哲仙の水墨画

デジカメの風景写真、四季の草花、水墨画、書、短歌などを楽しみます。

明日香路の亀石(写真)

2009-10-31 06:21:43 | 写真
明日香路の石のめぐりの謎多く
民家の隅のうづくまる亀      樋田哲仙

 明日香路の謎の石造物亀石とは30年ぶりの再会となる。すっかり様子が変っていて、日本の原風景の中にあった亀石も周遊の野路に変り、民家に隣接すかのようであった。近くに自動車道が整備されて、比較するとより細い裏道の感となっている。三方を生垣に囲まれ近くまで行かないと見落としてしまう。しかし、亀石だけは昔のままであるのは当然である。長さ3・6㍍、幅2・1㍍、高さ1・8㍍、重さ40㌧。

ホトトギス(水墨画)

2009-10-30 06:02:46 | 水墨画
聞けばすぐ鳥とばかりに思ひきや
草の名前の杜鵑草とは     樋田哲仙

 ユリ科の多年草。山地に自生し、高さ60~90㌢、毛が密生する。秋になると白色に紫の斑点の花をつける。鳥のホトトギスの胸や腹部の紋に似ることから同名がつけられている。草は秋の季語。鳥は夏の季語。 にほんブログ村 美術ブログへ 

百人一首第六十二番夜をこめて(書)

2009-10-29 05:53:12 | 
夜をこめて鳥のそら音をはかるとも
世に逢坂の関はゆるさじ        清少納言

 まだ夜の明けないうちに鶏の鳴声を真似て通ろうとしても、あなたと私の間の逢坂の関はだまされて開けることはありませんよ。この歌には「関谷函の鶏鳴」の故事が潜んでいる。昔孟嘗君が秦を逃れて関谷函を通るとき鶏の鳴きまね上手の従者に鳴かせて通った。この関所の開門は鶏が鳴かない限りあけなっかた。

鬼の俎(まないた)(写真)

2009-10-28 06:09:00 | 写真
明日香には道を隔てて上にある
謎の一つの鬼の俎          樋田哲仙

 鬼の雪隠から数十㍍ほど離れた高台の雑木林の開けたところに鬼の俎はある。この石造物は古墳の石室の一部と考えられる。この地は風の森と呼ばれ、鬼が通行人をだまして捕らえ、俎で調理して食べたあと鬼の雪隠で用を足したとの伝説がある。長さ4・5㍍、幅2・7㍍、厚さ1㍍。

ハナトラノオ(墨彩画)

2009-10-27 05:05:25 | 墨彩画
これまでに花虎の尾はいくたびも
見てはをれども名前を知らず       樋田哲仙

 手本を見てハナトラノオを描いてみた。見たことはあるのだが名前が分からず調べてみると、これがその花かと分かった。9月ごろによく見かけるありふれた花だ。一般に薄紫が多く、白、ワイン、レッドもある。30~80cmの高さで、6~10月が花期とある。茎が四角いことからカクトラノオの別名がある。 にほんブログ村 美術ブログへ

百人一首第六十一番いにしへの(書)

2009-10-26 06:17:14 | 
いにしへの奈良の都の八重桜
今日九重に匂ひぬるかな        伊勢大輔

 奈良が都であった時代に、そこで咲いていた八重桜が、250年経ても京の宮中で咲いていることに感動しています。伊勢大輔は上東門院に仕え、紫式部と友に宮中にいた。歌才に恵まれ、清少納言、和泉式部らと歌道を競った。

鬼の雪隠(写真)

2009-10-25 06:01:22 | 写真
見るほどに形大きさ謎めきて
明日香の里に鬼の雪隠         樋田哲仙

 明日香には謎の石造物が多く「鬼の雪隠」もその一つである。近鉄吉野線飛鳥駅から農道を10分で行ける。片側は丘を縫う道の脇で畠に接している。終末期古墳の横口石室の一部が崩れて盛り土を失い露出したものらしい。高さ1・3㍍、横2・79、幅1・54と結構大きい。長閑な風景で近くに天武・持統陵の森が見える。

香るキンモクセイ(水墨画)

2009-10-24 05:58:38 | 水墨画
平素にはあることすらも気づかずに
金木犀の香る十月       樋田哲夫

 キンモクセイの香りで思うことがある。大阪では長年10月上旬が香る季節で、祭り時期と一致していた。ところが最近のキンモクセイは送れて下旬となっている。二酸化炭素による地球温暖化の影響のような気がしてならない。香らなければあることすら気づかずに通り過ぎでしまうキンモクセイだが、この時期だけは存在感を強く見せているようだ。 にほんブログ村 美術ブログへ
 

百人一首第六十番大江山(書)

2009-10-23 05:51:53 | 
大江山いくのの道の遠ければ
まだふみも見ず天の橋立      小式部内侍

 母は丹後におりますが、そこは遠く大江山を越えて、生野の原を経て天橋立の近くまで参らねばなりませんので、母からの便りもまだ貰ってはおりません。小式部の母は和泉式部。幼いころから母に似て歌才に恵まれたが、母より先に死去。大江山は丹後で福知山、宮津、与謝町にまたがる。生野は銀山で有名。

甘樫の丘のコスモス(写真)

2009-10-22 05:40:45 | 写真
帰り道見かけて止まるコスモスの
遅き盛りの十月下旬        樋田哲仙

 一日バイクで明日香をめぐった。道中は時間がかかるが目的地へ着いてからが小回りが利いて便利だ。現地でレンタサイクルの比ではない。午後3時まで走り回って帰り道、甘樫の丘南麓の道路端にコスモス畑を見かけた。先週四季の郷へ出かけた時は咲き終わっていたのでコスモスを見るのは来年のことになると思った矢先のことがあり、盛りを見て驚いた。

尾根よりの眺め(水墨画)

2009-10-21 06:54:26 | 水墨画
喘ぎつつ登りて尾根の安らぎに
見慣れし山のまた新たなり       樋田哲仙

 山歩きが好きで、大阪・和歌山府県鏡に連なる300~800㍍の和泉山脈へはよく出かける。その日の天気を確かめてから日帰りできる手近さがよい。麓に自動車を乗り捨て登るコースは決まっている。次々と展開する木々のトンネル、急な谷の危険な個所、目印としている岩、開ける尾根など頭の中に入っている。パノラマの絶景は数も限られ、気に入りの尾根での休息も決まっている。はるかな山をながめるのも、また格別である。  にほんブログ村 美術ブログへ

百人一首第五十九番やすらはで(書)

2009-10-20 06:23:29 | 
やすらはで寝なましものを小夜更けて
傾くまでの月を見しかな        赤染衛門

 あなたの来ないことが始めから分かっているなら、まごまごしないでさっさと寝てしまっていたものを、今か今かと待っている内に西の山に月が傾くまでになってしまいました。父は赤染衛門尉であったことから娘を赤染衛門と称した。歌才に富む。

高台寺開山堂(写真)

2009-10-19 06:33:04 | 写真
これからと思ひしときに電池切れて
カメラにのぞく高台寺の景       樋田哲仙

 高台寺の入り口から細い通路を抜けると急に庭が開ける。カメラを向けて撮り始めてしばらく、さあこれからだというときにカメラの電池が切れてしまった。方丈の書院で予備に取り替えたが、それが役に立たない。長いこと放置したままで干あがったしていたのだ。開山堂を最後にどうすることもできず、池泉回遊式の庭園をただ歩くだけとなった。

小菊の花(水墨画)

2009-10-18 05:46:24 | 水墨画
育て来て供ふる菊の咲くころは
こまめに畑へ鋏持ち行く      樋田哲仙

 家庭菜園の片隅に白と黄の小菊を育てて、部屋を飾ったり、仏花用にしている。ここしばらく手ごろな花をつけるが、残念なことにいっ時に咲いてしまうことだ。切花として水持ちはよいが、畑では一辺に咲いてしまうので思うほど長く利用できない。白も黄もほぼ同時である。沢山持ち帰ってもどうにもならず、畑で咲かせている。にほんブログ村 美術ブログへ

百人一首第五十八番ありま山(書)

2009-10-17 06:57:19 | 
ありま山猪名の笹原風吹けば
いでそよ人を忘れやはする          大弌(に)三位

 有馬山のふもとの猪名の笹原に風が吹くと、そよそよと笹の葉がすれて鳴りますが。そのように私はあなたを決して忘れるようなことはありません。有馬山は三田市にある。大弌三位の大弌は夫の官名から、三位は自分の官位から。紫式部を母に持ち、文才歌才に秀でている。「狭井物語」を著わしている。