哲仙の水墨画

デジカメの風景写真、四季の草花、水墨画、書、短歌などを楽しみます。

イノシシの親子(水墨画)

2007-12-31 07:37:27 | 水墨画
「偽」の世相となれど猪に
お疲れ様の声をかけたし        樋田哲夫

 平成19年もきょう一日となった。今年の世相を漢字一字で表わすと「偽」となった。誰もが予想はついた。不二家に始まり、白い恋人、ミートホープ、赤福、船場吉兆など問題となった。賞味期限の改ざん、産地偽装と利益を優先する企業の姿勢は消費者を欺いた。次つぎ発覚し、国民の怒りは頂点に達した。が、イノシシにお疲れ様と声をかたい。にほんブログ村 美術ブログへ 

かくれけり 芭蕉(書)

2007-12-30 08:43:58 | 
かくれけり師走の海のかいつぶり       松尾芭蕉

 カイツブリは水鳥で古名は鳰(にお)という。琵琶湖に沢山いることから琵琶湖は「鳰の海」の別名を持つ。この句の海は当然琵琶湖のことになる。カイツブリは潜水が巧みで小魚や小エビを捕食しながら移動して潜ったところより離れた場所へ浮かび出る。北海道から、本州、九州とどこにでもいる。巣は水草を集めて浮き巣を作り繁殖する。

応仁の乱の柱の傷跡・千本釈迦堂(写真)

2007-12-29 07:32:45 | 写真
柱には今なほ残る応仁の
乱の証の痛ましきかな        樋田哲夫

 千本釈迦堂の本堂は応仁の乱の戦火を逃れて京都で現存する最古の建造物で国宝である。柱には刀、槍の傷跡が当時のまなまなしい証を残している。乱は京都を主戦場に全国に波及し11年の長期わたる。足利義政の跡目争い、管領畠山と斯波両家の相続争い、細川勝元と山名宗全の権力争いが複雑の絡んでいた。

獅子を舞うイノシシ(墨彩画)

2007-12-28 08:21:27 | 墨彩画
狛犬が猪と聞き知り訪ねたる
護王と和気の神を浮かべり       樋田哲夫

 正月気分のさめやらぬ亥年の今年、京都御所蛤御門の近くにある護王神社を訪ねた。狛犬が猪となっているとテレビで話題になったからだ。また、岡山県和気町和気神社を訪ねると、ここも猪が参拝客を迎えた。亥年とあって正月には脚光浴びた両神社も年の瀬にはどうなっているのだろう。「偽」の大変な世相の年となって思い出した。にほんブログ村 美術ブログへ 

年の瀬を 立子(書)

2007-12-27 08:05:08 | 
年の瀬を忙しといひつ遊ぶなり        星野立子

 立子は虚子の次女。4T(星野立子、中村汀女、橋本多佳子、三橋鷹女)の一人。年の瀬は誰もが忙しくなる。女性なら家の掃除もあるだろう。平素放置していたことを一年のけじめとして、気分新たに新年を迎えたいものだからだ。が、その中につい遊んでしまう時間がある。計画的ではなくいつの間にか遊んでいるのである。

おかめは実在の人物(写真)

2007-12-26 07:19:40 | 写真
過ちに知恵を絞りしお亀とは
難救ひたる棟梁の妻

 千本釈迦堂(大報恩寺)の本堂を建立した棟梁の妻おかめ(お亀、阿亀)は実在の人物。棟梁が誤って1本の柱を短く切り落とし、悩んでいると、妻のおかめは他の柱も短く揃えて切りなさいと薦めた。棟梁は妻の言葉を素直に聞き入れて難を逃れた。しかし、お亀は発覚するのを恐れてその前に自殺したという説話が残る。

干支の引き継ぎ式(墨彩画)

2007-12-25 08:40:45 | 墨彩画
行く年と来る年の干支立会ひて
引き継ぎ式の年の瀬来たり       樋田哲夫

 大阪通天閣が再建された1956年から毎年地上90㍍の展望台で行われる迎春行事の「干支の引き継ぎ式」が今年で52回目を迎える。式は12月27日(木)、9・30分、亥から子へと干支が変るのに因んで本物の生きたイノシシとネズミを連れた人がそれぞれ口上を述べ、干支が引き継がれる。動物は天王寺動物園から借りとか。  にほんブログ村 美術ブログへ

忘れ草 芭蕉(書)

2007-12-24 07:49:14 | 
忘れ草菜飯に摘まん年の暮れ     松尾芭蕉

 延宝6年、芭蕉35歳の作。忘れ草とはカンゾウのことで、葉は卵円形の小葉からなる。夏薄紫の花を穂状につける。根にサポニンを含み、胃潰瘍などの薬草となる。菜飯は葉を細かく刻んで粥(かゆ)にかけて食べる飯のこと。昔の食事は今では考えられないほど粗食で野草を摘んで食材にしたのだろう。それが年の暮れだったというのである。

だいこ炊きの千本釈迦堂(写真)

2007-12-23 07:27:23 | 写真
だいこ炊きの明けの日来れば
なにごともなき静けさの千本釈迦堂        樋田哲夫

 京都の師走の風物詩となっている千本釈迦堂(大報恩寺)のだいこ炊きは毎年12月7,8日の両日に行われる。1㍍を越える大なべが並び、4000本の聖護院大根が炊かれて近畿一円からの参拝客に厄除けといて振舞われる。その翌日は嘘のように静けさをとり戻して何事もなかったかのようである。

レンコン(水墨画)

2007-12-22 07:02:09 | 水墨画
蓮根は見通しよしとおせちには
なくてはならぬ一翼担ふ        樋田哲夫

 年の瀬も迫り、街ではクリスマスのイルミネーションが輝いて家庭でも楽しむ時代となった。大型スーパーではサンタの姿にジングルベルのメロディーが流れて歳末商戦たけなわである。一方で、正月10日前とあっておせち料理が見え始めた。レンコン、クロマメ、数の子などおせちには欠かせないものだ。 にほんブログ村 美術ブログへ

行く年や 芭蕉(書)

2007-12-21 07:29:00 | 
行く年や薬に見たき梅の花        松尾芭蕉

 元禄7年51歳の句。大阪天満宮に句碑がある。いよいよ年も押し詰まり、今年もあとわずかとなった。白い梅の花を見ていると形が錠剤に似ていて薬にならないものかと思っているところだの句意。新暦の年の瀬では梅は早いが、旧暦では来年2月7日が旧正月となり、梅の花は咲き始めているだろう。。

京都・清涼寺一切経蔵(写真)

2007-12-20 07:30:09 | 写真
輪蔵を押してめぐれば経を読む
効果と聞きて試しみるなり       樋田哲夫

 一切経は大蔵経ともいい、経,律、論などをひとまとめにしたもので、4~5千巻の経で構成されている。この経を収めた堂が一切経蔵と呼ばれる。堂内は六角形の回転式の輪蔵があり、柄を押しながら一回転すれば収められた経を通読した効果があるとされる。三井寺、長谷寺、高野山にもある。

宮崎・大斗おせり)の滝(水墨画)

2007-12-19 07:02:16 | 水墨画
壮観な大斗の滝はなにゆえに
滝百選の名に表れず        樋田哲夫

 本に偶然美しい滝をつけた。神話の国宮崎・美郷町の高さ70㍍、3段の大斗の滝である。山深い中を掻き分けるようにして落ち、まさに画なる光景である。県は緑地環境保全地域に指定しているとか。だが、「日本滝百選」に名が見当たらない。これぐらいで漏れるとは百選の滝は素晴らしい滝ということになる。 にほんブログ村 美術ブログへ

淋しさの 丈草(書)

2007-12-18 07:32:55 | 
淋しさの底ぬけてふるみぞれかな       内藤丈草

 丈草は尾張犬山藩士の子として江戸前期の寛文2年に生まれる。幼くして母と死別し継母に育てられる。武士を捨て、京都に移り、後には芭門十哲の一人となる。みぞれは雨に雪が混じる状態を言い、極めて短時間降るもので、いつまでもいつまでも天が底抜けて降り続くものではない。いつまでも降り続いたとしたら丈草の心象風景であろうか。

嵯峨釈迦堂(写真)

2007-12-17 07:37:52 | 写真
なき風に冬の日差しの暖かく
また訪れる嵯峨の釈迦堂         樋田哲夫

 京都・嵯峨野の清涼寺(嵯峨釈迦堂)は二度目の訪問である。最初はハイキングに参加して立ち寄った程度で先を急いだ。今回は十三仏巡拝のバスツアーである。寺めぐりは一人で来て縁起や立て札を読み、歴史に触れながら写真撮る。そんな贅沢な時間をすごすのを理想とする。本堂には秘仏の国宝三国伝来釈迦立像が安置されている。