哲仙の水墨画

デジカメの風景写真、四季の草花、水墨画、書、短歌などを楽しみます。

洛西の松尾大社(写真)

2006-12-31 07:40:55 | 写真
酒の神宿す松尾の霊泉の
大社に祈る下戸なる我が      樋田哲夫

 洛西の総氏神として崇敬される松尾大社は京都最古の神社として松尾山麓にある。特に醸造の祖神として全国の酒造家、味噌、醤油、酢の製造、販売業者から尊崇される「亀の井」の霊泉がある。平成8年NHK大河ドラマ「蔵」の主人公を演じる松たか子、鹿賀丈史がドラマの中で松尾大社の参道を進むシーンを思い出す。

 来年の亥年も、本年同様猪突猛進で頑張り、書、画、写真に一層の充実を図る。

ポインセチア(墨彩画)

2006-12-30 08:04:40 | 墨彩画
クリスマスの近づくころは店先に
ポインセチアの赤の際立つ      樋田哲夫

 クリスマスや正月用のシクラメンと同様ポインセチアは11月から見かけはじめる。タマゴを押しつぶしたような葉と茎(くき)の頂上に苞(ほう)を放射状に多数つける。葉を小ぶりにした形の苞は赤、ピンク、白などがあるが、ほとんど赤で占められ、鉢物が店頭にたくさん並べられると赤色が際立って華やぐ。和名は猩猩木(しょうじょうぼく) にほんブログ村 美術ブログへ 

大晦日 西鶴(書)

2006-12-29 08:22:25 | 
大晦日定めなき世の定めかな       井原西鶴

 江戸前期の人で大阪の裕福な町人の出。浮世草子、人形浄瑠璃作家で「好色一代男」は代表作。青年時代から西山宗因に師事し、談林派の俳諧を学ぶ。連続して句を作る大矢数での分野で一昼夜に23、500句を詠んだ記録保持者。定めのない世の中が定めだというから人生を諦観(ていかん)しているのだろうか。型破りで機知に富んだ句が多い。

京都西山の善峰寺・その2(写真)

2006-12-28 08:05:09 | 写真
「遊龍」の名のある松は両翼の
枝を広げて龍うねるかに        樋田哲夫

 5代将軍徳川綱吉の生母桂昌院の廟があり、ゆかりの深い善峰寺の日本一といわれる五葉松は、かって54㍍あったが、平成4年松喰い虫の被害で15㍍切除された。が、現在も石垣の上に堂々と君臨している。600年の樹齢は天然記念物の指定にふさわしい。
 左上は桂昌院筆による歌碑
  春は花秋は紅葉の結び木はこの世の幸せめでたかりけり

変幻自在の松(水墨画)

2006-12-27 07:45:49 | 水墨画
わが旅の見かける松は無数なり
オンリーワンの姿かたちに         樋田哲夫

 一年中緑の葉を保つ樹木は常盤木と呼ばれ、松・杉が代表である。特に松の木は人間の意志を素直に受け入れ、変幻自在の形となることから盆栽の世界にも王座を占めるほどだ。姿かたちはどれを見ても同じものはなく、世界に唯一つの個性派である。また、めでたい木としても新年を寿ぐ門松として欠かせない。にほんブログ村 美術ブログへ 

わが雪と 其角(書

2006-12-26 08:08:50 | 
わが雪と思へば軽(かろ)し笠の上          榎本(宝井)其角

 其角は魚河岸(現在の日本橋)生まれで生粋の江戸っ子。蕉門十哲の一人。自分の雪と思えば笠の上に積もった重みもなんとも思わない。この句から次の慣用句が生まれている。「我が物と思えば軽し笠の雪」で自分の利益となることならば、苦労も苦労と思わない。

京都西山の善峰寺(写真)

2006-12-25 05:28:27 | 写真
急坂を登りつめたる善峰の
門の組み手に工匠(たくみ)のすごさ       樋田哲夫

 京都西山の西国三十三ヶ所第20番札所善峰寺は三度目の訪問である。今回はバスで訪ねたので、バス停から近道となる木立の中の急坂を登ると、突如視界が開けて真上に山門が現れた。風格があり建築様式の一つ組み手の見事さに驚いた。寺では仏像を拝むだけでなく、歴史、建築、仏像、景観を見るのが楽しみである。

雪吊り(水墨画)

2006-12-24 06:47:27 | 水墨画
北国の霜の季節の雪吊りは
雪降る前の急ぎの仕事       樋田哲夫

 雪吊りの美しさの代表格は金沢兼六園での光景である。雪の重みで松の木の枝が折れないよう心棒を中央に立て先端から放射状に伸びる縄の姿は冬の風物詩として親しまれている。毎年11月上旬から12月中旬までの長丁場で90本弱の松の木を守る作業が続くという。 にほんブログ村 美術ブログへ

満開の 狩行(書)

2006-12-23 07:15:04 | 
満開の傷つきあひてシクラメン        鷹羽狩行

 暮れになると園芸店にシクラメンの鉢物が多数並ぶが、露地栽培では暖かくなってから咲くので季語は春となっている。現在では温室で栽培されてクリスマスか正月の花と錯覚するほどだ。品種改良も進んで色も豊富である。ハートの形の葉を押し分けて花茎(かけい)がたくさん立ち、ひしめき合うように咲く。和名は篝火(かがりび)草。

京都市伏見区城南宮・その3(写真)

2006-12-22 07:48:03 | 写真
秋雨に木々の梢の紅を
楽水軒の濡れ縁に詠む        樋田哲夫

 道路で分断された城南宮の南側の神苑は美しい日本庭園がある。あいにく雨模様で、もし、天気であれば照り映える秋の庭を堪能出来たことかと残念であったが、落水軒に上がって一服のお茶を味わった後、濡れ縁に出て、目に映る景を短歌の心で脳を活性化していた。

大きなオモト(水墨画)

2006-12-21 07:45:23 | 水墨画
花咲きて鉢の万年青の実をむすぶ
ことはなかりしいくら育てど      樋田哲夫

 赤い実をつけた鉢植えの万年青(おもと)はなかなかいいもので、挑戦したことがある。花の咲くところまでは簡単であるが、その先の実を結ばせるのが難しい。園芸の本を見て育てるのだが、受粉がうまくいかない。しばらく挑戦したが根負けした。若いころのことである。にほんブログ村 美術ブログへ

啄木鳥や 秋桜子(書)

2006-12-20 05:13:45 | 
啄木鳥(きつつき)や落葉をいそぐ牧の木々      水原秋桜子

 群馬県赤城山での吟。キツツキが鳴いている。一方で高原の牧場の木々の葉が激しく落ち始めたというのだ。キツツキに鳴き声はあるが、巣穴を作るときや木の幹の中に住む虫を取り出すときのくちばしの高音を言ってるのだろう。日本にキツツキの名の鳥はいないが、キツツキ科に11種いる。コゲラ、アオゲラ、ヤマゲラ、アカゲラ、オオアカゲラ、クマゲラなど。

京都市伏見区城南宮・その2(写真)

2006-12-19 07:22:30 | 写真
平安の貴人のごとく城南の
宮に詠みたし曲水の宴        樋田哲夫

 城南宮神苑の平安の庭に曲水の遣水(やりみず)が流れている。春と秋の年2回、平安貴族の狩衣(かりぎぬ)と小袿(こうち)の装束をした男女の歌人が、流れのほとりに座って上流から朱塗りの杯が来る間に和歌を詠んで短冊にしたため、また流す雅な行事。テレビのニュースに放映されることがよくある。

ミノムシ2匹(水墨画)

2006-12-18 08:08:08 | 水墨画
寒さにも小さき宙に蓑虫は
耐へて孤独の侘び住まひかな      樋田哲夫

 ミノガ科のガの幼虫。木の小枝や葉をうまく丸めて、その袋の中に棲(す)む。蛹(さなぎ)から成虫となってガとなる。メスは翅(はね)がなく一生袋で暮らすという。昔はその袋で丈夫な財布に加工された。我が家の庭は年3回消毒するためかミノムシは見ない。 にほんブログ村 美術ブログへ

冬枯れや 芭蕉(書)

2006-12-17 07:43:50 | 
冬枯れや世は一色に風の音    松尾芭蕉

 どこの土地で、いつ詠んだのか調べかねているが、句碑は愛知県大府市横根町に建ち、旧東海道は近い。木枯らしが激しく吹きすさんで、あたかも風の音が一色の世界となったようだと詠んでいるから、冬枯れは少し先の季節となる。現在の寒のころであろう。