるとか。

中国金魚(墨彩画)

2006-08-20 06:20:58 | 墨彩画
町中に金魚を担ぎて振り売りの
声聞きしこと覚えのあらず     樋田哲夫

 五花文魚(ウーホウエンユイ)
 中国金魚で最も古い種類。体全体に紅、白、紫、藍などが混ざって珍しい。見たこともないのでお手本による。
 テレビドラマでしか見たことのない振り売りの光景は情緒があってみたいものだ。 にほんブログ村 美術ブログへ

白樺を 秋桜子(書)

2006-08-19 07:13:15 | 
白樺を幽かに霧のゆく音か    水原秋桜子

 虚子の主宰する「ほととぎす」の4Sの一人。客観写生を唱える虚子と後に作風で対立しほとぎすを離脱。「馬酔木」を主宰して独立。五十崎古郷、石田波郷、加藤楸邨、中村草田男らとともに対抗勢力を作る。
 高地に自生する白樺林を流れるわずかな霧の音にも感知する鋭さ。秋の深まりを感じる。

山口・般若寺(写真)

2006-08-18 06:58:20 | 写真
傷みひどき山門くぐりて般若寺の
観音堂に無情の雨降る      樋田哲夫

 山口県熊毛郡・般若寺は1400年前、用命天皇の建立による古寺。大内氏、毛利氏の手厚い保護を受けて往時は繁栄していたであろう。風格があるが、山門の屋根はひどく傷んで心が動かされた。ひっそりとした山中で一層雨が無情を誘った。

盆の花鬼灯(墨彩画)

2006-08-17 08:27:18 | 墨彩画
関東は盆の飾りの習ひとて
鬼灯市の賑ひにけり      樋田哲夫

 東京の夏の風物詩にほおずき市や朝顔市がある。毎年7月9~10日に浅草寺の境内空き地には約200点の市が立つ。ヨシズや裸電球の似合う露天に鉢物などの鬼灯を買い求める人が2日間で60万にという。中部以東では盆の花として鬼灯を仏壇や墓に飾る風習があるが、関西では薄い。 にほんブログ村 美術ブログへ