哲仙の水墨画

デジカメの風景写真、四季の草花、水墨画、書、短歌などを楽しみます。

淡路七福神・万福寺(写真)

2008-01-31 09:57:12 | 写真
年旧ればわが身いとしく明石より
海峡渡る神への祈り          樋田哲夫

 南あわじ市・万福寺は七福神の恵比寿神をまつる。七福神をまつる寺は1月中正月気分が残り参拝者で賑わう。バスの一行が本堂に上がると年老いた住職が太鼓を叩いて口早く般若心経を唱える。経は早く唱えるほどよいと自説を披露するが、お経はゆっくりが経らしい。どこの寺もゆっくりで万福寺だけが早すぎる。

イセエビの苦悶(水墨画)

2008-01-30 07:15:29 | 水墨画
洋々と見えて海老には天敵に
海を生き抜く厳しさ多き    樋田哲夫

 正月や慶事の料理に使用されるイセエビは体長が20~30㌢の大型の海老。赤褐色の硬い殻らに包まれ、多くのとげがある。九州から関東の岩場に身を潜め、天敵のタコをさけて夜行性で、水深20~30㍍に住む。穏やかに見える海の中はわれわれの目とは裏腹に極めて厳しい生存競争の中を生き抜いている。 にほんブログ村 美術ブログへ  

よく光る 鬼城(書)

2008-01-29 08:29:25 | 
 よく光る高嶺の星や寒の入り        村上鬼城

 鬼城は虚子に師事し、大正・昭和と活躍した高崎の人。鬼城の名を知ってすぐにいつの時代の人かを確認すればよいものを勝手に江戸の人と思い込んだのがいけなかった。いまだに時代錯誤が生じている。よく光る星とは金星だろう。風のない快晴の日も暮れて、高嶺の上にひと際光る星が瞬き、冷えの厳しい寒の入りの日であったのである。

淡路七福神の覚住寺(写真)

2008-01-28 06:13:37 | 写真
新年は福を求めて淡路なる
七福神の二度目のめぐり       樋田哲夫

 南あわじ市にある覚住寺にはインドの神の毘沙門天がまつられている。別名多門天とも呼ばれ、仏教四天王の一尊で北方を守護する。皮製の甲冑(かっちゅう)を身にまとい、左手に宝塔、右手には宝棒を持つ。悪霊、病魔、厄災を退散させ、勇気を授ける。1月末といえども淡路七福神は関西では知名度が高くバスでめぐる参拝者も多い。

ナンテンとスズメ(墨彩画)

2008-01-27 09:02:43 | 墨彩画
大方の実を落としゐる南天は
寒の風にも耐えて忍べり       樋田哲夫

 一月末ともなるとナンテンの実は大方が落ちてみすぼらしい姿になる。朝の散歩に通るある家の庭や神社の日当たりのよい場所に数本見かけるが辛うじて実をつけている感がある。根元を見ても実はそれほども落ちていない。鳥が食べて数を減らすのか、落ちた実をネズミが食べるのかは分からない。寒中に見かけるナンテンは一層哀れである。 にほんブログ村 美術ブログへ

寒けれど 子規(書)

2008-01-26 04:25:02 | 
寒けれど不二見て居るや阪の上      正岡子規

 子規がこの句をどこで詠んだかは知らない。富士はどこからでもよく見えるが、駿河湾に面した由比町は後背に標高707㍍の浜石岳がある。その山頂から見る富士は格別という。南へくだると旧東海道の薩埵(さった)峠に出る。江戸時代の多くの画家が好んで描いた富士はその峠からである。広重の「東海道五十三次内由井」がそれである。現在は由比。

平安神宮・百虎楼(写真)

2008-01-25 05:50:45 | 写真
デジカメに工夫するほど気はなくも
構図求めて軽ろき足取り      樋田哲夫

 平安神宮社殿に向かって右に蒼龍、左に百虎の両楼が建つ。この楼は素人目には違いはないほど酷似している。楼の名は高松塚の壁面に四神思想が取り入れられていて、東壁に青竜が、西壁に百虎が描かれている。平安京を模して造られた神宮は両楼の名をこの四神思想からつけている。現在相撲界も青白時代。

暴れもののネズミ(水墨画)

2008-01-24 08:36:27 | 水墨画
天井を派手にめぐりて真夜中の
音に目覚むる鼠の動き        樋田哲夫

 最近クマネズミが農村よりも都会のビルに繁殖しているらしい。都市開発で周辺のビルが壊され集中するらしい。小さな穴を出入り口にして柱を登り、電線をサーカスまがいに伝う。通り道は黒く足跡を残す。時には電線をかじりショートによる火災の例もあるとか。駆除は薬品を使用するより残飯を片付けることが一番という。にほんブログ村 美術ブログへ 

霜の夜の 丈草(書)

2008-01-23 07:37:46 | 
霜の夜のかさなり行くや雁の声      内藤丈草

 雁は冬になると日本の北部の湖沼や水田でえさを採る大型の冬鳥。日本に9種類いるが、マガンが圧倒的に多い。宮城県の伊豆沼、石川県の片野鴨池にくる。地上でも空でもよく鳴く。飛ぶときは隊列を組んで、先頭と後尾の鳥が周囲に警戒しながら交代して飛ぶ。霜の夜で雁は見えないが重なりいくとあるから隊列を組んでいるのだろう。

平安神宮社殿(写真)

2008-01-22 07:39:12 | 写真
あらたまの年寿ぎて神宮に
去年(こぞ)と変らぬ想ひを祈る       樋田哲夫

 京都を代表する観光地の平安神宮はここ数年正月三ヶ日に訪ねている。正月家に閉じこもって過ごすのも新年早々どうかと思い、出かけるとなると歴史豊かな京都となる。平安神宮社殿(大極殿)は平安京大内裏の正庁である朝堂院を模していて、毎年ながら健康の無事を祈る。老齢の身には大志などない。どこの社寺でも同様である。

ヒョウタンに遊ぶネズミ(墨彩画)

2008-01-21 07:41:23 | 墨彩画
望めどもめぐれる先は近きなり
国語にありし「ねずみの嫁入り」        樋田哲夫

 昔小学校の国語の教科書に載った「ねずみの嫁入り」の話。仲のよいネズミの夫婦に女の子が出来た。美しく成長したので夫婦は世の中で一番強い者に嫁がせようと考え、はじめに太陽のところへ行ったが断られた。次に雲、風、壁といったがみんな断られた。最後は近所の若いネズミに落ち着き、二人は仲睦まじく暮らした。 にほんブログ村 美術ブログへ

苔青き 碧梧桐(書)

2008-01-20 06:16:33 | 
苔青き踏むあたりにも霜柱      河東碧梧桐

 碧語桐は松山の人。子規門で虚子とならんで双璧と称されたが、花鳥諷詠の伝統を貫いた虚子と袂を分けて、新傾向俳句へ走る。凡人は「青き苔踏むと」とするが「苔青き踏む」としているところに感覚の違いがある。苔は湿度のある日陰を好み、霜柱の立つ地は冷却のきく湿り気の地に多い。日陰と日当たりの相反する地の現象の発見からの句だろう。

人気沸騰の東国原知事泉州に来る(写真)

2008-01-19 07:57:58 | 写真
イベントに集ふ人らに伝はりぬ
東国原知事の熱意は         樋田哲夫

 今話題の東国原宮崎県知事が1月16日大阪南部の大型スーパーに姿を見せた。数日前から店内で開かれている宮崎県物産フェアの応援に駆けつけたもので、宮崎のセールスマンを自称する知事の行動力をうかがわせた。イベント広場には一目見ようと買い物客が押し寄せ、いくえにも人垣ができて知事の熱意をしっかり受け止めた。

えべっさん(墨彩画)

2008-01-18 07:31:00 | 墨彩画
                 (はがき大)
「えべっさん」はやも終はりて関西は
正月気分の消え去りにけり       樋田哲夫

 恵比寿は七福神の一つで日本の神である。海上、漁業の神であるが、近年商売繁盛の神の色彩が強く崇められている。風折烏帽子、釣り上げた鯛を左に抱え、右に竿を持つ姿で描かれている。関西では1月9~10日にえべっさんの日として各地の神社では参拝客が押し寄せる。特に兵庫・西宮神社、大阪・今宮神社は賑わう。 にほんブログ村 美術ブログへ

箱根こす 芭蕉(書)

2008-01-17 06:54:28 | 
箱根こす人も有るらし今朝の雪       松尾芭蕉

 旧東海道の箱根路は小田原から箱根までの4里10町と箱根から三島までの3里20町あることから箱根八里といわれる。特に小田原からの道は急坂で最後は胸突き八丁と呼ばれる。芦の湖畔の関所あたりは歩いたが、一度通しで歩きたいものだ。芭蕉が朝目覚めると驚くほどの雪に、箱根越えするらしい人の足跡を見て感じ入っているのである。